『ヴァレリアン千の惑星の救世主』　感想

f:id:okureje:20180408233424j:plain

リュック・ベッソン監督作とくれば何と言っても『レオン』。
厨二病的な演出も少なからず見受けられたが、概ね素晴らしいフレンチ・ノワール・アクション映画の名作。それ以前の『グラン・ブルー』や『ニキータ』も良作だったので、それまではちゃんとした映画監督だと思っていた。

ところが、監督が少年時代から映画化したかったという待望のSF作品『フィフス・エレメント』が、まぁ幼稚な酷い作品で、かつて映画秘宝に「中学生が書いたような脚本」とまで言わしめていたが、ホントにそれで。
実際にベッソン16歳の時に書いた物語をベースに脚本を書いたという見事なオチが。

なので『フィフス・エレメント』を観て以来、自分の中でリュック・ベッソンはすっかり「中学生監督」として定着してしまった。この作品以降、彼が直接監督した作品は一切観なくなった。

そんな中学生監督が、青年期から愛読したというフランスのコミック『ヴァレリアンとローレリーヌ』。
そしてその原作者から『フィフス・エレメント』公開時、「なぜ君はこんなどうしようもない映画を作っているのかね。どうしてヴァレリアンを映画化しないのかね。」とまで言われたというベッソン。
巨額の製作費を投じ、満を持して映画化したのが本作『ヴァレリアン千の惑星の救世主』だという。

・・・正直、「またか・・・」みたいな印象。

なのでやはり漏れ聞くところによると、全世界で大コケしたそうで、製作会社であるヨーロッパ・コープ社は株価がダダ下がりし、CEO交代の事態にまでなったという。自分も当然スルーするつもりだった。

しかし、最近ツイッターのタイムライン上に、「人に薦められるかと言われれば厳しいが、自分的には好きな作品。リュック・ベッソンよ、俺の1,800円を受け取れ」みたいな感想があがってきて、そのほかにも、「意外と面白かった」みたいな感想もチラホラ見え始めて、ちょっと心が動かされてしまった。

中学生監督も会社倒産の憂き目の瀬戸際という苦しい立場らしいので、俺も少ないけどベッソンに恵んでやるか、ということで観に行くことにした。

英国女優、カーラ・デルヴィーニュ嬢の雄姿をスクリーン上でも観てみたいし。

f:id:okureje:20180408233647j:plain

・・・で観てきたんだけど、中学生監督どころか、小学生監督やないか～～い！

めっちゃ幼稚な脚本、演出は『フィフス・エレメント』と殆ど変わってなくて、どんだけリュック・ベッソンは成長してないんだ！と思ってしまった。頭の中はお花畑かお前は！

ベッソンは、ジェームス・キャメロンの『アバター』から刺激を受けて本作を映画化することを決めたらしいんだけど、『アバター』からインスパイアされたのは、本作に登場するパール星人のデザインだけじゃないの？（『アバター』のナヴィに似ている）

あと『レオン』で何が気持ち悪かったかって、古き良きアメリカ映画のオマージュなのかナタリー・ポートマンが子役時代の美空ひばり張りにチャップリンとかマリリン・モンローなどの、とても痛いモノマネをするシーンがあるんだけど、本作にも似たようなシーンがあった。
リアーナ演ずる「バブル」という女性エイリアンがポールダンスを踊るシーン。
あまりの古臭い演出に、むしろ顔が綻んでしまった。ベッソン、ええ奴やなー。幼稚で。

f:id:okureje:20180408233749j:plain