直球タイトルながら評判がよく、地味ながら面白かった『アップグレード』のリー・ワネル監督作だったので観てきたが、確かに面白い作品だった。
そもそも透明人間なんて、数あるモンスター映画のなかでも格段に地味だし(なんせ姿が見えないので)、よっぽど練らないと面白い作品にならないと思うのだが、さすがリー・ワネル監督。
モンスター自体ではなく、モンスターに付け狙われる側を主人公に据えることで、目に見えない存在に襲われる恐怖を存分に描いていた。
数少ない透明人間映画でも印象深かったポール・バーホーベン監督『インビジブル』も、バーホーベン監督の変態ぶりが発揮された面白い作品だったが、あくまで透明人間側の主観で物語が進行するため、ホラー要素は少なかった。
本作は襲われる側の主観になるため、ホラー要素、サスペンス要素も強く、さらにはミステリー要素もあるので、クラシック・ホラーな趣のある作品に仕上がっていた。
脚本も良く、ストーリーに不整合も少ないので安心して鑑賞できる。
ユニバーサル映画の往年のモンスター作品をリメイクするプロジェクト「ダーク・ユニバース」の第1作目『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』が大コケしたらしく、「ダーク・ユニバース」構想はポシャってしまったため、本作は「ダーク・ユニバース」シリーズではなく単体作品となったそうだが、このレベルの作品だったら、フランケンシュタインや狼男、ドラキュラや半魚人などのリブート作を是非観てみたい。
『アップグレード』と同様、めちゃめちゃ面白い作品、というワケでもないが、リー・ワネル監督の独特の感性を感じさせる手堅い作品ということで、観て損はない作品。