okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダ』 感想

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フィギュアスケートはおろかスポーツ全般に興味がないせいか、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」や、アメリカの女子フィギュア・スケーター、トーニャ・ハーディングについても全然知らなかった。
襲撃事件当時(1994年)、日本でもよく報道されていたので印象深く覚えていると妻は言っていたが、自分はさっぱり記憶がない。

なお、事件もトーニャについても全然知らないのに作品を観に行った理由は、『スーサイド・スクワッド』でキュートなハーレイ・クインを演じた、主演のマーゴット・ロビーの太ももにつられてしまったから。

 

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「ナンシー・ケリガン襲撃事件」とは、同じくアメリカの女子フィギュア・スケーターであるナンシー・ケリガンが何者かによって襲撃され膝を負傷、後に犯人はライバルだったトーニャ・ハーディングとその関係者であったことが判明し、全世界でスキャンダラスに報道された事件であるという。

 

女子選手で史上2人目のトリプルアクセルを成功させたフィギュア・スケーター(1人目は伊藤みどり)トーニャ・ハーディングの少女時代からの半生を描いた作品。

 

物語は、主人公のトーニャ・ハーディングや、元夫のジェフ・ギルーリー(演じるのは『キャプテン・アメリカ』でキャップの親友バッキー・バーンズを演じたセバスチャン・スタン)、母親のラヴォナ・ゴールデン、元夫の友人ショーン・エッカートや元コーチなど事件の関係者が、当時の事件についてインタビュー形式で告白するシーンと並行して、トーニャがスケートを始める少女時代から、スケーター引退後にプロボクサーとなるあたりまでの半生をトーニャの回想シーンのドラマとして描かれる。

 

実在の事件を元に製作された伝記映画とはいえ、多分に脚色もされているそうなので全てを真実とは受け止められないが、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の真相が映画で描かれた通りであれば、非常にお粗末な事件。
オリンピック出場というアスリートにとって超重要なイベントを控えているにも関わらず、いわゆるレッドネック(貧困白人層)のおバカ夫婦と、元夫の真正バカな友人が何も考えず流れに任せて引き起こした、単なるマヌケな騒動である。

 

トーニャと元夫(バッキー)の夫婦関係も凄まじく、バッキーの暴力はもう、DVってレベルを軽く超えており、渾身の力で妻をぶん殴り壁に叩きつけ、あげくの果てには拳銃をぶっ放す。しかし対するトーニャもアスリートなので負けてはいない。
グーで殴って見事な金的攻撃で反撃するというワイルドさ。もうメチャクチャ。

 

お金がかかるスポーツなので、それなりに裕福な階層の選手が中心のフィギュア・スケートの世界に、才能だけはあるがお金も教育もない野生児とそのおバカな仲間たちが乗り込んできて、果てはオリンピックの舞台までしっちゃかめっちゃかにかき回してしまうというストーリー。

言ってみればそれほど大した話でもテーマでもないこの映画を製作した意図は、しかし何だったんだろう。面白かったけど。

  

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なお、この作品の見どころは、何と言っても主演のマーゴット・ロビーの凄みのある演技力だろう。
『スーサイド・スクワッド』ではただ単にセクシーなだけでなく、ハーレイの狂気を見事な演技で表現していたのだが、いかんせん映画自体があまりに酷い出来だったので、せっかくの彼女の熱演が、むしろ痛々しく感じられてしまった。
本作では打って変わって、製作にも携わったマーゴット・ロビーの渾身の演技力を余すことなく堪能できる。
実際に彼女って、言うほど美人でもないと思うけど、しかし派手なメイクがメチャクチャ似合う。本作でも、特にフィギュアの競技シーンで発散する「華」はスゴい。
まだわずか27歳だというのに、とても存在感がある女優だと思う。

製作予定だという、当たり役であるハーレイ・クインのスピン・オフ作品が待ち遠しい。

 

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いやーそれにしても、他のスポーツも同様だとは思うけど、フィギュア・スケートも闇が深い競技だな。
チャウシェスク大統領の次男に無理やり愛人にさせられてたナディア・コマネチとか、堤義明に無理やり愛人にさせられてた渡部絵美とか、橋本聖子に無理やりブチューってキスされてた高橋大輔とか・・・

 

ちなみに本作で1点気になったのが、各キャラクターのインタビューのシーンで既にそれぞれの当時の思いなどを劇中で解説しているにも関わらず、本編のドラマシーンでも、登場人物が急に観客側に顔を向けて、その場面での心情などを観客に解説する演出、デッドプールがよくやる、いわゆる「第四の壁を破る」手法が多用されていること。
DVなどの暴力シーンが多いため、より重くシリアスな流れになり過ぎない利点もあるが、やはり諸刃の剣の演出。せっかくマーゴット・ロビーが迫真の演技をしているのに、いきなり現実に戻される感じで、ちょっとだけ気になってしまった。

 

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あと、見事に本作でオスカーを受賞したアリソン・ジャニーが演じた、癖が強くて強烈なトーニャの母親がインタビューを受けるシーン。彼女の肩に乗ったインコが嘴で突っついてくるのを邪険に払う場面があり、なんか独特な演出で面白いなーと思っていたら、ラスト、実際に本人がインタビューを受けている本物のインタビュー映像を見たら、マジでインコが肩に乗っかっていた!

 

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本当にインコ乗せてたのかよ!『勇者ヨシヒコ』のムラサキかよ!

 

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女子フィギュア史上最もスキャンダラスな事件『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』予告編

 

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I Tonya /

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