こんにちは!
本日、河瀬直美監督作の『あん』を観てきました。
桜が満開の季節。
雇われ店長である千太郎(永瀬正敏)の小さなドラ焼き屋に、バイトさせて欲しいという謎の老女・徳江(樹木希林)があらわれる。
最初は老年の女性にはキツイ仕事だと断ったが、彼女が無理やり置いていった粒あんがあまりにも美味しかったため、雇うことに。彼女の粒あんのおかげで店は繁盛するのだが、彼女が元ハンセン病患者だという噂が広がったせいか客足は遠のき、彼女はドラ焼き屋を辞めざるをえなくなる。
徳江が店を去ってしばらく経ってから、千太郎はドラ焼き屋の常連の女子中学生ワカナ(内田伽羅)とともに、ハンセン病の療養施設に徳江を訪ねていく。
ハンセン病を直球で扱った映画なんて珍しいな、と思ったのが観に来たきっかけだったのですが、
テレビなどではよく見聞きしていながら、実は殆どハンセン病についてしらなかったのだなと再認識しました。
正直に言うと もし自分だったらハンセン病患者の人と同じ職場で働いたり、彼(彼女)らが作った食べ物を食べることには、やっぱり抵抗があります。
なんとなく感染するのでは?という根拠の無い不安があるから。
なのでこの作品で、ハンセン病患者が作ったドラ焼き屋に客足が遠のいてしまうのは、悲しいけどまだまだしょうがないのかな、とも思います。
以前(2003年9月)、熊本県の温泉ホテルがハンセン病患者の団体の宿泊を拒否した事件があり、当時は「ひどいホテルだな!」
と思いましたが、いや、自分もホテル側と変わらない。
日本古来からの差別や偏見に染まっております。
改めてネットで調べたら、まず既に治療されて完治した人からの感染は皆無であること、また現在の日本ではほぼ少ないと思われますが、未治療の患者からの感染も基本的には無い、とのことです。
じゃあ、自分に根付いている偏見や見えない不安が払拭されたかというと、
・・・やはり、まだまだ難しい。
少しずつ勉強しないといけない
★★★★★
樹木希林さんの演技がスゴいのは当たり前として、
本作の永瀬正敏さん、とても良かったです。
まず作中で、あんまり永瀬正敏に見えなかった。
ただの人生に疲れたそこらのオッサンにしか見えない。リアルな演技に徹していて、感動させられた。
あと観終わってから妻に教えてもらって初めて知ったのですが、ワカナ役の内田伽羅さんって、モックン(本木雅弘)の娘さんだったんですね。
なので樹木希林さんの孫で、完全に縁故出演?
なんですが、これがまたいい演技をされていた!なんというか、みなさん素晴らしくて、とにかく名作だった。
★★★★★
「ねえ、店長さん。
わたしたちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。
だとすれば、何かになれなくてもわたしたちは
わたしたちには
生きる意味が、あるのよ」
半世紀近くも生きながら、未だに「やりがいのある仕事をしたい」
「なんのために生まれてきたのか」とかヌルい事を考えながら鬱々と生きていますが、
片やインドやアジアの貧しい都市では、幼い頃から手や足を切られて物乞いする子、
くり抜いた片目を手の平に握ってそれを見せて「バグシーシ」する子。
生まれた国や環境によっては、過酷過ぎる環境のまま生まれて(本人はそれを自覚しないまま)死んでいく人もいると思います。
人はなんのために生まれて、生きるのか。
人間は、 見れて、聞ければ、
それだけで生きる意味があるという言葉は、それは
・・・ありがたい言葉ですね。
★★★★★
キネマ旬報のムック本がパンフの代わり
樹木希林さんインタビューのぶっちゃけ話は笑えます。
今回は初めて、あらかじめハンカチを用意して鑑賞しました。
・・・まぁ用意しといてよかったのですが、
あるシーンで嗚咽しそうになったので、なんとか必死にこらえたのですが、その時にどこかのオジサンが咳き込んでました。
「・・・ゴ、ゴホッゴホッゴホッ」
あれ、たぶん、思わず泣きそうになって咳が出てしまったんだと思います(笑)
★映画『あん』予告編
それではー