ポール・バーホーベン大先生とシュワちゃんの快作『トータル・リコール』が、日本公開30周年を記念して4Kデジタルリマスターで蘇った。久しぶりに大画面でプリシラ・アレンの"Two Weeks"を拝めるぞ!
Total Recall (1990) - Two Weeks
ということで、1990年12月の日本公開時より劇場やテレビ放送、DVDなどで何度も観てきた本作だが、改めてデジタルリマスターされた美麗な映像をスクリーンで鑑賞すると、なるほど主役の演技がいくら大きくても、脇を固める俳優の演技が細やかであれば、全然問題なく作品を楽しめるんだな、ということが改めてわかった。
バーホーベン作品らしい、無駄にグロいヴァイオレンス・シーンの多さや、メリハリが効いてテンポの良いストーリー展開、名匠ロブ・ボッティンの魅力的な造形の数々、そして何といっても、80年代から90年代初頭の能天気でポップな雰囲気を体現するかのようなアーノルド・シュワルツェネッガーの明るいキャラクターのおかげで、何度でも観れる極上の娯楽作品に仕上がっている。
そして、間違いなくバカ映画ではあるのだが、バーホーベン監督作らしい社会風刺の効いたシニカルな作品になっているのも特色。
・・それにしても本作、シュワちゃんイジりが徹底していて良かった。
「シュワなら肉体労働者だろう!」とばかりに、未来社会なのに現場で掘削機を持たされるシュワ。
「シュワなら金的くらい大丈夫だろう!」とばかりに、シャロン・ストーンに何度も急所攻撃を受けるシュワ。
「シュワならターバン姿も似合うだろう!」とばかりに、電話口の謎の男から濡らしたタオルを頭に巻けと言われ、言われた通りに巻いたら「よし、似合ってるぞ!」と褒められるシュワ。
「シュワなら鼻からピンポン玉くらい出せるだろう!」とばかりに、マジで鼻からピンポン玉を出すシュワ。
「シュワなら目玉が半分以上飛び出ても大丈夫だろう!」とばかりに、火星の大気に防護服なしで放り出されて目玉が半分以上飛び出たのにも関わらず、酸素を吸ったら何事も無かったようにケロッとするシュワ・・・
後にカリフォルニア州知事を2期も務めたほどの偉大な俳優が、こんな演出にも文句も言わず嬉々として演じるところが、大スターの大スターたる所以なんだろう。
なんとリバイバル上映なのに新たにパンフレットまで販売されていた!思わず買ってしまった・・
実は『ロボコップ』のアレックス・マーフィ役には当初、シュワルツェネッガーが候補としてあがっていたそうだけど、これはさすがに、ピーター・ウェラーに決まって良かった!