
この作品自体を先週まで全く知らなかった。
たまたま劇中の1シーンの動画を見て、聞いたこともない低予算作品の割には、腰の据わったガンアクションだな・・と思い観に行くことにしたが、新作なのに、なんと都内ではTOHOシネマズ日比谷の1館でしか上映していない!
TOHOシネマズは割引も少なくなったので長らく利用しておらず、TOHOシネマズ日比谷なんて3年ぶりくらいなので、劇場に辿り着くまで迷ってしまった。こんな偏差値低めのラテン・アクション映画を、なんで東京ミッドタウン日比谷の映画館でかけるんだ?
・・てなことはどうでもいいが、本作、とっても面白かった!
なんなら、今年のベストスリーに入るくらいの良作。
ストーリーやキャラクター設定なんて、どう考えてもステレオタイプの作品で、この手の作品を手放しで楽しめる時代はとっくに過ぎてしまっている。
クエンティン・タランティーノ作品くらい捻った脚本か、ラテンだったらロバート・ロドリゲスくらいクールな演出でも施さなければ今どきの作品としては成立しないハズなんだけど・・
本作、主人公のキャラクターもストーリーも、ド直球。
麻薬カルテルが支配している南米コロンビアのとある町で、ウクライナ系の女性傭兵が、とある家族に受けた一宿一飯の恩義を返すために、カルテルに買収されている地元の悪徳警官たちを次々にブチ殺すという、テキストだけで読んだら全く何の捻りもないストーリー。
こんな作品がなんでそんなに面白いかというと・・
まず第一に、ヒロインであるドミニクを演じた、ウクライナ出身のオクサナ・オルランが、とにかくカッコいい。セリフだけ聞いていると、そんなに演技が上手いとも思えなかったけど、佇まいが本当にサマになっている。
『アトミック・ブロンド』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のシャーリーズ・セロンも相当カッコよかったが、オクサナ・オルランは彼女を超えていた。なんで?
ていうかランボー張りに、デザートブーツの紐をしめ、拳銃を腰にぶっ挿し、ナイフは腿のホルダーにセットするシーンを演じて・・ってか、もろランボーやろが!
こんなランボーみたいなシーンを演じて、こんなに絵になる人は過去にランボー以外にいただろうか・・ってくらい、カッコいい。
あと泥臭くいほどクドい演出がまたよくて・・
例えば夜に悪徳警官たちを迎え撃つシーン。敵の目を晦ますために、サーチライトを数秒間だけ照らすシーンで、敵の眼球の瞳孔が縮小するシーンをアップで挟むとか。
同じく敵が夜襲をかけるシーンで、隠れていた家族の一人の妊婦が産気付き、迫りくる敵と妊婦がいきむ呼吸をリズミカルに掛け合わして緊張感を煽るカットなど。
泥臭いながらも効果的な演出が冴えわたっていて、最後までダレることがない。
あとは、ネタバレになるので書かないが、えーそこまでやるの!というくらい容赦なく・・
南米コロンビア共和国って、かつては麻薬カルテルがはびこって治安は悪化していたが、2000年代になってから組織も一掃され、都市部では治安は回復しているものの、地方ではまだカルテルが幅を利かせているそうだ。
本作では敵も味方もバンバン人を殺しているが、映画の誇張した表現ではなく、実際にこんな状態なのかもしれない・・

いやーしかし、ホンマに面白かったですわ!
かなり久しぶりにパンフレットも購入してしまった。
(パンフレットには、作中で登場した銃器などの武器が全てイラストで紹介されていて、読み応えのある内容だった)
もともと、マイケル・S・オヘダ監督はもっと大掛かりなストーリーを構想してたけど、予算が足りずに、初期構想の前日譚として本作を製作したとのこと。
本作は評判もよくヒットしているらしいので、是非とも続編を製作してもらいたい!
それにしても、なぜ本作は東京では1館のみでの上映だったのか?
まぁヴァイオレンス描写がキツいのでしょうがないかもだけど・・
少なくとも『国宝』よりは面白かったぞ?(また国宝と比較かい!)
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