okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

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アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだか?

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流行りの「怖い絵展」の影響で、今更ながら中野京子著『怖い絵』シリーズを読んでいる。
で昨日、ムンクの『思春期』の解説を読んだ直後のタイミングで、同じく昨日読了した『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んでいたら、登場人物の女性アンドロイドが美術館でこの絵を鑑賞するくだりが出てきたので「わぉ!シンクロニシティー!」ってなってしまった。

 

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フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

 

いうまでもなく、映画『ブレードランナー』の原作小説。
一部のハヤカワSF文庫のkindle版が半額セールっぽく、安かったので購入してみた。

 

本書を初めて読んだのは『ブレードランナー』を観たあとなので、もう30年以上前。

今では内容も殆ど忘れてしまったが、当時の感想はとにかく「わ!地味っ!」だった。やはりどうしても、斬新な映像かつエンターテインメントな映画版と比べてしまっていた。

まず一番地味に感じたのは、主人公のリック・デッカードが妻帯者という設定。映画版でハリソン・フォードが演じたリック・デッカードは、過去の結婚歴は不明だが、独身でハードボイルドな一匹狼のキャラクターだったので、原作のデッカードの所帯じみた感がものすごく地味に思えた。
あとこれはしょうがないが、映画版で創作された「ブレードランナー」や「レプリカント」という呼称が、原作ではただの「賞金稼ぎ(バウンティハンター)」だったり「アンディー(アンドロイド)」だったりとありきたりな文言だったので、子供心にはあまりキャッチーに響かなかった、というのもある。

 

そもそも本書が刊行されたのは1968年。
(・・・って自分の誕生年だ。もうオレも半世紀ちゃんだよ・・・)
半世紀も前の小説なので多少古臭い設定なり表現はしょうがないとしても、改めて読んでみたら、当時の印象とは違って、とても面白く読めた。

で、『ブレードランナー』は意外にも、多少の設定変更はあるにしても、基本的には原作のテーマや雰囲気を忠実に映画化していることに気が付いた。
原作が優れているから、これだけの名作映画が誕生したんだな、と改めて思わせる。確かに名作。

人間と同等、もしくはそれ以上の知能や感情を持つアンドロイドに対して、人間はなぜ動物や昆虫以下の扱いをするのか?
優れた知能やスキルを持ち、繊細な感情も併せ持っていれば、それはもはや人造物であっても人間と同じではないのか?

原作も映画版も一貫してこのテーマがメインであり、そして原作が一番ストレートにわかりやすくこの主題を表現しているように思えた。

 

なお「ネクサス6型」という呼称と、映画版でも非常に印象深く表現されていた「フォークト=カンプフ感情移入度測定法」については、呼称やディテールも原作通りだった。

 

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「フォークト=カンプフ検査」は、どこかゴシックな最先端テクノロジーの測定機器を用いて、アンドロイド=レプリカントの、人間とは微妙に違う思考や感情を捉えて人間か非人間かを判定するという、幻想的かつエモーショナルな装置で、この繊細な物語を象徴するような小道具である

ただ改めて『ブレードランナー』を観て、そして原作を読んでも思ったが、どう考えても人間より優れた身体能力を持ち、素手でも人間を殺傷できるアンドロイド=レプリカントを、こんなにも準備が大変で、かつ検査する人間が無防備になるような呑気な検査を、しかも被試験者とマンツーマンで行うのは、現代の感覚からいったらありえない。ありえなくね?
どうせバレるとわかってたら、相手がトロトロ装置を組み立ててる間に殺すと思うんだけど。
『ブレードランナー』と同様、原作のデッカードも、何度も賢くて屈強なアンドロイド相手に返り撃ちにあうが、相手のミスや偶然などのおかげで、なんとか最後まで生き残る。

 

 

その点、最新作の『ブレードランナー2049』は、原作と旧作の説得力の無さをちゃんとカバーしており、とても納得感があった。
「強」には「強」を、「レプリカント」には「レプリカント」でしょ!と。

 

 

 

ということで、原作からそのまま引用している箇所が意外に多いことがわかったが、最後にもうひとつ、とっても似ているセリフを見つけた!

 

実は原作、たった1日に起こった出来事を描いた物語なのだ。
朝、SFPD(サンフランシスコ市警察)に出勤したデッカードは、上司のブライアント警視から、火星から逃亡した8人の最新型アンドロイド(ネクサス6型)のうち、先任のホールデン主任が始末し損ねた残り6人の始末を言い渡される。
まずはネクサス6型への「フォークト=カンプフ検査」の正確性確認のため製造元会社に赴き、同じネクサス6型であるレイチェルの検査を行い、見事アンドロイドであることを見抜く。
それから同じ日にやっとのことで3人のアンドロイドを仕留め、夜、心身ともに疲れ切って帰宅したら上司から自宅に電話が。未来でもちゃんとブラック企業は健在だ。

 

ブライアント警視 :「良くやった!残り3人も今すぐ追ってくれ。1日で6人仕留めたヤツは今までいないぞ!」
デッカード :「3人で充分ですよ」

 


 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

 
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?―Do androids dream of electric sheep? (講談社ワールドブックス (7))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?―Do androids dream of electric sheep? (講談社ワールドブックス (7))

 

 

「横濱衛生展覧會」@ギャラリーソコソコ #衛生展

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横浜中華街のアートスペース、ギャラリーソコソコで開催されている「横濱衛生展覧會」に行ってきた。

 

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先月こちらで開催されていたグループ展「paranoia展」で、牧田恵実さんから頂いたフライヤーのビジュアルが良かったという理由だけで、なんの前知識もなく訪れたが、これが思いの外、素晴らしい展示だった。

 

 

あいかわらず、ギャラリーソコソコへと続く路地への入り口は、豚まんを食べる観光客に塞がれていた。彼らもまさかこの怪しい路地の向こうに、もっと怪しげな展示を行っているギャラリーがあるとは思いもよらないだろう。

 

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初めて知ったが、明治から昭和40年頃まで「衛生展覧会」なるものが開催されていたそうだ。蝋人形の解剖模型や義手義足義眼、奇形写真や性病患者の写真など、衛生思想啓発が目的ではあったものの、ちょっと下世話でオドロオドロしい展示物に溢れた、ある種、見世物小屋的な要素もある展示会だったそう。

 

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かつて、元ゲルニカの太田螢一さんが昭和60年に「衛生博覧会」をアート展として復活させたそうだが、ここ横浜の地にて、再び衛生展が蘇るという。

 

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今回の「横濱衛生展覧會」では、過去の衛生展覧会で実際に展示されていた数々の展示品と、アーティストの作品が混在して展示されている。
あまりにも両者溶け込んでいるので、どれが作家の作品でどれが過去の展示品だったのか区別がつかなかったが、そこがまたよい。

なお画像は、撮影OKなエリアで撮ったほんの一部。実際の展示品はかなり多く、そしてなかなかエグいです。

 

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在廊さているおにいさん(影ノ森さん?違ってたらスイマセン)に詳しく教えて頂いた、戦前のヒロポンやコカインのパッケージ、珍しくて興味深い。覚醒剤(の古いパッケージ)のコレクションはおそらくココが1番、とのこと。

女性の死体の検視写真とかもあった。

 

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こちらのギャラリーはそこそこ小さいので、この膨大な量の展示品をじっくり鑑賞するのはちょっとだけ辛いかも。なるべく空いたタイミングで行くのが吉。

とにかく展示品や作品の情報量が多すぎて簡単には消化できない。できることなら図録が欲しいところだが、バコバコ人が入る怖い絵展ならともかく、この規模の展示では図録なんて作っても絶対ペイできないだろうから叶わない話。でも、できることなら展示物と作品の詳しい解説を読みたいもの。

 

グッズ販売コーナーにはホンモノの昔のお薬やビーカーなども置かれていたが、作家の作品なのか骨董なのかも区別がつかず。

 

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妖しい感じのこの女性のイラストのポスターを買ったんだけど、これって作品なのか昔の本当のポスターだったものか?

 

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開催は11月19日(日)まで。
入場料たった500円で、こんな素敵なお土産まで頂けるので、行かない手はないでしょう。(たぶんホンモノの昔のお薬?)

 

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120分行列に並んで怖い絵展に行くのもいいけど、展示内容はこちらのほうが物理的に怖い!

 

そういえば本展示に関わっておられるマンタムさんについて、牧田恵実さんが熱っぽく語られていた。『幻獣神話展IV』でも牧田さんと共演されていたが、なんでもマンタムさんは多くの伝説を持っているスゴイ人らしい。それはもう、なんといってもあの諸星大二郎大先生の『諸星大二郎 トリビュート展』を企画された方なのでスゴいアーティストには間違いなんだろうけど、例えばマンタムさんは長年お部屋の片付けをしておらず、ある日積み重なった荷物の中から大金が出てきた、みたいなエピソードを牧田さんからお聞きした。

・・・「もっとアーティスティックな逸話を教えてくれるのかと思ったら、それって、たんに汚部屋を片付けられないだらしない人の話やん!」と心の中でツッコミを入れてしまった。

 

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衛生展覧会の欲望

衛生展覧会の欲望

 

  

児童衛生展覧会ニ於ケル児童身体検査成績

児童衛生展覧会ニ於ケル児童身体検査成績

 
衛生展覧会説明書

衛生展覧会説明書

 

 

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