ということで、いま話題の「怖い絵展」に行ってきた。
東京は色んなイベントが開催されてて本当によかとこなんだけど、東京の美術館での絵画鑑賞だけはいつも辟易してしまう。人が多過ぎてまともに鑑賞できないから。
一昨年の永青文庫の「SHUNGA 春画展」とか、昨年の国立新美術館「ダリ展」とか、もう館内のあまりの混雑ぶりに「はい鑑賞やめた!はい図録図録!」ってなった。
なので今回は少しでもゆっくり鑑賞したいと思って、会社を休んで平日(火曜日)の午前に行ってみたんだけど、途次の電車内でツイッターで検索してみたら、朝の10時過ぎで既に90分待ちだという!
えーっ!てなって夫婦で一気に暗くなった。
「怖い絵展」というより、「怖い行列展」かよ、的な。
しょうがないので途中で本屋に駆け込んで、中野京子さんの「怖い絵」シリーズの文庫をとりあえず2冊買った。行列に並びながら読もうと思って。
(つーか読んだこともなく絵画展に行くただのミーハー)
上野の森美術館についたら、はい。見事に行列。最後尾は90分待ちだという。
了解済み。腹は括っている。では待っている間に『怖い絵』でも読んでみるか・・・
で読み始めたら、確かに面白い!
著者は、巷間言われているような、絵画は予備知識を入れず、先入観を持たずに鑑賞するのが良い、みたいなアドバイスは何となく納得がいかなくて、ある程度その絵画が描かれた意図や時代背景を知ってから鑑賞するほうが印象に残る、的なことを書かれていたが、確かに!
例えば有名なドガの「踊りの花形(エトワール、又は舞台の踊り子)」なんて、今までは、「あー印象派のバレエの絵だなー」くらいの頭のユルい感想くらいしか持ってなかったが、描かれた当時のバレエダンサーの社会的地位の低さとか、舞台袖に立っている紳士はいったい誰なのか?といった解説は、すごく目からウロコだった。うーん勉強になる。
ちゃんと「怖い絵」シリーズを全部読んでから来るべきだったと少し後悔しつつ、ようやく入場。
90分待ちとはあったが、実際は70分くらいで入れたけど、これやっぱり土日だったら120分待ちとかになるよね。
で今回は、こちらも話題の「女優の吉田羊さんナレーションの音声ガイド」も借りてみた。
歌舞伎以外で音声ガイドなんて初めて借りたが、確かに今回の展示作品は解説聞いた方が良さそうだ。
館内に入ったら、やっぱり混雑していて心が折れそうになったが、せっかく70分も行列に並んで(音声ガイドを借りるのにもさらに並ぶ)、しかも音声ガイドまで借りたんだし、と貧乏性を発揮して、ちゃんと並んで全作品を間近で鑑賞することにした。
(館内でも当然行列ですよ)
もうね、牛歩なんてもんじゃないくらい遅々とした進み方の行列に忍耐強く並んでの鑑賞。本当に疲れた。マジで疲れた。行列が怖い!
しかし作品はどれも見応えがたあったし(というかイヤでもそう思いたい)、特に今回展示のメインでありポスターにもなっているポール・ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は、本当に圧巻の大作だった。
こんな大きい作品で、かつ保存状態がキレイな作品だとは思っていなかったのでビックリした。
もうこの作品を観ただけでも行列に並んだ甲斐があったというものだ。
約2時間半の鑑賞後、精根尽き果てた自分へのご褒美ってことで図録を買った。(なんのご褒美だ!?)
いや実際、館内が空いてたら作品点数から考えて1時間程度で一通りは鑑賞できるんじゃないかと思うが、これ、土日だったら真剣に鑑賞しようと思ったら3時間はかかるんじゃないだろうか。
美術館を後にして、夫婦でお疲れさま会ってことでアメ横の居酒屋で飲んだ。行列後のビールはうまい!
なお妻が調べたところによると、観たい美術展があった場合は、なるべく開催期間の早いうちに行くことが肝要だそうだ。なぜなら、開催後しばらくして日曜美術館で紹介されたり、ネット上の口コミなどで良さが拡散されたら、ドッと鑑賞客が増えるからだそう。なるほど。これからは観たい展示会があったら事前に前売り券を購入してから、早めに行くことにしよう。とにかく行列が怖いー!
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