
横溝正史の金田一耕助シリーズは、高校生時代に有名どころの作品をほんの数冊読んだ程度なんだけど、最近になって、たまには代表作でも読み直してみたいなと思っていた。
ただ古い作品の割に、「八つ墓村」や「犬神家の一族」、「獄門島」など有名作の文庫本はいまだに高額で、なかなか手が出なかった。
しかしAmazonで、金田一耕助シリーズをまとめた合本版があることを知った。こちらも定価は高価だが、kindleは定期的に値下がりするので、根気強く待って昨年の値下げのタイミングでようやく購入。
22冊分もあるので、数年かけてダラダラ読んでいこうと思っていたが、読んでみたら意外に面白くて、他の書籍も読みつつ、なんだかんだで1年余りで読み終えてしまった。
(昨年7月22日に購入、2026年9月23日に読了)
とういか正直、昭和の古い大衆小説がこんなに面白いとは思っていなかったので、逆に1年余りで読めることが予想外だったが、さすが横溝正史。今読んでも色褪せない面白さだった。
登場人物も多いが各キャラクターの掘り下げが深く、全ての人物に感情移入しやすいのでストーリーに素直に乗ってしまう。角川映画で観たことある作品以外で粗筋を知らない作品でも、構成が緻密でトリックも鮮やかなので、謎解きの巧みさに驚かされ、海外探偵小説に負けない本格ミステリーの味わいもある。
また思った以上にエログロ作品も多く、ここまで表現する?くらいのえげつない作品も多かった。
特にビックリしたのが「悪魔の寵児」という長編だが、SM描写や殺人方法もどぎつくて、たいがいの金田一耕助シリーズは映画やドラマで実写化されているようだけど、さすがにこの作品は映像化されてないらしい。
1958年によくこれだけ攻めた作品が書けたもんだと思うが、どの作品も情景描写も細かく、当時の風俗も詳細に描かれている。結局、人間の本質って何十年経っても変わらないものなんだな、とつくづく思わされる。
そして何と言っても、金田一耕助のキャラクターが最&高!
本当に人柄がよく、他人に対して丁寧、可愛げもある。でもしっかり抜け目のないキャラクターで、でもやっぱり人情に厚い。真犯人がわかっていても、高齢であったり、同情すべき事情があれば、あえて追及せずお目こぼしをすることさえある!
それほど多くの実写作品を観たわけではないが、原作の金田一耕助味が一番出ていたのは、やっぱり石坂浩二かな、と思う。原作の金田一と違って長身、イケメンではあるが、丁寧で優しそうな人柄、人好きのするお人好しな感じを一番表現していたと思う。
しかし原作の金田一って、もっと複雑なキャラクターで、基本は穏やかだが内に秘めた強さやしたたかさ、あと事件解決後は鬱になる繊細さも併せ持つ、見た目と違って色取りの鮮やかな人物なので、原作通りの金田一をスクリーンに表現できる俳優って、なかなか探すの難しいかも。
いやーそれにしても、金田一耕助の一連の小説は本当に面白かった。
ちなみに、金田一耕助の登場作品は、ジュブナイル作品を除いて全77作だとのこと。
本作『金田一耕助ファイル 全22冊合本版』は、22編35作とのことで、これ以外にも42作もあるのだという。
なおご参考までに、本作『金田一耕助ファイル 全22冊合本版』の内容は以下の通り。
金田一耕助作品のベスト10に入るような長編名作は、全て包含されているので、これだけ読んどけば十分と言えば十分かと思う。
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①「八つ墓村」
②「本陣殺人事件」
②-1「本陣殺人事件」
②-2「車井戸はなぜ軋る」
③-3「黒猫亭事件」
③(⑤)「獄門島」
④(⑥)「悪魔が来りて笛を吹く」
⑤(⑦)「犬神家の一族」
⑥「人面瘡」
⑥-1「睡れる花嫁」
⑥-2「湖泥」
⑥-3「蜃気楼島の情熱」
⑥-4「蝙蝠と蛞蝓」
⑥-5「人面瘡」
⑦(⑬)「夜歩く」
⑧(⑭)「迷路荘の惨劇」
⑨(⑮)「女王蜂」
⑩(⑯)「幽霊男」
⑪「首」
⑪-1「生ける死仮面」
⑪-2「花園の悪魔」
⑪-3「蠟美人」
⑪-4「首」
⑫(㉑)「悪魔の手毬唄」
⑬(㉒)「三つ首塔」
⑭「七つの仮面」
⑭-1「七つの仮面」
⑭-2「猫館」
⑭-3「雌蛭」
⑭-4「日時計の中の女」
⑭-5「猟奇の始末書」
⑮-6「蝙蝠男」
⑮-7「薔薇の別荘」
⑮(㉚)「悪魔の寵児」
⑯(㉛)「悪魔の百唇譜」
⑰(㉜)「仮面舞踏会」
⑱(㉝)「白と黒」
⑲(㉞)「悪霊島(上)」
⑳「悪霊島(下)」
㉑(㉟)「病院坂の首縊りの家(上)」
㉒「病院坂の首縊りの家(下)」
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これ以外の作品を読みたい場合、昔だったら「春陽文庫」シリーズを購入するしかなかったらしいが、最近では角川で、横溝正史生誕120年記念復刊ということで出版された、「金田一耕助」シリーズを購入すれば、kindle版で残りの作品の殆どを読めるらしい。
ただこちらとしては、このシリーズの合本版が出るのを根気よく待つしかないけど。
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●「金田一耕助」シリーズ
凡例:
◆・・・「金田一耕助ファイル」とのダブり作品
★・・・「金田一耕助ファイル」には未掲載の長編作品
①「幽霊座」
①-1「幽霊座」
①-2「烏」
①-3「トランプ台上の首」
②「悪魔の降誕祭」
②-1「悪魔の降誕祭」
②-2「女怪」
②-3「霧の山荘」
③「びっくり箱殺人事件」
③-1「びっくり箱殺人事件」・・金田一耕助は出ない
③-2「蜃気楼島の情熱」◆
④「不死蝶」
④-1「不死蝶」
④-2「人面瘡」◆
⑤「吸血蛾」★
⑥「魔女の暦」
⑥-1「魔女の暦」★
⑥-2「火の十字架」
⑦「扉の影の女」
⑦-1「扉の影の女」★
⑦-2「鏡が浦の殺人」
⑧「支那扇の女」
⑧-1「支那扇の女」
⑧-2「女の決闘」
⑨「夜の黒豹」★
⑩「スペードの女王」★
⑪「貸しボート十三号」
⑪-1「湖泥」
⑪-2「貸しボート十三号」
⑪-3「堕ちたる天女」
⑫「死神の矢」
⑫-1「死神の矢」★
⑫-2「蝙蝠と蛞蝓」◆
⑬「壺中美人」
⑬-1「壺中美人」
⑬-2「廃園の鬼」
⑭「華やかな野獣」
⑭-1「華やかな野獣」
⑭-2「暗闇の中の猫」
⑭-3「睡れる花嫁」◆
⑮「毒の矢」
⑮-1「毒の矢」
⑮-2「黒い翼」
⑯「迷路の花嫁」★
⑰「殺人鬼」
⑰-1「殺人鬼」
⑰-2「黒蘭姫」
⑰-3「香水心中」
⑰-4「百日紅の下にて」
⑱「迷宮の扉」
⑱-1「迷宮の扉」※ジュブナイル
⑱-2「片耳の男」・・金田一耕助は出ない
⑱-3「動かぬ時計」・・金田一耕助は出ない
⑲「黄金の指紋」※ジュブナイル
⑳「仮面城」
⑳-1「仮面城」※ジュブナイル
⑳-2「悪魔の画像」・・金田一耕助は出ない
⑳-3「ビーナスの星」・・金田一耕助は出ない
⑳-4「怪盗どくろ指紋」・・金田一耕助は出ない
㉑「真説 金田一耕助」※エッセイ集
㉒「大迷宮」※ジュブナイル
㉓「金色の魔術師」※ジュブナイル
㉔「蝋面博士」
㉔-1「蝋面博士」※ジュブナイル
㉔-2「黒薔薇荘の秘密」※ジュブナイル(金田一耕助は出ない)
㉔-3「燈台島の怪」※ジュブナイル
㉔-4「謎のルビー」※ジュブナイル(金田一耕助は出ない)
㉕「死仮面」
㉕-1「死仮面」
㉕-2「上海氏の蒐集品」・・金田一耕助は出ない
㉖「金田一耕助のモノローグ」※エッセイ集
㉗「夜光怪人」
㉗-1「夜光怪人」※ジュブナイル
㉗-2「謎の五十銭銀貨」※ジュブナイル(金田一耕助は出ない)
㉘「トランプ台上の首」※角川ホラー文庫
㉘-1「トランプ台上の首」
㉘-2「貸しボート十三号」◆
㉘-3「探偵小説講座」※エッセイ集
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なお上記シリーズには、下記の「〇の中の女」シリーズが含まれていないので、こちらも読みたい場合は、角川文庫の新たなシリーズの刊行を待つしかないのかな。
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夢の中の女
霧の中の女
泥の中の女
鞄の中の女
鏡の中の女
傘の中の女
檻の中の女
洞の中の女
柩の中の女
赤の中の女
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ということで、金田一耕助シリーズ全77作、死ぬ前に全て読めたらいいかな、と思うけど(まぁ読めなくてもいいけど)、横溝正史も、よくぞこんなに名作を残せたものだな・・






















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