okurejeの日記

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機龍警察、こんなに面白いのになぜまだコミカライズすらされないの?

 先日、文庫版『機龍警察 自爆条項 完全版』を読み終えた。

 

機龍警察 自爆条項〔完全版〕 上 (ハヤカワ文庫JA)

機龍警察 自爆条項〔完全版〕 上 (ハヤカワ文庫JA)

 
機龍警察 自爆条項〔完全版〕 下 (ハヤカワ文庫JA)

機龍警察 自爆条項〔完全版〕 下 (ハヤカワ文庫JA)

 

 
ライザ・ラードナー警部の切ないエピソードに、朝の通勤ラッシュの山手線内で思わず目が潤んでしまったよ。

 

月村了衛(つきむらりょうえ)著『機龍警察』シリーズは、龍機兵(ドラグーン)と呼ばれる高機能パワード・スーツを擁した警視庁の特殊なセクションが、凶悪なテロ犯罪組織に立ち向かうSF警察小説である。

簡単にいうと『機動警察パトレイバー』をよりシリアスに、リアルにしたような物語で、なにせタイトルがベッタベタなので正直読むまでは、なんで今時、こんな手垢にまみれたテーマのベタな小説が人気があるのか不審だったが、読んでみたらこれが面白かった!

まず龍機兵(ドラグーン)の描写が想像以上にリアルで、操縦方法なども最近のロボット技術の目まぐるしい進歩を見たら「確かにアリかも」と思わせるほどメカ表現に説得力があった。また登場人物もキャラクターが立ちまくっていて、外務省出身のクールでクレバーな警視長、日系のスゴ腕現役傭兵、元モスクワ警察だったロシア人、「死神」の異名で知られるアイルランドの元女性テロリスト、眼鏡っ子の女性技術主任など、多様な人種と経歴を持つ人物の群像劇になっている。
そして説得力があったのは、高村薫の合田雄一郎刑事シリーズばりの警察小説にもなっている点。セクション同士のライバル意識が異常に強い警察組織内部の軋轢や、果ては警視庁や外務省、内閣官房など各省庁間の縄張り争いと、日本組織特有の閉塞感を生々しく描いている。また舞台がグローバルなので、世界情勢や世界のテロ組織の勉強にもなる。

とにかく色んなドラマが詰まっていてめちゃくちゃ読み応えのある小説これだけの作品。きっと各所からコンテンツ化のオファーが殺到しているハズなのに、シリーズ1作目の『機龍警察』が刊行されてから既に7年も経つが、なぜか未だにコミカライズすらされていないのが不思議だ。

まぁヒット作の伊藤計劃著『虐殺器官』もコミカライズまで7年、劇場アニメ化されるまで10年を要したので、それくらいはかかるのかな。(しかし『虐殺器官』は正直、面白く感じられず途中で読むのを止めてしまったが、なぜ世間的には『機龍警察』より評価されているのか、個人的には疑問だ。)

 

あともう一つ不思議なのが、本シリーズがなかなか文庫化されないことだ。

自分は文庫派なので、文庫が刊行されるまでセコくじっくり待つタイプ。現在は既にシリーズ6作目の『機龍警察 狼眼殺手』まで単行本化されており、シリーズ3作目の『機龍警察 暗黒市場』は、単行本で刊行されてからもう5年も経つのに、未だに文庫化されないのは何でだ?続きが読めないじゃないか!

なお大幅加筆されたという「完全版」だが、『機龍警察 自爆条項 完全版』のあとがきによれば、『機龍警察 暗黒市場』からは完全版の刊行はないらしいので、ちょっとホッとしてる。(同じ話を通常版と完全版の2冊も買うのは厳しいゾ!)

 

最後に・・もし『機龍警察』シリーズが実写映画化された場合のキャストについて。

現代のCG技術なら龍機兵の実写化もまったく問題なく映像化可能だと思うが、なんとなく本シリーズは、実写映画化には向かない気がする。登場人物のキャラがあまりに完璧というかカッコ良すぎて、そのまま実写化したら逆に野暮ったくなりそうだから。なので映像化するとしたらアニメが適当だろう。

でもあえて実写化した場合の登場人物の配役を無理やり考えてみたけど、これが難しい。あまりに完璧なキャラクター揃いなため、実写の配役にぴったりの役者さんが全然思い浮かばないのだ。すぐに思いつくのは、日本のかわい子ちゃん女優だったら誰でもいい、鈴石緑の配役くらい。

 

まずは、沖津旬一郎(おきづ しゅんいちろう)警視長

・・・のっけから難しい。冷徹なまでにクールで理知的。それでいて飄々として腹の底がまるで見えないアラフォーの伊達男。イメージとしては、若い頃の片岡孝夫(現・十五代目 片岡仁左衛門)なんだけど、現代の旬の役者で起用するとしたら野村萬斎だろうか。

 

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次に、本作品のほぼ主役、姿俊之(すがた としゆき)警部

これが一番思いつかない。
世界一優秀な傭兵 = 戦場での殺人のプロだが、人情も厚いちょい三枚目キャラ。

ただのマッチョなだけの俳優ではダメで、日本の男優で彼を演じられる役者は正直思いつかない。アベちゃん(阿部寛)だとクド過ぎるし、そもそも大根だ。
・・もうこうなったら、鈴木”セゴどん”亮平に頼らざるを得ないだろう。ちょっとニヒルさは足りない気がするが、シリアスな役から銭形警部まで演じきった日本の若きデ・ニーロ。ここはもう、変態仮面にお願いするしかないだろう。

 

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ユーリ・オズノフ警部

まっさきに思い浮かんだのは当然、ロッキー4でイワン・ドラゴを演じた時代のドルフ・ラングレンだが、さすがに還暦を過ぎた現在ではトウが立ち過ぎている。

 

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ちょっとワイルドすぎるが、『チャイルド44 森に消えた子供たち』でソ連のMGB捜査官を演じたトム・ハーディではどうだろうか。ただし日本で製作したら、彼のギャラだけで製作費の50倍くらいかかりそうだけど。

 

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ライザ・ラードナー警部

過去のテロリスト時代での多くの殺人行為や肉親の死を悔悟するあまり、死をもって贖罪を果たすべく、あえて激しい戦闘を求めるブロンドの女性兵士。ハリウッド女優からは彼女をイメージさせる女性がまったく思いつかない。そこで、同じアイルランド出身の女優、シアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)はどうだろうか。

 

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鈴石緑(すずいし みどり)技術主任。

家族をイングランドのテロ事件で殺され、そのテロ事件を起こした同じテロ・グループに所属するライザ・ラードナー警部を憎みながらも、警部の複雑な生立ちを知ることで徐々に警部を理解していく(と思われる)、理系でメカおたくの眼鏡美女。まぁ吉岡里帆ちゃんで決まりでしょう。

 

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ということで『機龍警察』。
今後、どんなメディアで登場することになるのか非常に楽しみ。
ただその前に、一刻も早くシリーズ3作目の『機龍警察 暗黒市場』の文庫化ヨロ!

 

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