okurejeの日記

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『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』 感想

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劇作家エドモン・ロスタンが、世界的に有名な戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を短納期のなか、苦しまぎれに書き上げるまでのドタバタ騒動を描いたフランス発の喜劇映画。
なお原題は『Edmond』なので、邦題は超わかりやすいタイトルになっているが、確かにこの邦題でなければ本作を絶対に見過ごしてしまったと思われる・・

 

さて、本作を観る前の予習として、まずは『シラノ・ド・ベルジュラック』を観とかないと・・・ということで、ジェラール・ドパルデューがシラノを演じた1991年日本公開版のBlu-rayを購入し、前夜に鑑賞した。
ドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』は確か公開当時に劇場で鑑賞したんだけど、内容はすっかり忘れていたので、事前鑑賞しておいて良かった。
おそらく本作『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! 』は、『シラノ・ド・ベルジュラック』を知らなくてもそこそこ楽しめる映画ではあるけれど、そもそもが、現代では名作中の名作とされている戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を、主人公が苦労して書き上げるストーリーなので、やはりネタ元を知っているほうが望ましいだろう。

 

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舞台は1897年のパリ。詩人で劇作家であるエドモン・ロスタンは、自分の作品が劇場支配人から酷評され、わずか一週間で打ち切りの憂き目となって激しく落ち込む。そんな失意のエドモンを、知人であり理解者でもある大女優サラ・ベルナールが励まし、有名俳優のコンスタン・コクランに新作を売り込むように勧める。そして、新作の構想がゼロのままコクランに面会したエドモンは、コクランに3週間で喜劇を仕上げるよう依頼され、「はい、喜んで!」とばかりに引き受けるが、決まっているのは17世紀に実在した詩人で学者でもありながら勇猛な銃士でもあったシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にした喜劇、というモチーフのみ。
さらに、肝心のコクランは借金のため債権者から追われ、スポンサーはあれこれと注文をつけ、主演女優はわがままで・・と、脚本が進まないばかりかトラブルも続出。果たしてこの新作舞台は上演にこぎ着けられるのか・・

 

後世に100年以上も上演され、愛され続けてきた戯曲の誕生秘話を虚実を織り交ぜて描いた作品で、当時の舞台人たちの心意気をも感じさせる、楽しいエンターテインメント作品だった。
そしてコメディながら感動作でもあり、無事に初演を迎えることができた『シラノ・ド・ベルジュラック』の第5幕であるクライマックスのシーンが、舞台ではなく実際の野外シーンで撮影された映画のような映像に切り替わる演出には、思わずホロリとしてしまった。前夜に鑑賞したドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』での同シーンよりも、むしろ感動したかもしれない。

 

なお本作のエンドロールでは、過去にシラノを演じた俳優の映像が次々に流れるのだが、なんとコンスタン・コクランがシラノを演じた映像が最初に流れてきてビックリ!こんな古い映像が現存していたとは!
あとこの映像は時系列に流れていたんだけど、1990年のドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』の映像は流れず2000年代の作品の映像になったので、ドパルデュー版はスキップされたのかと思っていたら、最後の映像がドパルデュー版だったので・・やはり現代フランスでもドパルデュー版が最もポピュラーなんだな・・となった。

ということで本作を観に行く際は、やはりドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』を事前鑑賞することを強くお勧めします。

 

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シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)

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  • 作者:ロスタン
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: Kindle版
 
日月両世界旅行記 (岩波文庫)

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