池袋の新文芸坐で開催された「森田芳光70祭2024 in 新文芸坐」で上映された、森田芳光監督の『家族ゲーム』を、実に40年ぶりくらいに観てきた。
当時は中学3年生か高校1年生のときだったか・・
とにかく、初めて観た時の衝撃は凄まじく、本間洋平氏の原作も慌てて読み、関連本も読み漁り、シナリオも何度も読み返し、再上映された森田監督の劇場映画デビュー作である『の・ようなもの』も慌てて観に行って、しばらくは森田芳光づくしの日々だったことを思い出す。
本当に久しぶりに観た本作だが、やっぱり面白かった。
若干、今の感覚だと古臭いセリフや演出もあるが、淡々としながらも、シニカルでシュールな演出は、現代でも色褪せていなかった。
当時、ラストシーンでのヘリコプターの音は、松田優作が演じた家庭教師・吉本の死を暗示している・・といった都市伝説的な説にも、なるほどな~と思ったものだ。
主演の宮川一朗太氏、森田監督の妻でもある映画プロデューサーの三沢和子氏、そしてお馴染み、宇多丸氏のトークショーも、当時の撮影秘話的な話が次々と出てきて、興味深く面白かった。
なんだかんだで宇多丸氏、話が上手い・・
本編上映前にちょっとした機材トラブルがあったとかで開始時間が少し遅れた際に、作品の解説を面白おかしくしてくれたりして、やっぱり達者やなぁ・・と思った。
ただ80年代当時に、これだけ衝撃を受けた森田芳光監督なんだけど、『家族ゲーム』以降の作品は、殆ど観なかった。
それは『家族ゲーム』の翌年に公開された夏目漱石の『それから』を鑑賞してから。
鑑賞前は、あの森田芳光監督が漱石作品を撮るなんて、それだけで期待値MAXしかない!と思っていた。
当時の森田監督のインタビューでも、漱石作品はもっと年を経てから撮りたいと思っていたが、こんなに早く撮ることができてラッキー、みたいなことを語っていたので、本当に期待していた。
しかし劇場で鑑賞したら、それほど面白くなく・・
完全に鈴木清順監督の『浪漫三部作」のような、古風でモダンな作品を期待していたのだが、誰が撮っても同じような文芸作品にしか思えず、やっぱり森田監督、もう少し年齢を重ねてから撮れば良かったのに・・と思ったものだ。
ただそれだと、松田優作を主演に据えることはできなかったから、これはこれでしょうがないんだけど。
なので自分の中での森田芳光監督作品は『家族ゲーム』だけなんだけど、本当に神作品なので、これ一作だけ残した監督でもいいじゃないか!と思った。
それしにても・・・
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