okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『斬、』 感想

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塚本晋也監督の初時代劇『斬、』(Killing)。
これは公開初日に劇場に行かねばならないだろう。

・・って、本当は初日舞台挨拶付きのチケットを狙っていたのだが、うっかり出遅れて入手できなかった!無念!

それにしても長年、様々なテーマの作品を撮り続けてきた塚本監督だけど、時代劇は初めてというのは、確かに意外。

 

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いったいどんな時代劇になるのか全く想像がつかなかったが、いずれにせよ、シャープな殺陣を堪能できる作品だと勝手に思っていた。

 

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舞台は、幕末の江戸近郊の農村。
若き脱藩浪人の都築杢之進(池松壮亮)は、農家に世話になりながら、いずれ動乱の中央に出て剣の腕を振るうだろうと思いつつ、隣人の農家の息子・市助に稽古をつけ、また、市助と、市助と姉のゆう(蒼井優)との3人で、穏やかな農村での暮らしを送っていた。
ある日、村を訪れた剣豪・澤村次郎左衛門(塚本晋也)は、偶然に見た杢之進の腕を見込んで、いっしょに江戸へ向かい徳川幕府方に合流し、来るべき京都での動乱に参戦するよう誘い、杢之進も承知する。だが出立の前、どこからか流れてきた無頼者たちと争うことになる。

 

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最初からラストまで、途切れることがない殺気立つような緊張感、美しくシャープな映像、刀身と鞘が触れる細やかな音や鞘走りの音など、研ぎ澄まされて澄み切った音響、サウンド。
まさに尊みしかない、塚本監督の作品。

 

・・しかし、自分が思ってた時代劇とあまりにも違っていた・・

 

解剖によって人間の肉体の内部を細かく描写した『ヴィタール』のように、刀身そのものや、斬られた肉体を細かく描写する映画だと勝手に思っていたのだが、なんと本作は『野火』と同様のテーマの作品らしく、剣術を極めながら、実際に刀で人を斬ることに死ぬほど懊悩する若者を描いた作品で、結局主人公の杢之進は、めっちゃ悪人の中村達也が演ずるならず者たちと1度も真剣で立ち合うこともせず、あげくにボコられるという・・

いや、塚本監督が描きたかったテーマは、パンフレットなど後付けの情報で理解はしたんだけど、そんならそうと早く言っていただかないと・・
池松壮亮クンが見事な殺陣で悪人をバッタバッタと斬り倒すシーンがいつ来るのか、いつ来るのかと思って期待してたら悪人にやられっ放しという、この肩透かし感ったら・・

シーンとしてはわずかながら、塚本監督が演じる澤村次郎左衛門の殺陣のアクションシーンはめちゃくちゃカッコよかったんですけどね。

 

あと、どうも蒼井優が苦手です。
実写版「るろうに剣心」での役柄、原作未読なのでよく知らないけど、あだっぽい姐さんを演じているらしいのだが、可愛いのか色っぽいのか判断しがたい中途半端なキャラクターにしか感じられず、この作品から彼女にはいい印象を持っていない。
今回の役柄も、演技は上手だと思うのだが、どうもハマっていないような気がして、イマイチ作品に乗り切れない要因の一つとなってしまった。

 

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メタファーも多くて、1回観ただけでは自分には理解し切れない作品ではあったけど、改めて、「この作品は反戦映画である」という塚本監督のコトバを噛み締めてから、再度この作品を観たいと思う。

 


『斬、』予告

 

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塚本晋也「野火」全記録

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