okurejeの日記

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『ワンダーウーマン 1984』 感想

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コロナ禍で劇場公開が半年以上も延期された本作『ワンダーウーマン 1984』だが、予告編を観てもさっぱり面白くなさそう。。

 

めっちゃ酷評だった映画『キャッツ』の猫みたいなヴィランは見るからにショボいし、金ぴかアーマーはどう見てもチンドン屋にしか見えないし、なにより、前作で死亡したクリス・パイン演じるスティーブ・トレバーをまた出してくるなんて、よっぽどネタ切れかよ!と呆れてしまった。

そもそも、つまらなさには定評のある「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」の作品である。前作の『ワンダーウーマン』にしても、他のDCEU作品に比べたらマシなほうではあったが、殆どが主役のガル・ガドット嬢の魅力で持っていたようなもので、作品のクオリティとしてはマーベルのヒーロー映画に軍配が上がってしまう。
・・どうせ新作も、ラスボスは巨大モンスターなんでしょ?
DC映画はそろそろラスボスに巨大モンスター持ってくるのを中止せんかい!

 

・・なので完全スルーのつもりだったが、まぁ休日だしヒマつぶしに観てやっか・・くらいの気持ちで、期待値0%で観に行った。

 

物語は前作の第一次大戦終結から70年近くを経た1984年。先進国がイケイケだった時代。ワンダーウーマンことダイアナ・プリンスはスミソニアン博物館で考古学者として働きながら、人知れずコスプレ姿で市民を守っていた。
ある日、同僚のバーバラが調査している、願いを一つだけ叶えてくれるという古代の不思議な石(?)に、かつての恋人スティーブ・トレバーの復活を冗談半分で願ったら、なんと生きたスティーブが目の前に現れた! なんじゃそりゃー! 魔法ってかー!

 

・・・こう書くと今時の映画とは思えないアホ作品のようだけど、これが期待値が低かったせいか、意外にも良作だった。

 

まず物語のテーマが良くて、80年代といえばアメリカが消費社会として最高潮を迎える時代であり、人々の欲望も膨れ上がっていた浮かれた世相だったが、その膨らんだ欲望を叶えるために払った代償が、分断と格差にあえぐ現代社会であり、これを癒すのは、人々がお互いを思いやる行為、「愛」しかない、と訴える作品であると感じた。
『鬼滅の刃』原作者の吾峠呼世晴先生についてと同様、またまたジェンダー的な視点で語るのは気恥ずかしいのだが、やはり女性監督の目線と感性で描かれた作品ならでは、と言えるのではないだろうか。

 

また懸念だったスティーブ・トレバーの再登場だが、彼の復活は物語上とても説得力があり、ダイアナが平和の戦士として精神的にさらなる成長を遂げる重要な役割を担っていた。ラスト近くでのスティーブとダイアナのシーンでは思わず涙腺が緩んでしまったほど。

 

『ゴーストバスターズ』リブート版で主役を好演したクリステン・ウィグが演じたバーバラ・ミネルバは、ラストシーンでは悲しいことに、第40回ゴールデンラズベリー賞で最多6部門を受賞した『キャッツ』になってしまうのだが、彼女の好演も光った。
最初はドジでノロマで優しい性格だったが、不思議な石(?)の魔力で魅惑的かつ超人的な悪役に変貌する過程をユーモラスかつ迫力の演技で表現しており、さすが『ゴーストバスターズ』!となってしまった。

 

そして何より、ラスボスが巨大モンスターじゃないのがいい!
今回の悪役、(知らなかったのだが)あの人気作品『マンダロリアン』の主役、マンダロリアンの中の人で有名なペドロ・パスカルが演じるマックス・ロードだが、最初は単なる経営破綻で首が回らなくなった経営者だったのが、不思議な石(?)に取り込まれて、世界中を破滅と混乱に陥れる超危険人物になってしまう。
・・これまでのDCEU作品の流れとしては、まず間違いなくマックス・ロードがラストに巨大モンスターに変身してラストバトルを繰り広げる、という鉄板の展開になるハズだが、本作ではそんな子供だましのような展開にならなかったのは評価に値する。

 

・・ただし、やはり雑な設定も当然残っていて、そもそもワンダーウーマン自体が第二次大戦中に誕生したクラシックなアメコミ・キャラクターであるため仕方ないのだが、例えば、アマゾン族は女性しかいないのになぜ子孫を残せるのか、神の子で空も飛べて巨大モンスターに投げ飛ばされても無傷なほど強靭な肉体を持つのになぜ弾丸に弱いのか、なぜ戦闘時だけあのコスチュームになるのか、あのコスチュームは服の下に着ているのか、それとも速攻で着替えているのか・・・などの素朴な疑問に現代的な解釈を与えず曖昧なままにしているのは残念なところ。そこらへんマーベル映画は優秀で、同じく戦中生まれのキャプテン・アメリカの実写版では、古臭いアメコミ設定を現代的にアレンジしているので観ていても説得力がある。DCはツメが甘すぎるんだよね。

 

とはいえ、クッソつまらないDCEU作品群のなかでは珍しく大人でも見応えのある作品だったし、カメオ出演のリンダ・カーターも素敵だったので、劇場で鑑賞できて良かった!

 

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