okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

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『ゲームウォーズ』(原題:Ready Player One)を読んだ! #レディ・プレイヤー1

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スティーヴン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』の原作小説である本作だが、日本版タイトルがなんと『ゲームウォーズ』だ!
映画を観なかったら、このタイトルを書店で見かけても決して手に取ることはないだろう雑なタイトル。
まぁ映画で認知度が上がる前に「Ready Player One」で販売しても日本市場には訴求しないだろうけど、それにしてもやっつけな邦題やな・・・

 

映画鑑賞後に購入して読んでみた。
正直、日本語タイトルからの先入観で、せいぜいラノベっぽく薄っぺらい作品なんだろうと期待してなかったんだけど、読みだしたら止まらなくなった。
Amazonのレビューに、「「オモチャ箱をひっくり返したような」という言葉がこうも相応しい作品は他にないでしょう。」という表現があったけど、まさにコレ。
映画版の脚本も手掛けた原作者のアーネスト・クラインの筋金入りのオタクぶりが窺える、なんともカルトでスリリングな小説だった。

 

そして原作を読んでみると、スピルバーグの映画版は、基本的な筋書きやテーマは原作と同じだが、当然ながら、かなり映画的なアレンジが成されていることがわかった。
要するに、原作に比べると万人受けするようライトな作品に仕上がっている。
ただそこはしょうがなく、原作をまんま映画化したら物語に起伏が少なくなり、派手さも薄くなって、映画ならではの面白味に欠けてしまうだろうし、そもそも尺が足らなくなる。それでも基本テーマは同じだし、映画版はやはり良作であることに変わらないし、どちらも楽しめた。

そこで、本作を読んで感じたコトを以下にまとめてみました。

 

【映画版との相違】

先述した通り、映画版も大まかな筋書きやテーマは原作と同一なんだけど、映画ならではの演出上の違いも多かった。
まず大きな違いは、VR上のオンラインシステム「オアシス(OASIS)」の開発者ハリデーが遺した遺産を譲り受けることができるイースターエッグ(宝の卵)を手に入れるための3つのゲーム内容。

映画ではシンプルに3つのゲームのみだったが、原作ではゲーム種類こそ3つだが、キーの入手とゲート・オープンするためのゲームが複数にわかれており、沢山のゲームをプレイする必要がある。(以下は原作のゲーム内容)

 

●第1ゲーム(コッパー・キー&ゲート)
キー入手:「ダンジョン&ドラゴンズ 恐怖の墓所」プレイ、「ジャウスト」プレイ
ゲートオープン:『ウォー・ゲーム』のムービーシンク

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●第2ゲーム(ジェード・キー&ゲート)
キー入手:「ゾーク」プレイ、
ゲートオープン:『ブレードランナー』映画セットから「ブラックタイガー」プレイ

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●第3ゲーム(クリスタル・キー&ゲート)
キー入手:ラッシュのアルバム「西暦2112年」の”ディスカバリー”(曲)をギター演奏
ゲートオープン:「テンペスト」プレイ、『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』のムービーシンク
イースターエッグ:「アドベンチャー」プレイ

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※ムービーシンク:映画まるまる1本分のセリフを一字一句違わず発声するゲーム

 

同じなのはラストゲームでアタリ社の「アドベンチャー」というレトロゲームをプレイする設定のみで、原作は多くのレトロゲームをプレイしなければいけないが、映画ではカーレースなど見た目が派手なアクションゲームに置き換わっている。

 

次の大きな違いは、主人公の「パーシヴァル」ことウェイド・ワッツとヒロインの「アルテミス」ことサマンサ・クックの境遇やスキルなど。
映画版、原作ともウェイドは両親を早くに亡くして叔母に引き取られており、暮らしは貧しいという設定は同一ながら、原作の叔母はかなりの非人間で、ウェイドは実質、食料も自分で得なければならないガチの貧乏。
しかし第1ゲームをクリアしてそれなりの資金を得てからはネット上の経歴を詐称して自活し、悪役企業「IOI」にハッキング出来るほどITスキルが高い。
サマンサは映画版ではレジスタンスの一員で、叔母を殺されたウェイドを助け出すなどリアルでも活躍シーンが多いが、原作ではただの有名ブロガー兼ゲーマー。
原作のウェイドは、ほぼ独力でゲームを攻略し、リアル社会でも生き抜く力を持つかなりのサバイバーとして描かれていた。

 

あとは、映画版ではIOIに雇われて最後まで主人公たちを苦しめる悪役「アイロック」が、原作では単に性格の悪いエイチのクラスメイトで、物語には大きく絡まないキャラクターだったなど。

いずれにせよ、映画版ではストーリーこそシンプルになったが、原作のイメージが実写(CG)で上手く表現できていたと思う。

 

【映画版で感じた疑問】

映画版では、アルテミスにすっかり熱を上げてしまったパーシヴァルが、オアシス内で思わず自分の本名を告げてしまうシーンがあったが、いくらなんでもITリテラシーがさらに高くなっていると思われる未来社会で、ネット上に軽はずみに本名を暴露するのはありえない!と思っていたが、原作はやはり、そんなマヌケなシーンはなかった。
原作ではIOIの悪辣なハッキングのせいで本名がバレてしまうが、さすがこのシーンを映画化すると冗長になってしまうだろう。しかし、それでも今時このシナリオはないんじゃないか?と思う。

 

あと主人公たちが巨大ロボットを操縦して、ラスボスのメカゴジラ「機龍」と闘うラストバトルのシーン、映画版では「俺はガンダムで行く!!」の名セリフで日本人を大いに沸かせた。
ただ、エイチが操縦するのは「アイアン・ジャイアント」で、なんでこのロボット?と思った。アニメ映画『アイアン・ジャイアント』は公開当時、わざわざ劇場で鑑賞したのだが、自分としてはイマイチな作品だった。
『レディ・プレイヤー1』では、80年代前後の、特に日本のポップカルチャー作品からオタク濃度が高いキャラクターが多数登場するのが特色なのに、クライマックスの重要キャラが「アイアン・ジャイアント」なんて、日本以外のマーケットに忖度したとしか思えない。

で、原作。パーシヴァルが操縦するのは、なんと日本の東映版『スパイダーマン』に登場する巨大ロボ・レオパルドン。何という狂った設定。あとウルトラマンにも変身する!
アルテミスはこれまたレア、マジンガーZに登場するミネルバXだよ。日本人でもすぐには思い出せないロボットだ。
映画版ではダイトウ(原作ではアバターではなく本人がリアルで殺害されてしまう!)が操縦していたガンダム(RX-78)は、原作ではエイチが操縦する。
ショウトウ(映画版ではショウ)が操縦するのが勇者ライディーン。
このように、原作では見事に日本のキャラクターだけのラインナップで、もしこれが映画版でも実現してたら、日本の観客は嬉しさのあまり悶絶死してたことだろう。

 

【スピルバーグについて】

監督を務めたスピルバーグ関連作品については当然、原作でも多く引用されている。
そもそも主人公ウェイドがゲーム情報を書きつけていた手帳は、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』にちなんで「聖杯日誌」と呼んでいたほどで、原作者アーネスト・クラインのなかでもスピルバーグ監督は特別の存在だというのが伝わる。
ただ原作には、こんなことも書かれていた。
「ハリデーは、このシリーズの『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』以降の作品はなかったことにしたいと書いている。まったく同感だ。」
・・・自分もまったく同感だが、もしこの一文をスピルバーグ監督も読んでいたとしたら、こんなdisりも意に介さずに作品を仕上げた監督に「あっぱれ!」をあげたい!

 

【『ルサンチマン』との相似】

映画版の感想にも書いたが、本作の設定が、花沢健吾先生のデビュー作『ルサンチマン』によく似ているな、と感じた。
本作の主人公は非モテの30歳、拓郎。
一度も女性と付き合ったこともなく、リアル社会には生きがいが全く無かったが、ある時、友人に教えてもらったVR恋愛ゲームにハマり込んでしまう。
映画を観た後に改めて再読したんだけど、確かに設定が似ている。
VRゲームの世界観も緻密で類似点が多いのだが、驚いたのは、作中のVRゲームのAIを開発した会社を吸収したのが「オアシス」という大会社。これは単なる偶然なんだろうか?
・・・もしかしてアーネスト・クラインは、『ルサンチマン』からちょっとだけインスパイアされたのでは?なんて思ったりして。

 

【VRの未来】

映画版では端折られていたが、原作ではオアシス内のバーチャル空間に、故ハリデーの親友でビジネスパートナーだったオグデン・モローが設立した学費無料の学校があり、ウェイドも通っていた。このVR学級はリアルの学校と違ってイジメもなく学業に集中できる優れた教育施設で、ウェイドのようないじめられっ子で貧しい子供達には願ってもない場所だった。
現代でもネットの発達で、世界各国の有名大学や教育機関が講義を動画配信しており、やる気とネット環境さえあれば、誰でも高い教育を無償で受けられる時代になっている。きっと遠からず、VR上でいろんな施設が出来て、VR学校も登場するだろう。

 

ただ、VR環境があまりにリアルな娯楽に溢れてしまったら、『レディ・プレイヤー1』や『ルサンチマン』の世界のように、VR内が人々の厳しい実社会からの逃避先となり、リアル社会は退廃、世界はディストピアになってしまうことも十分考えられる。
この先、VRが実社会での自己の能力を高める優れたツールとして活用されるのか、実社会からの逃避先となってしまうかは、近い将来にハッキリするだろう。


ということで原作は、世界観も詳細でストーリーもシリアス、かつオタク度もより高くなっている。

なお原作では映画版以上に、主人公ウェイドがサマンサへの恋心をこじらせている。
オンラインゲーム上のアバターの性別や外見がリアルなプレイヤーと同じであるワケがないことは、敵企業のデータベースにハッキングできるほどのITスキルを持ったウェイドには百も承知だったろうけど、それでも思秋期真っただ中のティーンの男子としては、あれだけのサブカル知識を持った魅力的な女の子(かどうかもわからないが)に強く惹かれて恋焦がれてしまうのはしょうがない。
そんな主人公の、厨二ながらも一途な愛情表現には共感できるし、その切なさにホロリとさせられてしまった。

そして映画版と同様に原作でも、主人公と仲間たちが初めてリアルで出会うシーンは感動モノ。
原作では、仲間の一人がリアルで殺されるなど映画よりヴァイオレンスかつシリアスなので、苦難を乗り越えてラストで親友エイチやアルテミスに出会うシーンには、映画版以上に泣けてしまったよ。

 

 

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