『ジョジョの奇妙な冒険ダイヤモンドは砕けない第一章』　感想

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つまらなくはなかったけれど、”ディ・モールト良し！”とは決して言えない映画

三池崇史監督が本作の実写化を引き受けたと聞いた時は当然ながら嫌悪感いっぱいだった。

熊本県の村おこし映画である『熊本物語』のDVDまで購入するほどかつては三池作品が大好きで、もう、鈴木清順監督の次くらいに日本の天才映画作家だと思っていたが、2005年の『妖怪大戦争』以降の三池作品は、正直言って全然面白くない。

『DEAD OR ALIVE 犯罪者』や『極道恐怖大劇場牛頭 GOZU』での、神がかっているかと思えるほどの独特の演出も、今の時代では既に時代遅れで陳腐な印象しか感じない。
作品は選ばないしローバジェットでも文句を言わず、撮影も早く、珍獣猛獣揃いの役者の扱いにもそつが無い。
業界的には受けがいいのかもしれないけれど、さすがに作品撮りすぎというか、いや、多作でも面白ければ文句ないんだけど、ここ10年くらいの三池作品は観るに値しない。

そして、日本が誇る傑作コミック『ジョジョの奇妙な冒険』の実写化。

過去のジャパニーズ・コミック実写化で成功した作品を挙げるとしたら、三池崇史監督『殺し屋1』と『アイアムアヒーロー』くらいしか思いつかないが、ジョジョの実写化でまともな作品が邦画で出来るとはまったく思えないので、当然ながら三池作品、諦念と、そして、わずかながらの期待感を持って観たのでした。

・・・で。

スペインはカタルーニャの景観が架空の「杜王町」にベストマッチし、主演の山崎賢人クン、思ったよりも演技が拙かったけど、どの役者さんもイメージ通りに熱演してくれて、ストーリーも原作に文句なく忠実。

・・・というか虹村父（虹村万作）をあれだけ原作に忠実、というかそれ以上の造型で登場させるだけで”グレートだぜ”としか言いようがないし、もう、叩こう叩こうと思っているこっちの思惑を、まるでスタンド「ザ･ワールド」で時を止められてから「ほら、原作に忠実で、ちっとも無茶なんかしてないだろう？」と、無理やり頭を掴まれて視線を正面に戻されるような、全方位への三池監督の気配り、安全牌ぶり。

三池節を感じるとしたら、ヤンキー描写の見事さと、海外の景色を無理やり日本の景観にもって行く強引さぶりくらいで、

でも、これだけの我が国のビッグコンテンツを実写映画化できるのは最早もはや三池崇史しかいないという矛盾、パラドックス。

公開前はあれだけ非難轟々だった映画評が、公開後はさっぱり高評価どころか、悪評も聞こえなくなったので不思議だと思っていたが、観終わって合点がいった。

本作、「どや、原作リスペクトしとる映画やろ？文句ないやろ？どや？」と聞かれて、

「お、おう。。」って言わされるような映画。

なんというか、確かに原作に忠実でダメな作品ではないんだけど、でも、じゃあ面白いかといえばそれほどでもなく。

非常にモヤっとしてしまう出来だった。

あと、スタンドのCG描写はやっぱり今ひとつ。なんかアニメっぽいというか、リアリティが足りない感じでした。

現時点では興行収入が予想以上に悪いそうで、ヘタしたら続編が製作されない可能性もあるとか。。