okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

【スポンサーリンク】

『ぼんとリンちゃん』 感想

f:id:okureje:20210708164741j:plain

 

もう先月になってしまったが、渋谷シネクイントで開催されていた小林啓一監督作品特集上映より、舞台挨拶つき『ぼんとリンちゃん』を鑑賞した。

 

f:id:okureje:20210708164746j:plain

 

『ぼんとリンちゃん』が劇場公開されたのは2014年9月。公開当時は作品について全然知らず、後に名作とのうわさを聞いてDVDを観たのだが、確かに面白い作品で、勢いでノベライズまで読んでしまったほど。

本作の魅力は何といっても、主人公の四谷夏子(通称"ぼん")を演じる佐倉絵麻さんの見事な腐女子演技と、透明感抜群の友田麟太郎(通称”リン”)を演じる高杉真宙クンと会田直人(通称”べびちゃん”)を演じる桃月庵白酒師匠との掛け合いだろう。


初めて観たのは2015年なんだけど、当時は今ほど腐女子の生態もポピュラーではなく、ボーカロイドによる楽曲もブレーク途中だったので、佐倉絵麻さんのリアルなオタク演技と初音ミクによる主題歌なども斬新だった。
もともと本作は、小林啓一監督の知り合いのオタクカップルの会話が独特で面白かったそうで、そこから発想を得た作品だそうだが、確かに劇中のぼんちゃんみたいな独特な話し方をする腐女子の女性なども実際にいるので、当時は物珍しさも感じた。
しかし現在ではオタクも腐女子もボーカロイドも当たり前に世間に浸透しているので、6年ぶりに本作を観てもさすがに真新しさは感じられなかった・・というかあからさまなオタク会話に最初は若干気恥ずかしさも感じた。そして、改めて観るとストーリーも唐突な感じがしないでもない。

 

物語は、「ぼんちゃん」こと大学生の四谷夏子と、彼女の幼馴染で1歳年下の浪人生、「リンちゃん」こと友田麟太郎が、共通の友人で東京に行ったきりの「肉便器」こと斉藤みゆを探しに東京に出てきたところから始まる。オンラインゲームで知り合ったオタクなサラリーマン「べびちゃん」こと会田直人に協力してもらいながら、不案内な東京で友人探しを行い、ついに彼女と再会することになったのだが・・・

 

そもそも、ぼんちゃんとリンちゃんがなぜ友人のみゆちゃん探しのために上京することになったのか、冒頭の字幕で簡単に説明されるのだが、短い文章だけでは今一つ深い事情がわからない。また、劇中で実際にみゆちゃんが登場するのはラストの再会シーンからなので、映画だけ観ていたら、みゆちゃんというキャラクターとぼんちゃんリンちゃんとの関係性もよく掴めない。

映画を観終わったあと、これも久しぶりにノベライズを読み返してみたのだが、小林監督が映画の一般公開前に書き上げたというノベライズ版では、映画本編のストーリーは後半、全編の半分以下で、多くがぼんとリンちゃん、みゆちゃんが親しくなるキッカケから、みゆちゃんの家庭が複雑で実家を出ざるを得ない事情、そしてついに上京して会いに行こうとする理由までしっかり描かれているので、『ぼんとリンちゃん』という作品すべてを理解するためには、ノベライズを読んで補完するしかない。

 

・・・だが、じゃあ今この作品を観てもたいして面白くないかというと全然そうではなくて、ぼんちゃんの徹底的な腐女子キャラは特異で楽しいし、高杉真宙クンの中性的な魅力は最高だし、今では押しも押されもせぬ落語会の至宝、桃月庵白酒師匠の当時のとぼけた演技は貴重。
自宅でもう1度鑑賞したくてBlu-rayも購入して再度観直したが、やはり自分はこの作品が好きなんだな・・と再認識した。

 

それにしても、初公開から7年ぶりの小林啓一監督と佐倉絵麻さんの舞台挨拶に立ち会えたのはラッキーだった。小林監督にとっては大事な長編2作目で、佐倉さんにとっては初主演という重みのある印象深い作品であり、両者の当時の思い入れが強く伝わってきた。

貴重な上映会だった。

 

f:id:okureje:20210708164756j:plain

 

 

【スポンサーリンク】