okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『i-新聞記者ドキュメント-』 感想

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東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者の活動を追った森達也監督のドキュメンタリー。

 

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官邸記者会見での望月記者の質問に対しては、木で鼻を括ったような冷淡な対応しかしない菅義偉内閣官房長官(以降、ガースー)。
そして、望月記者に対して威嚇的とも思えるぞんざいな態度で応対する麻生太郎財務大臣。
・・今の安倍政権の傲慢さを具現するような閣僚の立ち居振る舞い!

いやいや、そうは言っても、安部応援団のネトウヨ達が指摘するように、望月記者のほうも、要領を得ない質問をグダグダと繰り返してるんじゃないの?なんて疑ってみたくなったこともあったが、・・いやいやいやいや、本作での望月記者とガースーの一連の会見シーンをみたら、やっぱりガースー、マジで適当な事ばっか言ってるわ、となった!

ガースー、「全く当たらないと思います。」こればっか!

 

例えば宮古島での陸上自衛隊ミサイル基地の弾薬庫問題。
望月記者が宮古島に赴いて現地の人たちに直接取材したところ、全くの騙し討ちだったことがわかる(防衛省は当初、住民には武器などの「保管庫」だと説明していた)。
会見で望月記者がガースーに質問すると、「住民の方の合意を得て建設した」と憮然とした表情で応えていたが、後にウソがばれて防衛相が謝罪する結果となったというオチ。
・・ホントこの政権、平気でウソはつく、公文書は改ざんする、証拠はすかさずシュレッダーするなど、まったく信用ならない。本作を観て改めて怒りが湧いてくる!

 

今、世の中は「桜を見る会」の話題一色。
モリカケ騒動の際はいつのまにか逃げ切った安倍政権だが、今度こそ逃げきれないのではないか?と期待しているし、国民も今度こそは許してはいけない!と思うのだが、最近の菅派大臣の連続辞任と「桜を見る会」での反社勢力との記念撮影などで、少なくともガースーの息の根は止まりそうな勢いだ。
本作でガースーの悪辣ぶりは際立っていたが、もし本当にガースー辞任となったなら、やはり「悪は滅びる」んだなぁと思わざるを得ない。

 

それにしても、質問制限という「望月封じ」にもめげず、周囲の空気なんか気にせず、政治部記者ばかりの中で臆することなく、果敢にガースーにガンガン質問を切り込む社会部記者である望月さんの姿には感嘆しかない。
例えば元NHKアナウンサーの堀潤さんも、夕べには香港に赴いてデモの実態を取材し、朝には日本に戻って生放送の報道番組で世界のニュースを伝えているが、堀潤さんや望月さんのようなバイタリティ溢れる報道人がいることは本当に頼もしく思えるし、心からの声援を送りたい。

 

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なにせ、持ちきれないほどのカバンとキャリアケースを引っ張って、取材で日本全国を奔走する望月記者が、とにかくカッコいい!
というか、望月衣塑子という魅力的なキャラクターを素材にした、ある種のアイドル映画と言えるかもしれない。(ラストシーンで、ポーズを決めた望月記者の外連味ある立ち姿を観てそう感じてしまった)

 

なお、ドキュメンタリー映画という観点でみたら、本作はそれほど衝撃的な内容ではなく、どちらかというとエンタメ色が強い感じ。
原一男監督作品のように、観る作品観る作品どれも狂ったようなシーンはない。
なにしろ原監督作って、元恋人とのハメ撮りや自宅出産シーン、脳性小児麻痺の青年を全裸にして路上でのた打ち回らせるシーン、狂信的なオッサンがいきなり病床の老人を殴りつけるシーン、国から長年放置され死亡したアスベスト被害者の自宅に厚労大臣が謝罪にくるシーンなど、撮っている人間の頭がおかしいとしか思えない事態がスクリーンに次々と現れてくるのだ。

 


森達也監督の社会派ドキュメンタリー『i-新聞記者ドキュメント-』予告

 

『i-新聞記者ドキュメント-』は、原監督作のような衝撃作でも毒のある作品でもないが、それでも、多くの国民に観て欲しい作品。
あんな細腕で権力に果敢に立ち向かっていく望月衣塑子記者が伝えたいことと、森達也監督が作品で伝えたいことを、ぜひ映画を観て確認してほしい。(笑えるシーンも多いよ!)

 

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『i新聞記者ドキュメント』が描かなかった記者クラブ

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新聞記者 (角川新書)

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同調圧力 (角川新書)

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権力と新聞の大問題 (集英社新書)

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武器輸出と日本企業 (角川新書)

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追及力 権力の暴走を食い止める (光文社新書)

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『ゾンビランド:ダブルタップ』 感想

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前作『ゾンビランド』から、なんと10年もの歳月を経て続編が製作された本作。

で今回の物語は、前作から10年後のストーリーだということで、誠に以て無理のない設定になっているのだが、主役の4人中、前作では少女だったリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)以外の3人のビジュアルがあまりに変化ないので、馬鹿正直に前作から10年後の物語にする必要ないんじゃね?と思ってしまった。

 

ということで、前作のラストでゾンビ大軍団との死闘をなんとか生き抜いた、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、ウィチタ(エマ・ストーン)、リトルロック(アビゲイル・ブレスリン)の4人は、家族同様の絆を深めてあれから10年、<ルール32:小さなことを楽しめ>を実践しながら、気楽なサバイバル生活を続けていた。
しかしある朝、コロンバスにプロポーズされたウィチタと、実の父親のように接してくるタラハシーにうんざりしていたリトルロックは、男たちの束縛から逃れるように彼らに何も告げず姿を消してしまった。
残されたタラハシーとコロンバスは、最初は自分たちの執着を反省し、彼女たちとは別々の人生を歩もうとするのだったが、さらに強力になった新種のゾンビ達から彼女たちを守るため、またもゾンビ軍団と対決することを決意する・・・

 

まぁ前作と同じようなストーリーで、言ってしまえば大した話ではないし、というか、わざわざ10年後の話にする必要性もない(むしろ、10年も一緒に生活してたのに、ちょっとしたことで4人が決別することのほうが不自然?)のだが、のんきでバイオレンス満載なこのシリーズの魅力はまったく色褪せておらず、今回も楽しく鑑賞することができた。

なお前作との大きな違いは、主役4人のほかにも多くの生存者が出てくること。
よくよく考えたら、前作ではビル・マーレイ以外の非ゾンビ者は殆ど出てこなかったけど、本作では、バカっぽくてイイ感じのサブキャラが何人も登場するので、物語にメリハリがついてテンポも良くなっている。

また新種のゾンビも登場するのだが、これについては、あまり他のゾンビ映画と比べても真新しさは感じられなかった。

ちなみに最近では、ゾンビ映画の製作本数がかなり減少しているそうだ。リアルでドラマ性の高いゾンビ作品は『ウォーキング・デッド』が頂点となり、これ以上、ゾンビという素材を用いて斬新なコンテンツを生み出すことが困難になったと推測される。
それでも『ゾンビランド』が面白いのは、ゾンビ自体はありきたりなフォーマットの粋を出ていないが、登場人物の魅力と、ユルいストーリーが秀逸で、肩の凝らない気楽で楽しいロードムービーに仕上がっているからだろう。

 

そしてビル・マーレイだが、前作では登場して間もなく非業の死を遂げてしまったが、今作では前の借りを返すかのような大活躍を見せてくれるので必見!絶対お見逃しなく!!

 

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Zombieland: Double Tap  Roadtrip(輸入版:北米)- Switch

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Zombieland: Double Tap  Roadtrip(輸入版:北米)- PS4

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Zombieland: Double Tap  Roadtrip(輸入版:北米)- XboxOne

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