okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『蜘蛛の巣を払う女』 感想

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『ミレニアム』といえば、スウェーデン産の人気推理小説シリーズ。

三部作である『ドラゴン・タトゥーの女』『火と戯れる女』『眠れる女と狂卓の騎士』はまさに傑作で、文字通り、ページをめくる手が止まらないほど夢中になって読んだ作品だが、惜しくも作者であるスティーグ・ラーソンは、わずか三部作だけを残して、50歳という若さで心筋梗塞で亡くなっている。

しかし、これだけの世界的ベストセラー、たった3作で終わらせないのが世の常で、ダヴィド・ラーゲルクランツという新たな作家の手で続編が出版された。
それが第4部『蜘蛛の巣を払う女』。

 

三部作があまりにも名作で、スティーグ・ラーソンが創り上げたリスベット・サランデルやミカエル・ブルムクヴィストというキャラクター達が他に類を見ないほど独創的で魅力的だったので、さすがに違う作家がミレニアムを描けるのか、本書を読むまで懐疑的だったが、読んでみたら割とすんなり物語に没入できた。
さすがに取って付けた感は多少感じられたし、翻訳ではなく原書だとまたイメージが違ったかもしれないが、新たなミレニアム・シリーズとして十分に受け入れることが出来た小説だった。

なお、同じ作者による第5部『復讐の炎を吐く女』を最近読んだが、・・さすがにストーリーに無理を感じたというか、ちょっと苦しくなってきた気がする。もうそろそろ止めたほうがいいかも・・

 

さて今回のハリウッド映画版『蜘蛛の巣を払う女』に戻ろう。
冒頭。クレア・フォイが演じる新たなリスベット・サランデル、なかなかリスベット感ある。
ストックホルムの寒い冬景色もスウェーディッシュ感があって、なかなか良い。
そして、次々に襲い掛かる敵の攻撃を、驚異的な身体能力で切り抜けるリスベット、全然ジャーナリスティックな調査や推測をせず、行き当たりばったりに行動して敵に捕まるミカエル、派手なカーチェイス、007もビックリのハイテク装置・・

 

・・だんだん違う映画を観ていることに気付いた。
そうこの映画、ミレニアムではなく、「みっしょんいんぽっしぶる」だった!

映画館間違ったか?

 

『ミレニアム』の魅力は、優秀なジャーリストであるミカエル・ブルムクヴィストの緻密な調査とそれから導き出される推論、リスベット・サランデルの天才的なハッカー技術とで、複雑な事件の謎を解き明かしていく重厚なミステリー要素なのだが、この映画、そんなの一切お構いなしで、ただのハリウッドのアクション映画になってしまっとる!

 

いくらリスベットが天才ハッカーだからって、スマホからリモートで、空港の警備室のドアを開閉したり、敵の自動車のコンピューターシステムに侵入してエア・バック作動させたりできるか!どこのインターネッツやねん!

 

・・もう本当に偏差値の低いミレニアムになってて、監督だれだ!と思ったら、あの、評判やたら良かった割にダメ映画だった『ドント・ブリーズ』の人で納得。

 

 

観たときは、ハリウッド映画臭がキツくてイマイチかな、と思ったデヴィッド・フィンチャーの『ドラゴン・タトゥーの女』だが、フェデ・アルバレス版『蜘蛛の巣を払う女』よりは、よっぽどミレニアム感があった。
てか、ここまでミレニアム臭がないミレニアム映画を撮りきるなんて、逆に凄い才能か?

 

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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 上 (早川書房)

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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 下 (早川書房)

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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-2)

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