okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『トータル・リコール 4Kデジタルリマスター』 感想

f:id:okureje:20201129141250j:plain

 

ポール・バーホーベン大先生とシュワちゃんの快作『トータル・リコール』が、日本公開30周年を記念して4Kデジタルリマスターで蘇った。久しぶりに大画面でプリシラ・アレンの"Two Weeks"を拝めるぞ!

 


Total Recall (1990) - Two Weeks

 

ということで、1990年12月の日本公開時より劇場やテレビ放送、DVDなどで何度も観てきた本作だが、改めてデジタルリマスターされた美麗な映像をスクリーンで鑑賞すると、なるほど主役の演技がいくら大きくても、脇を固める俳優の演技が細やかであれば、全然問題なく作品を楽しめるんだな、ということが改めてわかった。

バーホーベン作品らしい、無駄にグロいヴァイオレンス・シーンの多さや、メリハリが効いてテンポの良いストーリー展開、名匠ロブ・ボッティンの魅力的な造形の数々、そして何といっても、80年代から90年代初頭の能天気でポップな雰囲気を体現するかのようなアーノルド・シュワルツェネッガーの明るいキャラクターのおかげで、何度でも観れる極上の娯楽作品に仕上がっている。
そして、間違いなくバカ映画ではあるのだが、バーホーベン監督作らしい社会風刺の効いたシニカルな作品になっているのも特色。

 

・・それにしても本作、シュワちゃんイジりが徹底していて良かった。


「シュワなら肉体労働者だろう!」とばかりに、未来社会なのに現場で掘削機を持たされるシュワ。
「シュワなら金的くらい大丈夫だろう!」とばかりに、シャロン・ストーンに何度も急所攻撃を受けるシュワ。
「シュワならターバン姿も似合うだろう!」とばかりに、電話口の謎の男から濡らしたタオルを頭に巻けと言われ、言われた通りに巻いたら「よし、似合ってるぞ!」と褒められるシュワ。
「シュワなら鼻からピンポン玉くらい出せるだろう!」とばかりに、マジで鼻からピンポン玉を出すシュワ。
「シュワなら目玉が半分以上飛び出ても大丈夫だろう!」とばかりに、火星の大気に防護服なしで放り出されて目玉が半分以上飛び出たのにも関わらず、酸素を吸ったら何事も無かったようにケロッとするシュワ・・・


後にカリフォルニア州知事を2期も務めたほどの偉大な俳優が、こんな演出にも文句も言わず嬉々として演じるところが、大スターの大スターたる所以なんだろう。

 

なんとリバイバル上映なのに新たにパンフレットまで販売されていた!思わず買ってしまった・・

 

f:id:okureje:20201129140348j:plain

 


映画『トータル・リコール 4Kデジタルリマスター』特報

 

実は『ロボコップ』のアレックス・マーフィ役には当初、シュワルツェネッガーが候補としてあがっていたそうだけど、これはさすがに、ピーター・ウェラーに決まって良かった!

 

f:id:okureje:20201129140358j:plain

 

トータル・リコール (字幕版)

トータル・リコール (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 
トータル・リコール [Blu-ray]

トータル・リコール [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: Blu-ray
 
トータル・リコール [Blu-ray]

トータル・リコール [Blu-ray]

  • 発売日: 2015/06/24
  • メディア: Blu-ray
 

 

『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』 感想

f:id:okureje:20201123102442j:plain

 

劇作家エドモン・ロスタンが、世界的に有名な戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を短納期のなか、苦しまぎれに書き上げるまでのドタバタ騒動を描いたフランス発の喜劇映画。
なお原題は『Edmond』なので、邦題は超わかりやすいタイトルになっているが、確かにこの邦題でなければ本作を絶対に見過ごしてしまったと思われる・・

 

さて、本作を観る前の予習として、まずは『シラノ・ド・ベルジュラック』を観とかないと・・・ということで、ジェラール・ドパルデューがシラノを演じた1991年日本公開版のBlu-rayを購入し、前夜に鑑賞した。
ドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』は確か公開当時に劇場で鑑賞したんだけど、内容はすっかり忘れていたので、事前鑑賞しておいて良かった。
おそらく本作『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! 』は、『シラノ・ド・ベルジュラック』を知らなくてもそこそこ楽しめる映画ではあるけれど、そもそもが、現代では名作中の名作とされている戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を、主人公が苦労して書き上げるストーリーなので、やはりネタ元を知っているほうが望ましいだろう。

 

f:id:okureje:20201123102423j:plain

 

舞台は1897年のパリ。詩人で劇作家であるエドモン・ロスタンは、自分の作品が劇場支配人から酷評され、わずか一週間で打ち切りの憂き目となって激しく落ち込む。そんな失意のエドモンを、知人であり理解者でもある大女優サラ・ベルナールが励まし、有名俳優のコンスタン・コクランに新作を売り込むように勧める。そして、新作の構想がゼロのままコクランに面会したエドモンは、コクランに3週間で喜劇を仕上げるよう依頼され、「はい、喜んで!」とばかりに引き受けるが、決まっているのは17世紀に実在した詩人で学者でもありながら勇猛な銃士でもあったシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にした喜劇、というモチーフのみ。
さらに、肝心のコクランは借金のため債権者から追われ、スポンサーはあれこれと注文をつけ、主演女優はわがままで・・と、脚本が進まないばかりかトラブルも続出。果たしてこの新作舞台は上演にこぎ着けられるのか・・

 

後世に100年以上も上演され、愛され続けてきた戯曲の誕生秘話を虚実を織り交ぜて描いた作品で、当時の舞台人たちの心意気をも感じさせる、楽しいエンターテインメント作品だった。
そしてコメディながら感動作でもあり、無事に初演を迎えることができた『シラノ・ド・ベルジュラック』の第5幕であるクライマックスのシーンが、舞台ではなく実際の野外シーンで撮影された映画のような映像に切り替わる演出には、思わずホロリとしてしまった。前夜に鑑賞したドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』での同シーンよりも、むしろ感動したかもしれない。

 

なお本作のエンドロールでは、過去にシラノを演じた俳優の映像が次々に流れるのだが、なんとコンスタン・コクランがシラノを演じた映像が最初に流れてきてビックリ!こんな古い映像が現存していたとは!
あとこの映像は時系列に流れていたんだけど、1990年のドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』の映像は流れず2000年代の作品の映像になったので、ドパルデュー版はスキップされたのかと思っていたら、最後の映像がドパルデュー版だったので・・やはり現代フランスでもドパルデュー版が最もポピュラーなんだな・・となった。

ということで本作を観に行く際は、やはりドパルデュー版『シラノ・ド・ベルジュラック』を事前鑑賞することを強くお勧めします。

 

f:id:okureje:20201123102432j:plain

 

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)

  • 作者:ロスタン
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: Kindle版
 
日月両世界旅行記 (岩波文庫)

日月両世界旅行記 (岩波文庫)

 

 

【スポンサーリンク】