okurejeの日記

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20周年特別上映『六月の蛇』 感想

 

『六月の蛇』公開20周年上映ということで、新装なった新文芸坐にて鑑賞。

 

 

金沢のミニシアター、シネモンドで初めて鑑賞してから早20年・・
月日の経つのは早いのだけど、久しぶりに劇場で観た本作、まったく色褪せておらず驚いた。

 

 

改めて鑑賞して、思ったよりシンプルな内容だったのだ、と感じた。
塚本晋也監督作らしく、一部難解なシーンもあったが、ストーリー自体には変な捻りもないので、素直にシンプルに物語を楽しむことができた。上映後にトークショー、というのもあるだろうが、エンドクレジットが終わって思わず会場から拍手が起きたのは、観客がみんな、この作品を堪能したことの証左なんだろう。
それにしても、久しぶりに、りん子の夫・辰巳重彦を演じた神足裕司さん(コータリさん)の「いーのいーの!」というセリフを聞いて、当時と同じく笑ってしまった。演技もセリフも素人で、そりゃ本職の俳優ではないからしょうがないのだが、その素人演技が物語が進むうちに全く気にならなくなるのも、コレ、塚本マジックなんだろうか・・

そして、やはり凄いのが、主役の辰巳りん子を演じた、黒沢あすか。
すごく上手いし、とにかくカッコいい。黒沢さんの演技に、観る人は全員、息をのんだのではないだろうか。

 

 

さて終演後のトークショーだが、これがとても良かった。
司会が花俟良王(はなまつ りょお)さんだったこともあるが、今までトークショーでこれだけ感動したことはあっただろうか。
とにかく黒沢あすかさんがトーク上手で、今回は今まで知らなかったお話も聞けた。
『六月の蛇』は文字通り、黒沢さんにとってもターニングポイントとなった作品で、当時ご実家暮らしで、役者業以外の職業も考えており、ホームヘルパーの資格を取得し、近所の介護施設への内定がまさに決まったその日に塚本監督からオファー依頼があったとのこと。介護施設での面談を終えて帰途についたその足で施設に戻り、謝罪して内定を取り消して頂き、逆に施設の面接担当者の方から応援の言葉をもらったというお話には感動した。塚本監督にもターニングポイントになった作品だったそうだが、いろんな思いの詰まった作品であったのだな、と改めて感じた。

 

 

それにしても新文芸坐、コロナ禍で打撃も多かったと思われるのに、あえてのリニューアル・・
とても綺麗になっていたし、あと、『これまでの「自由席・入替なし・当日券のみ」から、オンライン・窓口で購入可能の「指定席・入替制・前売券あり」に変更。さらに2本の作品それぞれが「当日のどの回を選んでもOK(=続けて見なくてもOK)」となる。』というシステム変更はとてもありがたい。

 

 

とにかく映像が綺麗で丁寧で、音も良くて、役者もカッコいい映画で、絵が綺麗で、絵が綺麗な映画を、このような劇場で鑑賞することができて、本当に良かった。

 


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