okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

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脳のなかの幽霊 〜 Phantoms in the Brain

こんにちは!

脳のなかの幽霊


正月休み中に、V・S・ラマチャンドラン著『脳のなかの幽霊』を読みました。
まだkindle対応されていないので、久々の紙の本です。

いずれkindle対応されたら読んでみるか、と思っていましたが、最近、身近に起こった出来事がきっかけで、すぐに読んでみることにしました。

著者はインド出身のアメリカの神経科医であり神経科学者です。
本書は、一般向けに書かれた脳科学に関する書籍で、事故や脳梗塞など、脳に関する病気などが引き起こす不思議な脳神経系の現象を、わかりやすく説明してくれます。
(・・とはいえ専門的な用語も多いため、マンガのようにスラスラ読める本ってワケでもないです)

本書が有名になったのは、「幻肢」、および「幻肢痛」についての著者独自の考察と、著者が発見した、その単純かつ画期的な治療法についての記述であると思いますが、私も、これについて特に興味を惹かれたため、読んでみたいと思ってました。

「幻肢」とは、事故などで四肢を失った人が、物理的にないはずの腕があると感じたり、物を掴んだり壁などにぶつかっても当たる感触が残ったりする現象だそうで、ひどい場合には、強いかゆみを感じたり、我慢できないほどの痛みまで感じ、それが何年も継続することもあるそうで、これを「幻肢痛」と呼ぶそうです。

(また驚くべきことに、事故や病気で後天的に四肢を失った人だけでなく、先天的に手足がない人でも同様な症状が出る人もいるとのこと)

この現象については現在でも正しい原因はわかっておらず、決定的な治療法も見つかっていないそうです。

過去には、痛みが残っているのは切断面の神経が損傷しているためでは?との想定から、断端面をさらに短く切断する手術を行うといった無茶な治療も行われていたそうです。
(一時的には痛みはなくなるが、しばらくするとまた復活するそうです)


「幻肢」、「幻肢痛」についての著者の考察をまとめると・・・

手や足が失われてしまったことを脳は自覚していないため失われた部位に運動の指令を送り続けてしまうが、実際に動いているという体性感覚は戻ってこない(フィードバックされない)。
 ※体性感覚:目・耳・鼻・舌などの感覚器以外で感知する感覚。痛覚、温感など
そしてしばらく経つと、もともと脳が「失った部位の体性感覚を感じていた場所」が別の場所に移動してしまう。
例えば手の体性感覚を感じる場所が頬に移ってしまうため、頬に触れると、頬と失った手が同時に触られるように感じてしまう。

ホムンクルス1

ホムンクルス2


また、「幻肢痛」を訴える患者の多くが、失った部位を損傷した際に激しい痛みを覚えた感覚や、切断前にずっと固定して麻痺していた感覚などが、固定された感覚として脳にずっと残ってしまう。

このような、ある意味、脳の錯覚のために引き起こされる症状を、著者は「ミラーボックス」と呼ばれる単純な装置を使って改善しました。

これは、箱の真中に鏡を置いて、片方に正常な腕を、もう片方に欠損した腕を入れて鏡を見ると、あたかも欠損した腕も正常に動いているように見え、脳も、欠損した腕の体性感覚がフィードバックされたと、またも「錯覚」し、安心してしまって、
(なーんだ、あるよなナイよな曖昧な感じだったけど、やっぱあるじゃん!じゃ、痛みもないよね・・みたいな)
数週間これを続けることで幻肢痛がなくなってしまう
・・・「やっと幻肢が切断された」状態になるそうです。

ミラーボックス

ミラーボックス

「パンツをはいたサル(略してパンサル)」で有名な(読んだことないですが・・)栗本慎一郎氏は、1999年に脳梗塞で半身不随になったそうですが、ミラーボックスによるリハビリ治療でかなり回復したとのことです。ホント驚きです。


★★★★★


「あなたの体そのものが幻であり、脳がまったくの便宜上、一時的に構築したものだ」
By ラマチャンドラン教授

京極夏彦の「京極堂」こと中禅寺秋彦のシリーズが大好きなのですが、本シリーズは、ヒトの意識もココロもすべて脳が勝手に操っているだけってことを終始言いたいのだって勝手に認識しているのですが、ただ本シリーズのスタートアップ作である『姑獲鳥の夏

この作品は、「え〜、ありえないだろー」ってくらい、本来は見えるのに見えないモノがテーマになってます。

さすがにこのオチは無理ヤリだろう、っと思ってたのですが、ラマチャンドラン先生の本書を読んだら、
「あー、あるかも。脳って、自分に都合のいいモノしか見せないややこしいヤツ」なので、こういうオチも現実的にアルアル探検隊!

と、認識を新たにいたしました。


「この世には、不思議なことなど何もないのだよ、関口君。」

それではー

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