okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『ジョーカー』 感想

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公開直後にも関わらず、ツイッターのタイムラインには小泉進次郎ポエムばりにスカした絶賛ツイートが溢れており、映画館のポスターには、早くも「アカデミー賞確実!」とか、米国アカデミー賞受賞作品に必ずしもありがたみも感じないコチラとしては、まったく大きなお世話なコピーが冠されていた。

そんな、ちょっと異様なほどのブームになっている話題作『ジョーカー』、さっそく観てきた。

 

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主演のホアキン・フェニックスの演技がとにかく絶賛されているが、確かに壮絶な演技だった。過去の出演作は『グラディエーター』くらいしか観ていないのだけど、ホアキンが演じたコモドゥス帝は今でも強く印象に残っているし、何より、たまに海外ニュースで伝えられる数々の奇行ぶりから「ホアキンは只者ではない」とは思っていたのだが、まさに只者ではない迫真演技だった。

 

なにげない表情や所作にもすべてに迫力があって目が離せない。印象的な赤いスーツで、モダンバレエのようなポーズで踊る姿の儚くて美しいこと。世界中のヴィランの中でも1番の人気を誇るジョーカーのビギニングを描いた本作がここまで格調高い作品になったのは、やはりホアキン・フェニックスの演技があってこそ、という世間の認識は正しいと素直に感じた。

 

なおジョーカーことアーサー・フレックが憧れるテレビの人気司会者のマレーを演じたのは名優ロバート・デ・ニーロだったが、映画を観終るまで気付かなかった。
考えてみたら、デ・ニーロが出た作品を観たのはタランティーノの『ジャッキー・ブラウン』(1997年)以来で、21世紀で初めてデ・ニーロを観た映画だったんだ、と我ながら驚いてしまった。『ジョーカー』はデ・ニーロの『タクシードライバー』と『キング・オブ・コメディ』もモチーフ作品になっているそうだが、確かにホアキンのキャラクターは『タクシードライバー』のトラヴィスを彷彿とさせていた。

 

ただ、少し引っかかったところ。

今回のジョーカーは、本来は無害な精神疾患を抱える男が、市の財政難のため精神カウンセリングや投薬を打ち切られたことと、降りかかる小さな災難のせいで精神の均衡を失ってしまって、ついには精神が崩壊して凶悪な犯罪者になってしまうというストーリーなのだが、特に完全に壊れてしまう決定打である、アーサーの母親とのくだりがイマイチ、取って付けたような設定だったこと。

善人が凶悪な犯罪者になるキッカケが精神崩壊だったというオチに無理やり脚本を合わせたような、なんとなく予定調和で雑な設定で、意外性をあまり感じられなかった。

例えばティム・バートン版バットマンのジャック・ニコルソンが演じるジョーカーは、化学薬品の溶液に落ちて醜く変貌した自分の容姿を見て狂気に陥ってしまい、クリストファー・ノーラン版バットマンでは、ジョーカーについては誕生秘話は描かれていないが、元は正義感の強い地方検事ハービー・デントがジョーカーにそそのかされて凶悪なトゥーフェイスに変貌したのは、爆発事故により重症を負って、しかも最愛の女性も失ってしまうという強烈な体験がキッカケ。
どちらも、瀕死の重傷とショッキングな経験が引き金になって精神が崩壊して悪人に生まれ変わるという設定だが、それなりに納得感があった。

 

精神疾患の薬の服用が絶たれ、非常に不安定な精神状態のなかで小さな不幸が次々と起こって徐々に精神が崩壊する様をホアキンは見事に演じており、鬼気迫る演技には圧倒されたんだけど、あの「希代のワル」であるジョーカーに覚醒するほどの目にあったかというと、それほどでも無いのでは?と思ったんだけど、なんかオレ認識違ってますかね?

 

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