つまらなさには定評のある「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」作品のなかでも、とりわけポンコツ作品だった『スーサイド・スクワッド』だけど、マーゴット・ロビー演ずる彼女のビジュアルだけは、全DCEU作品でも断トツの人気を誇ったというハーレイ・クイン。
ポンコツ作品からこの魅力的なキャラクターのみを抽出してスピンオフ作品を作りたい、と熱望したのがマーゴット・ロビーその人だということで、しかも主演のみならずプロデューサーまで就任し、監督や脚本、共演者たちも多様な国籍の女性を起用し、昨今の社会的な潮流も反映させたいという意欲も感じられて、マーゴット・ロビーならやってくれるハズ!と思わずにおれなかったのだが・・・
・・やはり「DCエクステンデッド・ユニバース」だった。甘い期待は許されない。
まずストーリーが面白くない。
そもそも、これだけキャラ立ちのいい魅力的なスーパー・ヴィランを演技巧者な役者に演じさせて、どうしてここまでありきたりな物語に出来るのか不思議。とは言え、バットマン作品ではあくまでジョーカーの魅力的な相棒で引き立て役という立ち位置のキャラクターを単品の主役にするのは、考えてみれば困難なプロジェクトだったとは思うけど、それにしても、もう少し何とかならなかったものか。
今まではジョーカーの恋人ということでゴッサムシティの悪所でわがまま放題だったハーレイ・クインだが、なぜかジョーカーから捨てられ(理由不明)、ゴッサム最凶の犯罪者の庇護を失った彼女は、町中の悪人から狙われるハメになる。
・・ここまではいいのだが、その後は、邦題のように「覚醒」するワケでもなく、悪人なんだか善人なんだかよくわからない、どっちつかずなキャラクターのまま、同じく、なんでユアン・マクレガーまで起用して、こんな中途半端な悪役に仕上がったのか全く理解に苦しむラスボス「ブラックマスク」と対決。ありきたりなバトルシーンでありきたりにチャンチャン!という、観終わったあと「ふーん」という感想しか出なかった作品だった。
また今回の題名にもなった「BIRDS OF PREY」、DCコミックで女性だけのヒーローチームである「バーズ・オブ・プレイ」のメンバーで、本作でハーレイ・クインの仲間になる女性たちだが、予告を観るとなんとも地味な人ばかりで、いや、この地味なキャスティングとビジュアルが、むしろリアルでいい!と期待してたんだけど、本編を観たら本当に地味で中途半端なだけのキャラクター揃いだったのでズッコケてしまった。おいっ!
あと演出もイマサラ感が満点で、例えばデッドプールでお馴染みのメタ要素、主人公が観客に顔を向けて解説を語り出すという「第四の壁を破る」手法を多用したり、あの名作アクション映画『処刑人』でウィレム・デフォー演ずる刑事が行っていた、事件現場で実際に犯行が行われるシーンに刑事本人が居合わせるかのように推理を展開するシーンの演出を、意味もなく唐突にパクったりするなど、全体的に安っぽい印象が拭えなかった。
そして鑑賞前から薄々感じてはいたが、無理に頭から追い払っていたんだけど、本作のハーレイ・クイン、あんまり「悪カワ」(この言葉は大嫌いなのだがあえて使うけど)感を感じなくて、これはどうしてだろうかと考察してみたんだけど、メイクのせい?(白塗り感が少ない)髪形のせい?(ツインテールが短すぎる)・・いや単に加齢のためかと思う。
今日映画館に行くと隣が女子高生でスキャンダルの予告編にマーゴット・ロビーが出ると「この人ハーレイ・クインじゃない?」「うそ!?ハーレイ・クイン、めちゃオバハンやん!」と言っていて席から転げ落ちそうになった pic.twitter.com/cgoYt1vOU2
— ホットケノービ (@hotkenobi) 2020年1月31日
マーゴット・ロビーは好きな俳優だし彼女のハーレイ・クインもとても好きだが、冷静にみるとそろそろこの役にも無理があるのかな。来年公開予定のジェームズ・ガン監督の『スーサイド・スクワッド』では、どんなハーレイ・クインを演じるんだろう。期待と不安まじり。
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