okurejeの日記

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『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』 感想

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2001年に『A.I.』を劇場で観て以降、一切スピルバーグ監督の作品を観なくなった。(2008年にわざわざ劇場にまで観に行った『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』については、自分の中では存在そのものを無かったものとしている)


しかし先日観た『レディ・プレイヤー1』で久しぶりにスピルバーグ節に酔いしれてしまい、本作も観に行くことにしたが、前々からチェックしていた作品ではなかったため、「ベトナム戦争で政府が隠蔽していた事実をジャーナリストが暴く映画っぽい」くらいの前知識しかない。

観始めてからも作品の背景や(時代設定すら知らなかった)、メリル・ストリープやトム・ハンクスが誰の役を演じているかすらもわからず、しばらくはストーリーを把握して作品に追い付くのに手間取った。

隣では妻が舟を漕いでいた。

 

1971年のアメリカ合衆国。

ますます泥沼化するベトナム戦争の実情を報告するアメリカ国防総省の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」。

政府は最高機密文書として当然、未公表としていたが、国の態度に不信感を持つ執筆者の一人が文書をコピーし新聞社にリークする。

最初に文書の一部を発表したニューヨーク・タイムズ紙が、当時のニクソン大統領から圧力をかけられスクープを継続できなくなったが、ワシントン・ポスト紙の頑固モノ編集主幹であるベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、報道の自由をなんとしてでも死守しようと、別ルートで入手した機密文書を翌朝の新聞で発表しようとする。
しかしニクソン大統領は「国家機密文書の情報漏洩」として司法省から記事差し止めの訴訟を起こす動きを見せる。
ワシントン・ポスト紙は当時はまだローカル紙であり、株式上場した直後の大事な時期に裁判に負ければ会社が崩壊して社員を路頭に迷わす可能性もあり、しかも社主自らが刑に問われ刑務所行きになる危険すらあった。
それまで専業主婦であったが、夫が自殺したために図らずも45歳にして大新聞社の社主となったキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、会社存続のためにスクープ記事をなんとか差し止めようとする幹部社員と、報道の自由とマスコミ人の矜持のために報道すべきというベン・ブラッドリーとの間に挟まれて煩悶する。

 

『レディ・プレイヤー1』でも感じたが、スピルバーグ監督の演出は、さすがに現代ではちょっと時代遅れな気がする箇所もある。
例えばクライマックスの気持ち良すぎるくらいの盛り上がり方とか(しかも音楽はジョン・ウィリアムズ!)、例えば、登場人物の焦りなどを表現する際、車が往来する道路を突っ切って車が急停車、クラクションを鳴らされまくるという、ある意味お決まりのシーンが2度もあったので、さすがに笑えてしまった。

でも、『レディ・プレイヤー1』と同様、それがいいのだ。
一見、地味な印象のストーリーだが、この直球なまでの演出のおかげで十分に娯楽作に仕上がっている。
なので、最終的にキャサリン・グラハムが下した大きな決断のシーンには、やはり涙せずにはおれなかった。

 

スピルバーグ監督は本作の脚本に初めて出会ってから、わずか9か月で撮り終えたそうだ。
理由は、自身に都合が悪い報道を全てフェイク・ニュースであると言い放つ、現在のアメリカ合衆国大統領への強力なカウンターであるという。
なにせ、その大統領に「過剰評価されている女優」と揶揄されたメリル・ストリープを主演に据えており、そしてその大女優の演技は、やはり見事だったし。

 

なお本作のラストは、今回のスクープの約1年後に発生したウォーターゲート事件の発端となったウォーターゲート・ビルへの不法侵入事件を描いてジ・エンドとなる。
ニクソン大統領はウォーターゲート事件のために、任期途中で辞任した米国史上初の大統領となったが、なんとなく今の大統領が、その2番目になりそうな予感がしないでもない。

 

余談だけど、このペンタゴン・ペーパーズやウォーターゲート事件関連の資料は、ちゃんと国立公文書記録管理局に保管されているそうだ。
「ペンタゴン・ペーパーズ」は2011年に機密指定が解除され、現在は全文がWebサイトで閲覧可能だという。
先日読んだ『国家と秘密 隠される公文書』によると、日本の公文書管理は杜撰そのもので、後進国もいいところだそうである。 

国家と秘密 隠される公文書 (集英社新書)

国家と秘密 隠される公文書 (集英社新書)

 

 なんせ先の戦争の終戦後、GHQが日本に到着するまでのわずか2、3日の間に、国はおろか全国の市町村が、戦争犯罪に問われそうな文書を全て廃棄したそうだ。
現在でも、本来は公文書として残しておくべき議事録などをあえて取らなかったり、しまいには公文書の改ざんまで行ってしまうという・・・
公文書改ざんという信じられない国の行為を、見事にセクハラ問題にすり替えてしまった自民党と官僚の手際の見事なことよ。。


『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』予告編

  

ペンタゴン・ペーパーズ 「キャサリン・グラハム わが人生」より

ペンタゴン・ペーパーズ 「キャサリン・グラハム わが人生」より

 
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」オリジナル・サウンドトラック

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キャサリン・グラハム わが人生 (フルバージョン)電子版

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国家と秘密 隠される公文書 (集英社新書)

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