こんにちは!
評判良かったけど劇場で見逃した、原恵一監督の劇場アニメ映画『百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~』。
遅ればせながらレンタルで鑑賞したので感想を。
原作は杉浦日向子さんの漫画『百日紅』。
杉浦さんの作品は昔、『ガロ』でたまに読んでましたが、それほど熱心な読者でもなく、今回の映画化を知って慌てて、『百日紅』と『合葬』を読んでみました。
(杉浦さん没後10周年記念なのか、『百日紅』のほか 『合葬』も今年実写映画化されましたね)
江戸情緒溢れる原作の『百日紅』は見事な作品で、今更ながらもこの作品に触れられたことはラッキーで、これだけでも今回の映画化に感謝したいです。
物語は、自身も腕の良い絵師であった葛飾北斎の娘、お栄(葛飾応為)が主人公。
父の北斎と居候の善次郎(渓斎英泉)との気ままな3人暮らしを描いた作品で、物語としては大きなストーリーがあるわけではありませんが、江戸の庶民の暮らしや情緒をたっぷりと味わえる、ちょっと不思議な物語です。
なお原作は短編集のような構成なので、特にストーリー性やオチもない。
原恵一監督の映画化作品は、原作中のいくつかのエピソードを抜き出して、お栄の妹で、盲目で病弱な「お猶(なお)」(北斎の四女)との物語を軸として、ストーリー性を持たせた作品に仕上げています。
また原作のお栄は、愛想も悪く、どちらかというと不美人だったため、父親の北斎から「アゴ」と呼ばれていますが(実際にもそう呼ばれていたらしい・・・とんでもない親父だ)、映画ではさすがにアゴ呼ばわりもなく、ちょっと美形に描かれています。
さすが、「大人も泣けるアニメ」と評判だった『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』を手掛けた監督。
原作の江戸情緒が見事にアニメで表現されており、かつ、ある意味、抑揚のない原作を情感のある作品に仕上げられています。
・・・そういえば昔の邦画で、新藤兼人監督『北斎漫画』という作品がありました。
北斎を緒形拳さん、お栄は田中裕子さんが演じていた。懐かしい。
★★★★★
・・・ぶっちゃけると アニメは好きではありません。
現代のクオリティの高い作品と違って、私の子供時代のアニメは、明らかに子供向けの単純な作品ばかり。どうしても「アニメは子供向けの作品」という印象が刷り込まれており、アニメ作品は自動的に、実写映画より一段低いランクになってしまいますすいません。
しかし小中学生の頃はご多分に漏れず『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)に、それはもうハマリにハマリまくって、ビデオデッキがない時代、テレビ放送の音声を毎週ラジカセで録音し(イデオンくらいまでそれやってた)、関連グッズも全部買ってましたが、さすがに高校生くらいには熱も冷めてしまった。
それから会社員になって、20代になって久しぶりにファーストガンダムを鑑賞したら、とてつもなく恥ずかしい、痛い!。
「アムロ、行きまーす!」とか、「ザクとは違うんだよ、ザクとは・・・」
・・・って・・・、痛い!痛すぎる!・・・イテテテ
思うに、アニメ作品や洋画の吹替えの声優さんの演技が大き過ぎて、自分的には「クサく」思ってしまうことも、アニメが好きになれない要因のひとつです。
最近だと、話題作だった『ゼロ・グラビティ』を仕方なく吹替えで観たのですが、・・・いやー、「友近のシガニー・ウィーバーものまねコント」みたいで、まったく気持ち悪かったです。
原恵一監督も過去、「声優の演技は大げさ」みたいなコメントをされて、アニメファンから大ブーイングを喰らったそうです。
本作も主要な登場人物は、ほぼ声優さんではなく女優さん、俳優さんを起用しています。
ただ原監督の真意は、本職の声優さんがダメだと言っているワケでなく、十分リスペクトされており、重要性も当然認識されていると思います。
「たまたま作品の表現方法がアニメだが、セリフについては抑揚のない(リアルな)表現をしたかった」だけなのかな、と感じます。
多くのジブリ作品でも、女優さん、俳優さんをキャスティングしており、描きたい内容によっては本職の声優さんを使用しない場合もある、ということかと思っています。
(それにしても『風立ちぬ』の主人公を映画監督の庵野秀明さんに演じさせるとは、確かに秀逸なアイデアだと驚嘆しました。)
★★★★★
アニメ嫌いではありますが、原恵一監督の『百日紅』は面白かった。既に3回繰り返して観た。
なお一説ではお栄さんこと葛飾応為、晩年は仏門に帰依し、加賀前田藩に扶持されて、金沢で没したとも伝えられているそうです。本当ならしみじみするな。。
もしお墓とか金沢にあったら、聖地巡礼してみたいものです。
それではー
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