okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『ある船頭の話』 感想

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ポイントを貯めるため、最近では殆ど現金を使わないので、たまにコンビニのレジの列に並んでいるとき、モタモタ現金支払いしてる人がいるとイラっとしてしまう。
なので、個人経営のオシャレな店主に扮したオダギリジョーが、自分の店がキャッシュレス対応していないため、世界のスーパー・セレブの入店をみすみす逃してしまうCMを見ると思わずニヤついてしまう。超がつくほどスタイリッシュでオシャレなのに、どこかトボケ味を感じさせる演技もオダギリジョーならでは。

 

そんなオダギリジョー初の長編映画である『ある船頭の話』、彼が映画監督として作品を作る側になったというのも驚きだったが、実は監督は初めてではなく、過去にも何作か中編や小編映画を撮っていたとは知らなかった。

 

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物語の主人公は、明治後期から大正を思わせる時代、山間の河のたもとに粗末な小屋で一人暮らすトイチ(柄本明)で、河で隔たれた村と町を渡し舟で繋ぐ船頭を生業としている。しかし近代化の波はこんな山間の田舎にも訪れており、まもなくレンガ造りの立派な橋が出来ようとしている。橋がかかれば当然、船頭の仕事は廃業せざるを得なくなるが、それでも彼は黙々と舟を漕ぐ日々を続けている。
そんなある日、意識を失った1人の少女(川島鈴遥)が河から流れつく。「おふう」と名乗るその少女はトイチに介抱されて一命をとりとめるが、名前以外は何も語ろうとしないまま、トイチの小屋に住み着くようになる。謎めいた少女との奇妙な共同生活を送るうちに、いよいよ橋も完成に差し掛かる・・

 

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とにかくキャスト、スタッフが豪華な映画で、オダギリジョーの交遊の広さを感じさせる。永瀬正敏や浅野忠信、村上淳、ベテランの草笛光子、そしてなんと細野晴臣まで出演しているが、なんで細野さんまで出てるの!?(しかも細野さんは割と物語のキーになる役)
スタッフもめちゃくちゃ豪華で、撮影監督はウォン・カーウァイ監督作品でお馴染みのクリストファー・ドイルで、衣装はなんと、大島渚監督『御法度』でまさかのダンダラ模様じゃない黒の隊服をデザインしたワダ・エミ。
スタイリッシュなワダ・エミの衣装を身に付けた柄本明の演技とクリストファー・ドイルの美麗な映像が素晴らしくないワケがなく、これだけでお腹一杯な作品だった。

 

ストーリーはそれほどヒネリもないし、(あえてそうしているのか)わかり易すぎる演出もあれば、時折、ファンタジーな暗喩シーンがあって戸惑うが、とにかくすべてのスタッフ、キャストが丁寧に丁寧に作品を創り上げているのがありありと伝わってくる、美しくて素晴らしい作品だと感じた。

 

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ただ、これは作品ではなく鑑賞した劇場の話なのだけど、いまのところ本作唯一の東京圏での上映館である新宿武蔵野館だが、座席の傾斜が少ないため、前の座席の人の頭がスクリーンに被ることがよくあるのだが、今回は過去最悪に酷くて、最初から最後まで、前列の人の後頭部がスクリーンの4分の1くらい被っていた。
まるで後頭部を鑑賞しに来たかと思ったくらいで、作品への没入度が著しく下がってしまった。


作品チョイスもよく、館内もキレイで清潔なのでとても良い映画館だと思うのだが、座席フラット問題は多くの人がネット上でも指摘しており、自分もよっぽど観たい作品がない場合はこちらの劇場には足が向かなくなった。もうちょっと何とかなんないかな・・

 

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映画『ある船頭の話』予告篇| 9月13日(金)全国公開

 

ということで、映像も音響も素晴らしいオダギリ監督の思いが詰まった力作、これから観られる方はなるべく前席の人の頭がスクリーンに被らない環境での鑑賞をお勧めします!

 

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