okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『ある精肉店のはなし』 感想

こんにちは!


オープニング


『ある精肉店のはなし』を観てきました。

たまたま先週、本作の上映館の前を通りかかったときポスターを見て妻が観てみたいと言ったのですが、自分としては正直、最初はあまり気乗りがしませんでした。

やはり屠畜(とちく)シーンを進んで見たいと思わなかったのと、そもそも、単に一般のお肉屋さんの家族を描いたドキュメンタリーなんて、屠畜シーン以外に、映画として見るべき(面白い)シーンがあるのか?
と思ったからです。

チラシ


端的に言って、非常に面白い作品でした。
観ることができて本当によかった。

本作は、大阪府貝塚市で、家族経営で精肉店を営む北出さん御一家の日常を描いたドキュメンタリー作品です。
こちらの精肉店では、牛の飼育から屠畜、肉牛の販売までを全てご家族でされているのですが、この北出さんご家族が、非常に魅力的な方々でした。

家族

長男の北出新司さん、奥さんの静子さん
長女の浅野澄子さん、次男の北出昭さん
新司さんご夫婦、昭さんは活動もされているだけあり、理知的で弁も立ちます。


屠畜シーン以外に、単に北出家の方々の日常が描かれるだけですが、しかし、あるわあるわ 次々とドラマが。

年に一度の盆踊り、秋の貝塚だんじり祭の準備、親族総出の忘新年会、新司さんの長男の結婚式・・・
(なんと岸和田城の天守閣でのウェディング)

単なる家族の年中行事を描いてるだけですが、魅力的なご家族と、監督の手腕の成せる業でなんとなく、『かもめ食堂』のドキュメンタリー版を観てるような気になりました。

題材はどう考えても重いモノにもかかわらず、とても軽やかで爽やかな作品に仕上がっていました。



★★★★★

なお屠畜シーンは、映画の冒頭とラスト近くで2回あります。

屠畜場所は100年の歴史をもつ「貝塚市立と畜場」というところで、往時には沢山の業者が屠畜を行っていたそうですが、最終的には北出精肉店しか使用していなかったそうで、施設は昨年で閉鎖されたそうです。
(よって北出精肉店でも、牛の飼育と屠畜については廃業されたそうです)

2回目の屠畜シーンは、「貝塚市立と畜場」での、そして北出精肉店にとっても最期の屠畜となる場面で、1回目よりも長く屠畜の場面を描いています。

思っていたよりグロい映像ではなかったので、目を背けることなく観ることができます。

「獣魂碑」で北出さん家族が最期のお参りをするシーンでは、こちらも思わず涙してしまいました。


周囲の人は(屠畜するなんて)スゴイ、スゴイと言うが、自分に言わせれば、動物を屠畜したり、殺すところを見たこともない人たちがお肉を美味しい美味しいと食べることが信じられない、と作中で語っていた、次男の昭さんの言葉が印象的でした。

★★★★★

また本日はこの上映館での初日ということで、上映後に纐纈(はなぶさ)あや監督の舞台挨拶がありました。

監督はとてもチャーミングな方で、作品を撮るきっかけや北出ファミリーの魅力について熱く語っていただけましたが、ちょっと驚いたのは、 本劇場 のスタッフさんも
舞台挨拶のラストでコメントされてたのですが、なかなかいいこと喋ってて、このひと、ちゃんとイイ話しできる人なんだーと思いました(笑)


そしてラッキーなことに、パンフレットなどの購入者への監督のサイン会もあり、今回は上映前に購入していたパンフにサインをもらうことができました!(笑)

パンフ


サインを頂いているとき監督に、なぜこの映画を観ようと思ったか尋ねられた際、(失礼ながら)全然知らなかったけど、たまたまポスターを見て観たいと思いましたと答えたら、「そうなんですよねー、出会いがあるんですよねー」みたいなことを仰ってくれたのですが、
・・・いや、ホントその通りで、まさに「出会い」ってあるんだな、と思いました。
本日この映画に出会えてよかったと思います。


・・・思わず、纐纈監督の1作目『祝(ほうり)の島』のDVDをamazonでポチってしまいました・・

(そして本日は、「焼肉酒家えびす」事件以来、自主規制してた焼肉屋に行ってしまいました・・)


ラスト



それではー




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