okurejeの日記

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塚本晋也監督『鉄男 THE BULLET MAN』30周年記念 極音上映! at 立川シネマシティ

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塚本晋也監督『鉄男』生誕30年を記念しての立川シネマシティでの3週連続の鉄男極音上映。ラスト3週目は2010年に公開された『鉄男 THE BULLET MAN』。

なお本イベントでは、それぞれの初回上映では塚本監督と出演者によるトークショーがあり、当然、3作品とも初回上映に駆けつけるのがスジなのだが、結局、参加できたのは1作目の『鉄男』のみ。


 

2週目の『鉄男II BODY HAMMER』などは初回どころか通常上映も行けなかったが、せめて『鉄男 THE BULLET MAN』は、初回上映は無理としても通常上映には行きたい!ということで再び立川へ。

実は本作の公開時、劇場で見逃してしまって今回が初見となるため、劇場で初めて鑑賞できるこの機会はありがたかった。

 

まずは、前回購入したのとは別バージョンのTシャツを購入。

 

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で、作品だが、塚本監督らしいスタイリッシュで透明感のある映像は素晴らしく、そしてなんといっても音響が凄かった!石川忠さんの金属音のインダストリアル・ミュージックが暴力的なまでの破壊力!椅子まで振動して、思わず4DXか?と思ってしまった。まさに極音で観るべき映画。

 

・・ただ本作、公開後の世間の評価はイマイチで、ネット上でも「これはオレが観たかった鉄男じゃない!」と、「コレジャナイロボ」的な感想が多く散見され、正直、自分も鑑賞後は少し拍子抜けしてしまった。

1作目の『鉄男』は、なんだかワケのわからない「ヤツ」が、なんだかワケのわからない能力を身に付け、自分をひき逃げした「男」に復讐のためになんだかワケのわからない能力を与える。
なんだかワケがわからないまま「男」は全身が金属に覆われ、なんだかワケのわからない理由で「ヤツ」と闘い、ラストはなんだかワケがわからないけど2人は融合するという・・・
とにかく不条理。ストーリーはあってないようなものだが、とにかく溢れるリビドーのごとく男の肉体が鉄と化して暴走する様を、現代では稚拙な映像テクニックであるストップモーションでモノクロで描いた作品は、なんだかワケがわからないが観る者に強烈なインパクトを与えた。

 

しかし本作『鉄男 THE BULLET MAN』は、主人公が肉体が金属化してしまう理由に説明がついているのだが、昔、日本のある企業が肉体と鉄を融合して兵器化する実験過程で、そのプロジェクトの科学者が妻をアンドロイド化し、彼らの息子が「鉄男」として誕生するという、ちょっとポエムで取って付けた設定で、もう少し捻った脚本にして欲しかったところ。

それでいて、「ヤツ」が何の目的で主人公を狙っていたのかの説明が無い。
どうせストーリーに説明をつけるならある程度つけて欲しいし、つけないのなら徹底的につけないままラストまで突っ走って欲しかった中途半端さが、鑑賞後のモヤモヤ感を誘う要因になった気がする。

 

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CGを使わず特殊メイクで表現した鉄男のビジュアルは、塚本監督がデザインしただけあって、グロテスクながらもどこかウルトラQチックな日本の特撮映画の怪獣のようにコミカルで、新生「鉄男」としては全く問題ないハズなのにこの物足りなさはなんだろう?と考えて、ハタと気が付いたのは、主人公のキャスティングではないだろうか、ということ。

 

主人公のアンソニーを演じたエリック・ボシックは演技も上手で非常にいい役者さんだと思ったのだが、怒りを増幅させて形態変化を繰り返して、ついに最終形態になった鉄男からも、爆発するまでの怒りが伝わってこなかった。
これは演出のせいでもあるし、エリック・ボシックのルックスが良すぎたのもあるが、ここらへん、日本人俳優びいきをするワケではないけど、やはり田口トモロヲほどの狂気がスクリーンから感じられなかったせいではないか。

かつて演劇の舞台上で、観客の前で電子ジャーの炊き立てのご飯の上に脱糞したという狂った武勇伝をもつ田口トモロヲくらいの役者さんでないと、おなじく狂った「ヤツ」を演じる塚本監督の狂気に対抗できないような気がする。

 

よく言われているが英語圏を意識し過ぎてちょっとアレだったかな?と個人的な感想。

 

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鉄男 THE BULLET MAN(字幕版)

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鉄男 THE BULLET MAN 【パーフェクト・エディション Blu-ray】

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鉄男 THE BULLET MAN (ビームコミックス)

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鉄男 THE BULLET MAN (ノンスケール塗装済み完成品フィギュア)

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鉄男 THE BULLET MAN 完全オリジナル・サウンドトラック盤

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完全鉄男 『鉄男』から『鉄男 THE BULLET MAN』までの軌跡

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