こんにちは!
映画館では可能な限りお気に入りの席で観たい。(最後列の真中)
騒がしい客、上映開始後にノンビリ入場してくる客がいたらストレスはMAXに!
アフロヘアーが映画館に足を踏み入れたら射殺していい法律が必要と思っている。
そんな神経質な自分なので、これだけの話題作を座席予約のできないミニシアターで、行列に並んで観るという選択肢はハナからありませんでした。
(シネモンドさん、ごめんなさい!)
しょうがないから隣県まで観にいこうか・・・と思った矢先に、ようやく県内のシネコンでも上映されたので、やっとのことで観ることができました!
(とはいえ市外なので遠い・・・)
で、上映初日から5日しか経ってないのにパンフレットが売り切れだよ!
しかし金沢市内のシネコン、どうしてこんな超話題作を上映しないのか不思議でしょうがないです。
『土竜の唄 香港狂騒曲』とか『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』なんてやってる場合じゃないと思うけど。
とっとと打ち切って『この世界の片隅に』上映するほうが儲かるだろうに。
・・・ということで『この世界の片隅に』。
評判通りの素晴らしい作品でした。
そしてこれまた評判通り、のんさん(旧芸名(本名):能年玲奈)の声もキャラクター通りのイメージで、声だけの演技とはいえ彼女の代表作になること間違いなし。
アニメ嫌いではありますが、この作品については名作と言わざるを得ない。
★★★★★
戦争映画として
先の戦争の悲惨さを伝える最近の作品では、塚本晋也監督『野火』が思い出されます。
『野火』では、レイテ島で極限状態となり食人行為まで行う日本兵、米軍に攻撃される際の人体損壊シーンなど、直接的でリアルな描写で戦争の過酷さを、これでもか!と訴えますが、かたや『この世界の片隅に』では、基本的にはほのぼのとしたアニメーションで戦時での日常生活を描くのみ。
食糧状況が悪化する中、野草を摘んだり調理方法を工夫することで日々の家族の食卓を継続し、隣組制度のもと、防空壕の掘り方や焼夷弾などの防火対策を学んで空襲があれば防空壕に避難する日常。
基本的に地味。そんな地味な日常にも、やはり戦争の悲劇が訪れる。
例えば、アニメ映画『火垂るの墓』などは最初から最後までとにかく暗い。
そして救いもないお話しですが、『この世界の片隅に』は、基本的に色調は明るい。
しかし日常を淡々と描くからこそ逆に戦争の悲惨さが余計に浮かびだされるし、かといって結末はちゃんと希望もある。なのでしみじみと作品を味合うことができました。
なお今までは、米軍の圧倒的な火力の前では防空壕なんて意味あるの?
米兵相手に竹槍で応戦するようなモンじゃないのか?と思ってたのですが、本作を観たら、やはり無意味ではないことが理解できました。
機銃照射や爆撃の破片の直撃などの難を逃れるのには、防空壕はダサいが役に立つ。
原作コミックと比較して
映画が素晴らしかったので早速、こうの史代さんのコミック全3巻(kindle版)を読みました。
原作ももちろん素晴らしい作品で(当たり前ですが)、片渕須直監督がクラウドファンディングで資金を集めてまで映像化したかった理由がわかりました。
読んでいると、映画と同じシーンで泣けてきてしょうがない。
これは人前で下巻を読めない。
ちなみに映画版では端折られたり、よく意味がわからなかった場面。
北條すずが妊娠したと思って病院に行ったら「戦時下無月経症」(栄養不足と環境変化で無月経になる)だった、というエピソードと、すずと、遊女である白木リンとのもっと深い交友。
そして、すずの夫である北條周作が、かつて白木リンのお客だったかも、というくだり。
原作を読むことでより物語を堪能することができ、そして映画では映像化されてさらに鮮明になったシーンもあり、どちらのコンテンツも見事に相互補完することで『この世界の片隅に』をさらに感動的な名作にしています。
そして一番感動するのは、映画化しても大きな興行収入なんて絶対に望めないような作品の映像化を成し遂げたスタッフと、 そんな地味なプロモーションの作品にも関わらず、クラウドファンディングに参加して作品化を応援したり、自分たちみたいな全く作品を知らなかった人たちを映画館に呼び込むまでに口コミなどで作品を盛り上げてきた、当初からのファンの方々の熱意。
マスコミが殆ど盛り上げないような地味な作品を、ここまでの人気作にすることができる日本人もまだまだいるんだな、ってのが、胸アツな感じで。
とにかく観終わったあとからも、じわじわくる作品。
それではー
★2017年1月9日追記:
シネモンドさんにパンフレットがあったので購入しました!
さすがシネモンド!『この世界の片隅に』にかける意気込みが違うぜぃ!
(映画は観てないので申し訳ないのですが・・・)
この世界の片隅に コミック 全3巻完結セット (アクションコミックス)
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- 出版社/メーカー: 双葉社
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