okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る

こんにちは!

 

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ちきりんさんが今年の課題図書にあげた本、半藤一利著『昭和史 1920-1945』を今更ながら読み始めましたが、確かに読みやすくて面白い。

 

 

まだ1冊目の半分程度しか読めてませんが、これまでに読んだとこをまとめるとこんな感じです。

 

明治維新以降、アジア諸国が次々に欧米各国に植民地化されるなか、富国強兵に励んだ日本は、日清・日露戦争で勝利するまでの強国に。
ただ、それで調子こいた軍部が、増え続けた人口の移民先と石油以外の資源(石炭・鉄)の確保と、当時脅威だった「おそロシア」(当時ソ連)の防波堤として、満州(中国東北部)を占領、さらには石油資源確保のために南方に侵略。

軍部の暴走は止まらず、ついには勝つ見込みが薄い第二次大戦に飛び込んでいく・・・


著者の半藤一利さんの主観で書かれている、あくまで一個人の昭和史ではあると認識しながら読んでいますが、あまりこの時代のことを知らない自分にとってはとても興味深い内容。

 

・・・で、戦争つながりということで、かなり前にkindleで読んだ2冊の本を思い出したので読み直してみました。


1冊目は、一ノ瀬俊也著『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』。

 

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本書は、第2次大戦時に米軍が作成した敵国(ドイツ軍や日本軍)に関する報告書より、当時の米軍が日本兵についてどのように分析していたかを紹介しています。

 

アメリカ人は最初、なーんか小さな島国が、満州はおろか東南アジアまで、あれよあれよと侵略した日本という国に少なからず驚きと恐怖があったようで、アメリカ陸軍にとって日本兵は、「ファナテック(狂信的)な超人」 だと思われていたようです。

 

そういった米兵たちの恐怖心を払拭する意味もあってこの報告書が作られたようですが、日本兵の外観、メンタル、糧食、武器、格闘術、戦闘方法など、事細かに調べられた内容で(多少の誇張はある)、客観的にみた日本人の特徴がよくわかります。

 

・日本兵の教練ではとにかく上官が部下を殴る。

 部下も上官になって自由に出来るのは殴ることだけなので、大いに部下を殴る

・日本人はLとRの発音が下手なのでそれで中国人と見分けることができる

・日本兵は格闘戦・射撃が下手、ガッツに欠ける

・大勢のときは強いが、隊から孤立したり予想外の自体になるとパニックになる

・決まった計画を細部まで実行するのには優れるが、急速な変化には対処できない

・1度決めた方針に固執して兵力を浪費する、奇襲攻撃一辺倒

・日本軍は攻撃力を機械で強化しようとしない。

 日本陸軍は機械に支えられた人間の軍隊であり、

 我々(米兵)は戦闘機械を用いる軍隊である。

・日本兵は「自分で考える力」がない、「三流の兵隊」である

・天皇や靖国のためでなく、味方の虐待や体罰が怖いから戦っているに過ぎない

・戦果よりも戦死が目的化している

 

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うーん、なんだか、現代日本のサラリーマンと同じだなーと思ったのでした。

 米国の目的は当たり前ですが、ただシンプルに、戦争に勝つことです。
そのために米兵をいたずらに犠牲にはしません。

それは人道的であるとか人情論とかではなく、単純に兵士を酷使し士気(モチベーショ)を下げることが戦争を遂行する上で非効率であることを知っているためです。

一方の日本軍も戦略・戦術には工夫したようですが、結局は根性論・精神論が勝って
自軍も敵軍も殺しまくります。


・・・もうまったくバカというか、現代の日本企業のスピリットと、今も全然変わらない気がしませんか?


なお、このアメリカの陸軍情報部が発行した、戦訓広報誌(IB:Intelligence Bulletin)は、全てではないようですが、今でも下記サイトで読むことができます。(もちろん英語ですが)

WWII Intelligence Bulletin Series, U.S. Military Intelligence Service (Lone Sentry)

 

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★★★★★


2冊目は、牧野武文著『風船爆弾の真実 陸軍登戸研究所と731部隊 レトロハッカーズ』。

 

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第2次大戦時、日本陸軍の兵器開発秘密基地だった登戸研究所で開発された「風船爆弾」と、その「風船爆弾」を用いた大規模なアメリカ大陸への爆撃作戦について書かれています。

冒頭、「和紙をこんにゃく糊で貼り合せて作った風船に爆弾をぶら下げて米国本土を爆撃したなんて、思わず「プッ」と失笑するかもしれないが、実はとても高度な日本の技術力と知恵が結集した完成度の高い製品である」と紹介されています。

 

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この「高い技術」で製造された風船爆弾は「ふ号兵器」(風船だから「ふ」)と呼ばれ、実際に9,300個の風船爆弾が放出され、1,000個が米国大陸に到達したそうです。

その作戦名は「ふ号作戦」。

※「ふ号作戦」時には、日本中が「こんにゃく不足」になったとか!

 

対する米軍も本作戦については事前に察知しており、爆弾だけでなく、細菌兵器が全米にばらまかれては大変!ということで厳重な警戒態勢をとり、多くの風船を洋上で撃墜したそう。

「ふ号作戦」はまさしく、唯一米国本土を攻撃し、米国政府を慌てさせた作戦であったのには違いなかった。

なお本作戦の失敗は、「米軍が本気で対応することを想像できなかったから」だとか。


・・・確かに、高度8,000メートルの上空を、日本からアメリカ大陸までの長距離を風船で飛ばすってのはスゴイ技術だとは思いますが、

 

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登戸研究所の元研究員たちが、後の日本のものづくりを支えた!と締められても、「お、おう・・・」と言うしかない・・・


ちなみに本作戦のアメリカ側の犠牲者ですが、木にひっかかった風船爆弾に触れた子供5人と大人1人が亡くなったそうです。

そして、広島・長崎の原爆による死者・行方不明者は約20万人。。。

 

なんだかなー

 

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それではー

   

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書)

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風船爆弾の真実: 陸軍登戸研究所と731部隊 レトロハッカーズ

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昭和史 1926-1945

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昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー 671)

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昭和史 戦後篇 1945-1989 (平凡社ライブラリー 672)

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