okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『ミッドサマー(ディレクターズカット版)

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どうせ、北欧好きな女子が好むようなシャラクサ系の映画だろ?オイ!とばかりにまったく期待せず観に来たら完全に、欧州の白夜の元で諸星大二郎の世界が繰り広げられるという、自分的に大好物な作品だったので、ここに『ミッドサマー』ファンの皆様に改めて謝罪させて頂きます・・おもさげながんす!

 

アリ・アスター監督の長編第2作目だという『ミッドサマー』

 

大学生のダニーは、たまにパニック障害を引き起こすという精神疾患を抱えていたが、同じく精神疾患を抱える実の妹が、両親を道連れに無理心中するという悲劇に見舞われ、ますます精神が不安定になってしまう。
ダニーの恋人で同じ大学生のクリスチャンは、そんな彼女を若干うとましく感じていたが、彼女を突き放すほどの勇気もなく、ズルズルと付き合い続けていた。
ある日、クリスチャンは同級生であり、スウェーデンからの交換留学生であるペレから、故郷で90年に1度しか開催されない夏至祭に参加しないかと誘われ、他の男子学生2人とともにペレの故郷である田舎町に旅行に行く予定であることを恋人のダニーには言えずにいたが、結局ダニーの知るところとなり、どうせ断るだろうと高を括ってダニーを旅行に誘うも、意に反して参加すると言われてしまう。
男子学生だけで羽目を外すつもりだった旅行にダニーも同行することになり、多少ガッカリしたクリスチャンを含む4名の学生たちだったが、ダニーとともにスウェーデンの田舎町「ホルガ」に訪れ、そこで幻想的で奇妙な祝祭に参加する・・・

 

浮かれた男女の学生たちが旅先で惨劇に遭うホラー映画といったら、まっさきに13日の金曜日やブギーマンを思い浮かべるが、同じホラー映画といっても、本作はまったく趣が異なっている。
・・というか、メンがヘラった気味の友人の彼女に無理やり同行されてしまった男子学生たちは浮かれるハズもなく、ただただ、スウェーデン奥地の奇妙なカルト集団の祝祭で酷い目にあっていくという・・単純だが一筋縄ではいかないストーリーになっている。

とにかく、白夜という晴天の下で粛々と進行される、スウェーデンはおろか、ドイツやイングランドなど、他の北欧の伝承などをミックスして創造された、奇妙で幻想的な祝祭のビジュアルが最高に刺激的で良かった。
ポップでサイケデリックで、どこか懐かしい壁画やペイント、衣装などのアートと、御詠歌のような民謡のようなケルト音楽のような、奇妙なカルト集団の合唱や踊り。
まるで、諸星大二郎先生が作品で描くような古代の残酷で幻想的な祝祭を、そのまま北欧を舞台に実写化したような映像体験は、なかなか味わえるものではない。

 

現代人からみたら相当エグい儀式が目白押しのとんでもないお祭りだが、当人たちは至って真面目に、古くから続く伝統の祝祭を粛々と執り行っているだけであり、そんな牧歌的な祝祭の模様を淡々と描いた作品といった印象で、ホラーというよりは幻想的なファンタジー映画、といった趣を感じた。
確かに残酷なシーンはそれなりにあるが、普通に映画を観慣れた人だったら、それほどグロいとも思わないのではないだろうか。

 

ちなみに一番エグい、と思ったのは、ルキノ・ヴィスコンティ監督『ベニスに死す』で究極の美少年だったビョルン・アンドレセンが、村の長老役であんなことになってしまうシーンくらいかな。

 

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なお本作は劇場公開版より23分長いディレクターズ・カット版(171分)で鑑賞した。
通常版(R-15指定)との違いは勿論わからないけど、おそらくディレクターズ・カット版(R-18指定)のほうが良かったのではないか、と思ってしまう。特に通常版ではおそらく、血の付いた男性器にはモザイクがかかっていたんだろうけど、これは無修正で観る方が絶対いいだろう。

 

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ということで、観るまではまったくどんな映画なのかわからず、期待もしてなかったら観て驚いた、おもわずパンフまで買っちゃったよ!ってくらい印象的な映画だった。
できればもう1回観たい作品。

 


2020.2.21(金)公開『ミッドサマー』予告編

 

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