okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『女神の見えざる手』 感想

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※ネタバレございます

 

話題作である『女神の見えざる手』、やっと観てきた。

 

勝つためには手段を選ばないイケイケのワーカホリックだが、しかし不眠症で興奮剤などの錠剤を常用している。

ジェシカ・チャステイン演ずる凄腕の女性ロビイスト、エリザベス・スローンの物語。
なので原題はあっさりしたもので、『Miss Sloane』。直球である。

 

邦題は『女神の見えざる手』。まったく原題とはかけ離れているが、実は的を得たタイトル。

勝利を得るためには例え不法な行為でもためらいなく実行し、敵の一歩先、二歩先を見据えてプランBはおろか、プランC、D、E・・・ 多くの戦術を練って、それを臨機応変に実行する様は、まさに美人ロビイスト = 女神が様々な見えざる罠を人間に仕掛けていくかのようで、これはこれで、腹落ちせざるを得ない邦題になっている。

 

大手ロビー会社「コール=クラヴィッツ&ウォーターマン」で超やり手のロビイストで知られるエリザベス・スローンは、新たな銃規制法案を廃案に持ち込むキャンペーンを行ってほしいという銃ロビーの依頼を断ってしまう。
会社にとって、潤沢な資金を持つ銃ロビーは最大の顧客であり、その仕事を引き受けない彼女に会社は当然のごとくクビを宣言するが、銃規制に賛同する小規模なロビー会社「ピーターソン=ワイアット」のCEOがスローンをヘッド・ハンティングする。
何名かの腹心の部下を引き抜いて「ピーターソン=ワイアット」社に身を置いた彼女は、銃規制法案を通すためには味方をも欺くような様々な戦術を立て、古巣の「コール=クラヴィッツ&ウォーターマン」社を相手に熾烈な争いを始める。

 

相手の裏をかくのはもちろん、自分の部下を餌にして相手を騙す、しかも自分の部下全員を陰で監視してスパイをあぶり出す、果ては相手に最新のハイテク盗聴器まで仕掛けるといった違法行為まで躊躇なく実行する。
とにかくスローンが裏で並列で仕掛けている戦略の物量が多すぎて、何が偶然で何が彼女の計画か、観客もまったく読めない。情報量も多いので、鑑賞するには体力を要する作品。

 

日本でも権力者に忖度した為政者が政策を左右するケースも多いだろうが、アメリカの政治上でのロビー活動は異常で、オバマ大統領もロビー政治を規制しようとしたほど。
在米韓国人がアメリカのあちこちに慰安婦像を設置してるのもロビー活動のたまものだし、日本で例えるなら、サムライの刀を現代でも簡単な手続きで気軽に所持、使用するのを許可するかのような、アメリカの銃所持に関するユルさも、すべてロビー活動が政治に直接的な悪影響を与えているためである。

 

ただ本作を1回観ただけで今一つよくわからなかったのは、なぜスローンが銃規制に反対する立場を取ったのか、という点。
過去に銃犯罪に自分や家族が巻き込まれた経験があるわけでなく、社会の善悪よりも自分が勝てるかどうかだけを目的に仕事を行ってきた人間が、なぜ会社からクビを宣言することがわかり切っているのに銃規制法案をつぶす仕事を拒否したんだろうか。

ラスト近くで、自身の政治的信条ももちろんあるが、銃規制法案を通すという困難な目標がよりチャレンジングだと思ったからこの仕事を引き受けた、という理由も告白していたが、何となくこれも後付けの理由のような気もして。

 

なお一番印象に残ったシーン。

スローンはとにかく仕事一筋で、恋愛にはもちろんうつつを抜かさない。性処理なんてエスコートサービス業(男娼)で済ますというゴルゴ13張りのマッチョ。

ジェイク・レイシー演じる男娼のフォード、見た目がマッチョで、いかにもな「ジョック(jock)」キャラ。あー絶対に敵のスパイで、スローンをハニー・トラップにかけるんだろうなと思わせるんだけど、公聴会に召喚され、スローンに買われたことを証言するのかと思ったら、スローンとは寝たことはないと言い切って、彼女をかばう。まさかの展開。

しかし結局スローンは、銃規制法案を通すという目的を達したものの、違法行為のために連邦矯正施設に収監されてしまう。

男女差とか関係なく、やり方は無茶苦茶ながら体力の限界を超えてまでやり切ったスローンの疲れ切った表情をみていたら涙が出てしまった。不思議な映画。

 

ラストシーン、連邦矯正施設から寂しく出所した彼女が、誰かを目に捉えたような表情で映画はエンドタイトルになる。

出所した彼女を出迎えにいった人物がいたのだろうか。そしてそれはいったい誰なのか?
スローンの駒にされ、命の危険にまで晒されて、結局彼女の元を去った元部下のエズメだろうか。もしかしたら、体の関係でしかなかったフォードなんだろうか・・・

 


「女神の見えざる手」予告編

 

とにかく伏線が多すぎて、1度鑑賞しただけでは正直、理解仕切れなかった点も多かったので、落ち着いてまた鑑賞したい。久しぶりの力作。

そしてジェシカ・チャステインがかっこよすぎ!

 

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もはや量子力学の世界! 別視点ナイト ~路上観察に魂をささげたスペシャリスト勢ぞろい~ #別視点ナイト

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先週初参加した秘宝館ツアーですっかり魅了されてしまった別視点ガイド。

 

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今回は様々な路上観察のスペシャリストが一堂に会してのトークショーということで、金曜日の夜、渋谷のイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」まで駆け付けた。

 

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「別視点ナイト ~路上観察に魂をささげたスペシャリスト勢ぞろい~」

司会は別視点ガイド代表の松澤茂信さんと木村りべかさん。


なお販売スペースには別視点ガイド副代表の齋藤洋平さんが、そして客席には先日のバスツアーでお世話になった富士急トラベルの向井理にクリソツな「向井さん(仮称)」のお姿も。

今回は松澤さんと木村さんは司会に徹して、プレゼンされるのは、片手袋研究家の石井公二さん、落ちもんハンター藤田泰実さん、地理人・今和泉隆行さん、顔ハメ看板ニストの塩谷朋之さんの4人。

 

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いずれも業の深い方たちばかりだ。

みなさん、含蓄のあるお言葉の連発で、もうホント含蓄王。

 

2014年から路上に落ちているものを写真で撮る「落ちもんハンター」こと藤田泰実さん。

 

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同じような活動を行っている仲間から、とんでもない落ちモン発見の報告を受けたときは、非常に悔しい思いをされるそう。志を同じくする同志ではあるが、やはりレアな発見の先を越されたくないその気持ち。
先日ツイッターで読んだ話を思い出した。
一般の人は誰も見向きもしないような特殊なオモチャを、もう一人の入札者と激しく競り合った人のつぶやき。
もしも面と向き合ったら激しく趣味があう貴重な仲間であるハズなのに、「くたばれ!」「あきらめろ!」と激しく罵倒しながら入札金額を釣り上げていったというエピソード。レアな趣味を同じくする同志は、同時に憎悪するほどのライバルにもなり得るという話。

 

昔、「タモリ倶楽部」でも拝見したことがある、「中村市(なごむるし)」という架空の都市の詳細な地図を作成している、空想地図作家の今和泉隆行さんは、Photoshop(フォトショップ)を「地図製作ソフト」と言い切っていた。

 

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今和泉さんによると、架空の地図を描いたことがある人は、東京都でも23区以外の郊外市などに住んでいる人が多いという。
街の地図には郊外の施設や田んぼや畑なども必要だが、23区内にはひしめき合った家屋や近代的なビル群のみ。
生まれついて23区内に住んでいる人はわざわざ生活圏から出ないから郊外や広い畑を知らないが、多摩市や埼玉など、23区の近郊に住む人は、子供の頃から電車などで頻繁に23区内に通学やレジャーで出かけるが、自宅に帰って来たら近所には田んぼや畑。郊外にはイオン。
街に必要なすべての施設を子供の頃から肌で知っているので、架空都市を描くのに適しているという。
なるほどな考察。

 

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顔ハメ看板ニストの塩谷朋之さんはよく、「でも、ただ顔ハメ看板に顔ハメて写真撮ってるだけでしょ?」と言われるそうだ。

 

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・・・いやスイマセン、俺もそう思ってました。
しかし!塩谷さんの顔ハメはご本人も仰っていた通り、文字通り「命を張ってハマっている」。
乳飲み子を抱いたまま無理な体勢でハマって腰をいわせてしまったこともある。
『an・an(アンアン)』に取材され、果ては英字新聞の1面に安倍首相より大きな記事で載ろうとも、奥様の理解は永久に得られない。
くだらない趣味(失礼!)を持った男の宿命というか、たとえ家族の理解が得られなくても、特殊漫画家の根本敬さんじゃないが、「でもやるんだよ!」
これに尽きる。

 

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同じく昔、「タモリ倶楽部」でも拝見したことがある、片手袋研究家の石井公二さんは逆に、生まれた頃から父親の活動を知っており、かつ父親の活動を尊敬すらしているという娘さんを心配されていた。
片手袋を発見してしまったら、もはや自分を抑えることが出来ず、どのような状況であっても写真に収めに行ってしまう活動というか性癖は単なる変態性向であって、決して家族から尊敬されるべきことではない、という自覚から。

 

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石井さんの活動を知っているご近所の方などは、自分の家の外に片手袋が落ちていたとわざわざ知らせてきて、しょうがないから写真を撮りに行ったらそのご近所の方、どこからか観察していたのかドアを開けて「・・・やっぱり来たか」とつぶやかれたという。
そんな石井さん、今回初めて公表するそうだが、実は最近は、片手袋を撮った場所にもう一度赴いて、片手袋がない同じ場所まで写真に収め始めているという・・・
公表してしまうともう、今後はやらずにはおれなくなることを非常に心配されていたが、、その場所に片手袋がある状態と、ない状態って、それもう「シュレーディンガーの猫」だし・・・

 

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「きみがいないことは きみがいることだなぁ」って、この人、アタマがおかしいんじゃないかな・・・

 

そして石井さん、今回来場されたお客さん3名にクリスマスプレゼントをお渡しするという。
配られた石井さんの片手袋研究のパンフレットの裏面に金色の丸いシールが貼ってあれば当たりで、なんと、見事に当たり!

 

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先日の秘宝館ツアー帰路のバス内でのビンゴゲームでは1つも商品がゲットできず悔しい思いをしたが、まさに「江戸の敵を長崎で討つ」ではないが「上毛の敵を江戸で討」った感。

自宅で開封してみたら、な、なんだコレは!

 

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・・・なにこのクオリティの高さ。。めっちゃお金かかってない?

 

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たしか、わざわざイベントに参加してくれたお客様に少しでもお返しをしたい、ということで石井さんの奥様がご用意して下さったようなことを仰っていたけど・・・

 

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奥様もきっと、アタマがおかしいんじゃないかな・・・

 

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無事イベントも終了し、最後に物販コーナーで、石井さんの片手袋缶バッチと、『死ぬまでに東京でやりたい50のこと』を購入。

 

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そして図々しくも、書籍に松澤さんのサインを頂いた。

みて!この、小学生でも描けそうだが、小学生には絶対描けないユルさ!
この人、天才かよ・・・

 

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なお『死ぬまでに東京でやりたい50のこと』、読んでる最中なんだけど、本当に面白い。
北区赤羽以外にもこんなディープスポットが東京にもたくさんあるんだな。
今朝も通勤時の電車内で、読みながら思わずニヤついてしまった。
しかし本書のAmazonレビューで、なぜか低評価の人。
「ゲテモノや物珍しい店舗の情報ばかりで、興味がある物は10も無かった」とか、「スポットがディープ過ぎるきらいがあります。」とか、「アウトドアで東京の色んな街を紹介する本かと思いきや、すべてインドア。」とか、お前らいったい何の本の感想書いてるんだ??読解力あるか?というか、日本の将来は大丈夫なのか?

 

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ということで、本当に面白くてためになったイベントでしたー!

 

みんなの空想地図

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死ぬまでに東京でやりたい50のこと

死ぬまでに東京でやりたい50のこと

 

  

顔ハメ看板ハマリ道

顔ハメ看板ハマリ道

 

 

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