okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『二人ノ世界』 感想

 

朝ドラ『虎に翼』の男装の弁護士・山田よね役で全国的に認知度がアップした土居志央梨。
彼女が永瀬正敏とのW主演で、盲目の介護ヘルパーを演じるという藤本啓太監督作品『二人ノ世界』を、錦糸町にあるミニシアター「Stranger」で鑑賞。

なお本作、2020年7月に劇場公開され、制作自体は2017年という古い作品らしいが(撮影自体はさらに古く、2013年らしい)、公開当時、この作品の存在は全く知らなかった。

あの土居志央梨が主演してた映画ってどんなの?的な感覚で観に行ったんだけど、Stranger、かける作品のチョイスが本当にうまい。
ミニシアターとはいえど、文芸作品やアート作品のようなマイナー作品ばかり上映するワケではなく、シネコンで上映されるようなメジャー作品もラインナップに入れるし、最近では『侍タイムスリッパー』が大ヒットしたと思えば、すかさず安田淳一監督の過去作『ごはん』を上映してみたり、本作で言えば朝ドラで認知度が上昇した俳優の過去作も一早く上映するなど、映画ファンのニーズを取り入れるのが巧み。

 

 

さて本作。
バイク事故で頸椎を損傷し、首から下の自由を失った高木俊作(永瀬正敏)。
自宅で老齢の父親である高木吾平(牧口元美)が介護しているが、さすがに一人ではキツいので介護ヘルパーを雇おうとするも、生きる希望もなく自暴自棄となった俊作は、ヘルパーに暴言を吐いて長続きさせない。
ある日、そんな偏屈な男の介護をさせて欲しいと、全盲の平原華恵(土居志央梨)が突然、高木家を訪ねてくる。
・・いくら何でも目が見えないばかりか、ヘルパーの資格もない人間に介護なんてできないだろ・・と訝しむが、俊作の暴言にもめげず、淡々と介護しようとする華恵を気に入った吾平は、嫌がる俊作を無視して彼女を雇い入れることにする。
しかし、自分の人生に絶望感しかない俊作は、なかなか華恵を受け入れようとしない。
そんな日々が続いていたが、ある日、吾平が検査入院することに・・

 

全盲の人が一人で、頸髄損傷の成人男性を介護するというのはさすがに無理があると思うので、この物語はある種のファンタジーなんだけど、それでも迫ってくる作品だった。
障害者をテーマにした作品は、基本的には、健常者のサポートを受けて明るく生きていこうとする希望を感じさせるストーリーが一般的だと思うが、本作では、やはり障害者は生きづらいという描写が主で、設定はファンタジーでも、テーマはあくまでリアル。
結局、障害者の辛さ、生きづらさなんて、自分が当事者になってみないと絶対にわからないだろうな・・とひしひしと感じた。
そして正直、たまに近所の歩道で電動車いすとすれ違う際、内心ちょっと邪魔だな・・と思ったこともあったが、本作を観たら、今後は絶対に、障害を抱えている人が街中で困っていたら、全力でサポートすべきと心に誓った。

 

そして何と言っても。
永瀬正敏がうまいのは当然のこととして、撮影当時、若干21歳だったという土居志央梨の演技にとにかく圧倒された。当時はまだ大学在学中だったと思うけど、よくぞあの若さであんな難しい役をこなせたものだと・・
他県人なので地元の方には違和感があるかもだけど、福岡県出身なのに、京都弁もそつがなく感じたのは京都造形芸術大学生だからなのか。
とにかく土居志央梨がカッコいい映画。
『虎に翼』で初めて土居志央梨を知ったが、『虎に翼』ではそれほど惹かれなかったけど、本作で断然、土居志央梨のファンになってしまった!

 

それにしても、先述した安田淳一監督の『侍タイムスリッパー』や『ごはん』でも思ったが、関西弁はいい味を出しているというか、本作でも終始重苦しいストーリーのなかでも、高木吾平(牧口元美)の関西弁がシリアスな空気をいい感じで和ますというか、ホッコリさせるというか。
・・って、牧口元美も東京出身なのか。俳優よのぉ・・・


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二人ノ世界

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