実は新世紀エヴァンゲリオンについてはテレビアニメ版はもちろん、劇場版も一切観たことはない。
なのに今回、完結編と言われる(なにが完結なのかもわかっていなかった)『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観に行った理由は、まさに「乗るしかない、このビッグウェーブに。」といった心境で、あくまでミーハーな動機から。
それ以外の動機としては以下が挙げられるだろうか。
まずは、一連の新海誠監督作品や『鬼滅の刃』のおかげで、アニメ作品を観ることへのハードルがかなり下がったこと。「アニメ映画なんてしょせん、子供向け」といった偏見を持つ人は一定数いると思うが自分もその一人で、ましてや映画館でアニメ作品を観るなんてかつてはありえなかったのだが、クオリティの高い新海誠監督作を観て認識が徐々に変化していき、アマプラでヘビロテしている『鬼滅の刃』が決定打となった。偏見はダメだよね・・
あとは、なんだかんだ言って、ここ数年で一番面白かった映画は『シン・ゴジラ』で、庵野カントクの感性には絶対の信頼を抱かざるを得ない。そんな庵野カントクがここまで引っ張って、まさに満を持てして公開した作品が、たとえ過去作を全く観ておらずアニメ作品であろうとも面白くないワケがないだろう・・・という変な自信を持って鑑賞したのだが、やはり、とんでもない作品だった。
なおエヴァンゲリオンの知識は全くのゼロではなく、コミカライズ版(貞本エヴァ)は読んでいたので(過去にkindle版で1冊50円という頭のおかしい値付け、全14巻購入しても700円という破格値だったことがあり購入した)、おおよそのストーリーは把握していたし、物語が想像以上にハードで斬新な作品であることも了解したが、何度読んでも、特異な設定や用語、世界観が難解過ぎて、まったく理解できなかった。
ましてや本劇場版は再リビルドされた過去3作(・・というか新劇場版の前に旧劇場版というのも何作かあると知ってめまいがしている・・)の完結編という位置づけなので、コミカライズ版を読んだ程度の知識でこの作品を観たって簡単に作品世界にキャッチアップできるワケではないのだが・・・
それでも何と言うか・・「とんでもない作品を観てしまった」感がハンパなかった。
というか、コミカライズ版も当然読んでおらず、エヴァンゲリオンなんて全く興味が無くて嫌がる妻を無理やり同行させたが、そんな人でも上映中に何度かすすり泣いていた事実がこの作品の凄みを感じさせる。知識ほぼゼロで、劇中で語られる用語や設定、世界観、テーマ、だれが敵か味方かもさっぱりわからなくても、十分にインパクトを受けて楽しめる作品に感じたのは、いったい何故なんだろう・・・
大スクリーンで鑑賞したから? メカニック描写が緻密で斬新で迫力があったから? キャラクターが魅力的だったから? モーションキャプチャーを使用したり絵コンテみたいな作画になったり、演出が斬新だったから? ・・意味がわからな過ぎて煙に巻かれてしまったから?
いろんな要素があるんだけど、庵野カントクの作り出した壮大な世界観には驚嘆するしかなかった。エンドロールが終わって拍手するお客さんもいたが、さもありなんといったところ。
『鬼滅の刃』はシンプルで面白い作品だし、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も楽しめたのは間違いないが、単体の映画作品としてみたら圧倒的に『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のほうがクオリティが高い。ある意味、歴史の1ページを飾る瞬間に立ち会えたかな?くらいな衝撃だった。意味はさっぱりわからなかったけど・・