ハッキリ言って事前情報なしで鑑賞してもさっぱり「わけわかめ」で、鑑賞後にウィキペディアを読んで初めて、そうだったのか!とわかるような作品。
・・いや、そんなん、少しくらい作品内で説明してくれても・・
割と無駄なセリフが多いのに、どんな物語なのか少しでも観客に理解させるようなセリフが少なくて、なかなかじれったくはあった。
お約束のクローネンバーグ映画のバイオな機器も、今観るとクラシカルでいいのかもしれないけど、やっぱり相変わらずというか、真新しさはあまり感じられないのだけど、まぁクローネンバーグらしくていいのか・・
思えばクローネンバーグの作品を最後に劇場で鑑賞したのは、1999年の『イグジステンズ』(eXistenZ)が最後で、2000年以降の作品を観るのは今回が初めて。
80年代の『ヴィデオドローム』がとにかく大好きで、90年代までは、クローネンバーグはサブカル的に最強の監督だと思っていたが、満を持して観に行った『イグジステンズ』が、なんとなく「アレレ?」な作品で・・・
当時はファミコンから火が点いたゲーム文化が最高潮で、内容もグラフィックも日進月歩で進化していた時代。
いったいクローネンバーグは、ゲーム文化が爛熟期を迎えた華やかなりし時代に、ゲームをどう実写表現してくれるんだろうと、期待しないわけにはいかなかった。
しかし、ヴァーチャルリアリティ・ゲームがテーマである『イグジステンズ』のゲーム表現が、なんとも垢抜けないというか、野暮ったいというか・・
当時「映画秘宝」でもちょっと揶揄されてたが、例えば、ゲーム内の住民が、いかにもRPGゲームの村人のように、話しかけると同じセリフしか言わないなど、まさかのステロタイプな演出!・・それ実写でやられても、なんかコントにしか見えないんだけど・・
劇中、中華料理の食べ残しの骨で銃を作る名シーンは、いかにも往年のクローネンバーグっぽくて良かったんだけど、肝心のゲーム表現に斬新さを感じなかったので、作品自体もイマイチの印象しか持てなかった。
思えばこの作品を最後に、クローネンバーグ作品から遠ざかってしまった。
本作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』に戻るが、自分としては実に20年以上ぶりのクローネンバーグ作品だったが、ストーリーがわかり辛いため感情移入しにくく、なんとなく過去のクローネンバーグ作品のオマージュのようで、それほど真新しさも感じなかった。
とは言えパンフレットはしっかり購入。
んで、日本を代表する多くの映画評論家の解説を読んだら、「あー、あのシーンはそんな意味だったのか!」「あれはそんな意図で撮られてたのかー!」など、後から気づかされること多々。
やっぱりプロの映画評論家は違う。さすがにここまで深読みできないわー。
ということで、面白かったか?と問われたら、大概の人には決して面白い作品ではないのだが、御年80歳の巨匠が、相も変わらず変態映画を撮ってることを寿ぎながら鑑賞するのもいいだろう。
それにしても、『ザ・フライ』のように口から白い粘液を出してプラスチックを食べる少年が、諸星大二郎先生の『食事の時間』っぽくて良かった。
クローネンバーグ監督と諸星大二郎先生は親和性がある。
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