okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『わたしは分断を許さない』 感想

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ロボコップやマッドマックス、酔拳なんかが大好きなボンクラ映画を好む自分ではあるが、先月、『ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男』という、あまりにボンクラ過ぎるタイトルの映画が公開されていたにも関わらず、うっかり見逃してしまった。

そんな自分が、『ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男』を見逃しながら、なぜ『わたしは分断を許さない』なんて、思わず「マジメかっ!」と突っ込みたくなるような、ド直球なタイトルの作品を観に行ったかというと、監督である堀潤さんが大好きだからだ。

 

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なぜ堀潤さんが好きなのか。
TOKYO MXで月曜から金曜まで毎朝放送されているニュース情報番組『モーニングCROSS』を観ていれば、どんな人でも堀潤さんのファンになってしまうだろう。
この番組では、司会の堀潤さんもゲストコメンテーターも本音でニュースを語り、ツイッターの視聴者の意見をリアルタイムで紹介しながら議論を発展させていく。
そして、誰がどう考えてもおかしい為政者の発言や事件についても、誰にも忖度なく「悪い」と批判するし、議論をさらに掘り下げてくれる。これはNHKや東京キー局のニュース番組や情報番組では考えられないことだ。
しかも堀潤さん、毎朝の生放送で熱くニュースを報道しているかと思えば、その日の夕方には香港に飛び民主化デモを現場の最前線で取材し、そして翌朝には何食わぬ顔で東京に戻ってニュースを伝えるというタフさ・・
いったいこの人はいつ寝てるんだろうかと心配になるくらい世界各国を精力的に飛び回っていながら、いつも笑顔を絶やさない。こんな人のファンにならない人なんているのだろうか。

 

本作は、そんな堀潤さんが世界各地で5年間も取材を重ねて撮ってきた様々な映像を、「分断」をテーマとして一つにまとめた映画である。

 

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冒頭。
香港の民主化デモを最前線から取材する映像のなかで、香港警察による実弾の発砲で倒れる若者の生々しい映像と、それでも生命の危険も顧みず抗議活動を続ける若者たちの姿を見ながら、のっけから涙があふれてきた。
(しかし、新型コロナウイルス流行の影響で最近ではすっかり報道されなくなった感のある民主化デモだが、現在も決して収束したわけではない。)

その他、東日本大震災による原発事故で家と生業を奪われ、未だに苦しみ続ける女性。
日本で難民として非人道的な扱いを受けるクルド人家族。

福島原発の被害者ながら、避難先の沖縄で米軍基地の辺野古移転反対運動に加わった女性。
中共帝国の「一帯一路」構想にジワジワと侵食されつつあるカンボジアの現在。
命をかけて中東の危険地帯を取材し、シリアの武装勢力に拘束されたが無事に帰国した安田純平さんに集団で謝罪を強要した、日本の世論とマスコミの様子。
イスラエル軍による封鎖政策によって最低限の生活を強いられている、ガザ地区のパレスチナ難民キャンプに暮らす少女。
日本にとってはもっとも「近くて遠い国」である朝鮮民主主義人民共和国での、日本と北朝鮮の両国による大学生の交流など、様々な現場を取材し、そして、どれも丁寧に伝えられている。

 

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例えば辺野古移設問題だが、なにが問題の本質なのか恥ずかしながら知らなかったのだけど、本作ではそもそもの発端と、何が課題であるかを丁寧に解説してくれるので、非常に理解が深まった。他のテーマも同様で、映像と語りとでそのニュースの本質の問題をわかりやすく伝えてくれる。

一つ一つのテーマも国もバラバラで、しかもそれぞれの取材内容が重いので、一つのテーマだけで十分に映画化できそうなのだが、あえて短く細切れの映像をつなげて一つの作品とすることで、逆にそれぞれのテーマが鮮明に残るし、観る側もさらに個々のテーマを自分自身で調べて掘り下げて、深く考察するきっかけになる効果もある。

 

そして映像にはもちろん写っていないが、取材しながら明らかに、思わずもらい泣きや嗚咽している堀潤さんの声が聞こえてくる。いかに取材対象者に寄り添いながら、丁寧に取材されているかが、嫌でも伝わってくる。

 

なお、「大きな主語から小さな主語へ」を信条にニュースを伝えている堀潤さんだが、とりわけそれを感じたのは、北朝鮮の大学生と日本の大学生との交流を追った取材だ。
北朝鮮側の学生も、かの国では上流階級に属する上澄みの人たちでエリートなんだろうが、それでも流暢な日本語で、自分たちを卑下することもなく、日本人を非難することもなく、冷静に日本の学生たちと意見を交わし合い、将来の両国の関係を改善しようと考えている様子には、正直驚いてしまった。
我々日本人の北朝鮮に対するイメージはほぼ一律で、かの国は国民一人一人が日本に対して敵愾心しか持っていないと思っていたし、我々も同様に「北朝鮮なんて!」としか思っておらず、まさに「大きな主語」でしか捉えていなかったが、若い学生たちは敵愾心一色ではまったくなく、将来的には両国が友好な関係を築けるように努力したいと本気で思っている。「小さな主語」で見ることによって「分断」の本質と改善策が現れてくるな、と感じた。

 

どのテーマも映像が迫ってきて、どれを観てもなぜか涙が流れてくる。
どのテーマもまだ未解決の問題ばかりだし、これからも忘れずに注視する必要があるし、そして、いろんな人に観て欲しい作品だと思った。

 

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ポレポレ東中野のほか、全国の他の都市でも堀潤さんのトークイベントを行うそうなので、堀潤さんのサインが欲しい方は是非劇場に!

 

bundan2020.com

 

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映画『わたしは分断を許さない』予告編

 

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「わたしは分断を許さない」オリジナル・サウンドトラック

「わたしは分断を許さない」オリジナル・サウンドトラック

  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
わたしは分断を許さない

わたしは分断を許さない

  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
わたしは分断を許さない (credits)

わたしは分断を許さない (credits)

  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
分断 (Instrumental) [feat. aru]

分断 (Instrumental) [feat. aru]

  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

Nintendo Switch 『バイオハザード トリプルパック』 感想

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『バイオハザード』の4、5、6がセットになった、Nintendo Switch の『バイオハザード トリプルパック』、やっと一通りクリアできたので感想など。

 

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バイオハザードは1と2まではリアルタイムでやったことがあるが(実に24年も前!!)、3以降のナンバリング作や、ナンバリング外の作品も積極的にプレイしていなかった。
ただ、数年前にプレイした、ニンテンドー3DSで発売された『バイオハザード リベレーションズ』があまりにも良ゲーだったので、いつか機会があればまたバイオシリーズをプレイしたいな、とずっと思っており、Nintendo Switch で手軽に名作がプレイ可能なこのトリプルパックは、値段も手頃で丁度いいソフトだと思って購入した。

 

では、まずは『バイオハザード4』から。

 

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実は昔、「Wii edition」版を購入したことがあるのだが、Wiiリモコンとヌンチャクコントローラを振り回してのプレイが面倒くさくなって、序盤でやめてしまった。
なので今回は、実に10年以上ぶりのプレイ再開ということで期待を込めてプレイ開始したのだけど・・・
・・始めた途端、「あ、これ失敗した・・」となってしまった。
理由は、あまりにも操作性が今どきのアクションゲームと比べて古臭すぎると感じたため。
まず銃を撃つときは立ち止まって身動きができなくなる点。
最近のゲームキャラクターだったら、走りながら飛びながらガンガン発射できるし、なんなら縦横無尽に駆け回りながら、銃を撃つと同時に剣でも攻撃できたりする。
さらにキツかったのが、銃を撃つときの照準を右スティックで合わせなければいけないこと。
最近のゲームなら、照準は自動的にキャラクターの向きと同じになるので、わざわざ照準を右手の親指で微調整する必要はないが、この操作についてはかなりストレスを感じた。
ただ、コントローラのカスタマイズにより照準を左スティックに変更することができるので、この点については何とかガマンできたけど。
(通常、キャラクターを動かすのは左スティック操作が多いと思うので、照準も同じ感覚で左手の親指で操作するほうがしっくりくる)
ということで、ゲームを始めた直後から、どこで売り払おうか(ヤフオクか、中古ゲーム屋か)考えながらプレイしていた。
それでもガマンしてしばらくプレイしていたら、・・不思議なもので、このキャラクターの操作感の悪さが、かえってゲームの緊張感を高めていることに気づいた。
最初は敵が現れると、焦ってバンバン銃弾を消費してしまっていたのだが、少し慣れてくると、いかに焦らずに落ち着いて敵を倒せばいいか考えるようになり、そうなるとむしろ攻略が楽になり、より楽しくゲームを進行できるようになった。
最初はあえて照準が合わせにくくなっていて、アイテム購入で補正可能な機能になっているのも、ユーザ心理をよく考えているというか、さすがバイオハザードの製作陣!と唸らされる。

・・いやぁバイオハザード4、超面白いじゃないですか!!


キャラクターもレオン・S・ケネディ1人のみ、というのもシンプルで良いし、過去作のなかでもとりわけ人気があるのも納得。オートセーブじゃないしアイテムもアタッシュケースで整理しなければならず面倒な点はあるが、逆にその面倒くささも味になっている気がする。

気が付けばすぐに2周目もクリアしていた。

 

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ちなみに、ゲームは全シリーズをプレイしていないにも関わらずエイダ・ウォンはお気に入りで、『バイオハザード4』版のホットトイズのエイダ・ウォンを所有しているが、今回初めてラストまでプレイしてみて、どんなキャラクターだったのか知ることができて良かった!以前「Wii edition」をプレイした際は、エイダ・ウォンが登場する前にさっさとやめてしまったから。
・・しかし、よくこんな現場を舐めた衣装で、あの過酷な現場を生き抜くことができたな、エイダ・ウォンよ!

 

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さて、お次は『バイオハザード5』。

 

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なお本トリプルパックは、パッケージは『バイオハザード4』のみで、5と6はダウンロード版のみとなっているため、仕方がないのでSDカードを別売りで購入する羽目になった。

 

本ゲームの主人公はクリス・レッドフィールドとシェバ・アローマの2名で、前作と違って2人一組で行動する。
1周目でプレイヤーが操作できるのはクリスのみで、パートナーのシェバはAI操作なんだけど、このAIがちょっと気が利かないところがあって、プレイ中はちょっとだけイラついてしまう。
AIキャラクターの使用武器はプレイヤーである程度変更することができるが、こちらの意図とは違った武器を使ったり、また、欲しくない銃弾を勝手に渡してくれたりと、なかなか、ありがた迷惑な行動を行ってくれる。しかしまぁ、時には役に立ってくれたりするし、なにより2人一組のほうがドラマも盛り上がったりするので、これはこれで楽しかった。
それにしても冒頭から映画のような演出、グラフィックもリアリティがあって、制作費が相当かかってるんだろうな、と思わざるを得ないほど見事な作品で、とても10年も前のゲームとは思えなかった。
こんな凄い作品をなぜ発売当初にプレイしなかったのか不思議なくらい。
当然ながら、即、2周目プレイも終わらせてしまった。

 

最後は、『バイオハザード6』。

 

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もう、この作品くらいになると、ストーリー、グラフィックは、ほぼ映画。ハリウッド映画。制作費もハリウッド作品くらいかかってるんじゃないだろうか?と思わせるくらい豪華なゲーム。

本作も『バイオハザード5』と同様、2人一組で行動する作品になっているが、本作ではさらに「クロスオーバー」システムといって、3組プラス1名の、4つのストーリーが収録されている。
ほぼ同じ時間軸で舞台だが、それぞれのストーリーが違い、全てのストーリーをプレイしないと物語全体の全容が完全にわからないようになっている。なので全ストーリーをプレイするとかなりの長時間となる。
なお本作は2人一組ではあるが、AIキャラクターとのアイテム交換は行わなくてよくなり、かつ適切な単独行動をしてくれるので、前作のようなストレスは全くなくなった。

 

レオン編(レオン・S・ケネディとヘレナ・ハーパー)、クリス編(クリス・レッドフィールドとピアーズ・ニヴァンス)、ジェイク編(ジェイク・ミューラーとシェリー・バーキン)、エイダ編(エイダ・ウォン単独)の4つのストーリー中、とりわけ面白かったのは、本作で初めて登場する新キャラ、ジェイク・ミューラーが魅力的だったジェイク編かな。最初は知らないキャラクターだし、なんか生意気そうな野郎なので、あえてシェリー・バーキンでプレイしたんだけど、物語が進むうちに、「こいつ、いいヤツじゃん!」となって、2周目ではちゃんとジェイク・ミューラーでプレイした。

 

ただ、どのストーリーも似たようなステージや展開が多く、なんとなく冗長な感じはした。特に各ストーリーのラスボスはそれぞれ違うが、どのラスボスも死んだと思ったら
また出現するというパターンの繰り返しで、ちょっと演出がクドい気もする。
それぞれのストーリーをもう少し短めにしたほうが、全体としてキレが良い印象になったのでは?と最終的には思ってしまった。
あとこれは自宅のテレビの設定かもしれないが、音楽とSEは適切な音量だったが、キャラクターのボイスだけ極端に小さすぎて、日本語だとかなり聞き取り辛かった。
『バイオハザード4』や『バイオハザード5』では特に感じなかったので、初の日本語音声対応によるなんらかの弊害なんだろうか。

 

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なお、『バイオハザード4』と同様、『バイオハザード6』版のホットトイズのエイダ・ウォンも所有しているが、今回も初めて、エイダがゲーム中でどんな活躍をしていたか知ることができた。
『バイオハザード4』に比べたらかなり肌の露出も少なくなって、前作よりは戦闘モードのスタイルになったが、でもまだ軽装な気がする・・

 

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ということで本商品。
過去の名作を、この値段で3作も楽しむことができる、かなりコスパの高いパッケージだった。
確かに古い作品ばかりなので(一番新しい『バイオハザード6』でも2012年発売)、操作感やグラフィックは現代のゲームに比べたら劣るかもしれないが、バイオハザードをプレイしてみると、やはり名作と言われるゲームは、莫大な製作費がかかっているためか、ストーリーが重厚で演出も素晴らしいので、多少古くても十分、現在でも楽しめる作品になっていると感じた。

 

なにより、コレクションとして所有していたエイダ・ウォンのフィギュアがどんなキャラクターだったのか初めて知ることができたので、ちょっと感慨深くもあったよ。

 

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バイオハザード トリプル パック -Switch

バイオハザード トリプル パック -Switch

  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: Video Game
 

 

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