okurejeの日記

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『シン・ちむどんどん』 感想

 

ダースレイダー&プチ鹿島『劇場版 センキョナンデス』が文句なく面白かったので、沖縄を舞台とした第2弾『シン・ちむどんどん』もきっと面白いだろう、と期待はしたが・・それにしても、なんで「ちむどんどん」?
すこぶる評判が悪かったNHKの朝ドラのタイトルを、わざわざ映画のタイトルに冠した意図を図りかねた。

 

本作『シン・ちむどんどん』は、昨年2022年の沖縄県知事選挙の選挙戦を取材した作品であるが・・・そういえば去年、沖縄県知事選があった気がする・・玉城デニーさんって再選したんだっけ・・・
観光地としての沖縄にはとても興味があるんだけど、沖縄の県政やご当地の情勢には、正直ほぼ関心が薄いことに改めて気付いてしまった。・・まぁ他県だし・・

 

・・で、なぜ「ちむどんどん」かと言うと、昨年の県知事選に立候補した3候補、現職の玉木デニー氏、自民・公明党推薦の佐喜眞淳(さきまあつし)氏、元自民党で元維新党員の下地幹郎(しもじみきお)氏が、地元紙の「好きなテレビ番組」という質問項目に、3名とも揃って「ちむどんどん」と回答したそうだ。
・・ならば選挙活動中、本当に「ちむどんどん」を観てるのか直撃取材して、もし観ていなかったら、他の公約も信用するに足らないのかではないか?という、なんとも意地悪な判断基準で各候補をウォッチするという・・めっちゃ面白そうな内容!

前作同様、ダースレイダー&プチ鹿島の両氏が選挙活動中の3候補の街宣や選挙事務所にズンズン出向いて、応援しつつも何とか候補者本人に接触し、さりげなく「ちむどんどん」の感想を聞き出すのだが・・・想定通りの回答に大爆笑だった。さすが自民党!

 

で結局は、普天間飛行場の辺野古移設反対を訴える玉城デニー氏が勝利し、県の民意も普天間飛行場の辺野古移設反対ということになるが、選挙戦後も、ダースレイダー&プチ鹿島両氏は基地問題についての取材を続ける。


普天間基地問題については、沖縄国際大学の前泊博盛教授のインタビューでの解説がわかりやすかった。
日本全国の米軍基地の70%以上が沖縄に集中しているが、その沖縄の米軍基地でも、特に嘉手納基地の規模が大きく、米軍にとっては最重要基地であるという。航空機事故数も、普天間飛行場の7件に対して、嘉手納飛行場は455件と、実に65倍もの多さで、世界で最も危険な飛行場というならば、普天間よりむしろ嘉手納のほうが当てはまる。
ただ、普天間飛行場は住宅密集地に位置するため昔から危険性が指摘され、米兵による少女暴行事件がキッカケとなって、日米両政府が普天間基地の返還に合意したという経緯があるが、前泊教授は、実は嘉手納基地に国民を注視させない目くらましとして、普天間返還となったのでは?と推測されている。

 

それからさらに両氏は、普天間飛行場の移設先である辺野古新基地での、座り込み抗議現場に取材し、そこでダースレイダー氏が、反対派市民と立ち並ぶ警備員の前で、即興でラップを披露する。
・・このシーン、さすがにちょっとウルっときてしまった。

 

・・その後、なぜかあの「ひろゆき」が、わざわざ辺野古まで出向いて、座り込み抗議を揶揄するツイートをし、大きな話題となった。
正直、このツイートが話題になった当時は、なんでわざわざこんなツイートして炎上させるんだろう・・とは思ったが、自分としては、それほど関心もなかった。
しかし、実際に沖縄各地に出向いて基地問題の取材もされたダースレイダー&プチ鹿島両氏にとっては、この意味のわからない揶揄と、それに28万以上の「いいね」が付いたことに衝撃を受けて、現地でこのツイートがどう捉えられているかを取材するため、再び沖縄に出向くのである。

 

この作品を観たら、さすがに沖縄の基地問題にさほどの関心もなかった自分も、ひろゆきのワケのわからない冷笑ツイートには怒りを覚えてしまった。・・というか、疑問。

高須のバカは単なる基地外なので腹も立たないが、なぜ若者に人気のあるインフルエンサーが、冷静に考えたら揶揄することに全く意味のない、的外れなツイートをするために、わざわざ遠方まで訪れたのか、意図が不明・・
そもそも沖縄県民の多くが辺野古新基地の建設に反対しているのは、玉城デニー氏が再選したことでも明らか。

それでも自民党が民意に背いて建設を止めないことに対して、わざわざ顔を出してアクションする人たちを、同じ日本人がバカにするということ・・それって、とてつもなく恥ずかしいことではないか。
そろそろ、こういった冷笑系に安易に乗っかる風潮を止めないと、永遠に自民党がのさばって、アメリカの言いなりで属国のまま、税金はどんどん絞られて、押し売りNHKからいつまでも受信料ふんだくられる日常から逃れられない。

 


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いやそれにしても、確かに選挙は面白いしエンターテインメントだと思うけど、それって要するに、選挙制度や代表民主制が時代遅れになってるから、古臭い演歌歌手のコテコテのステージをニヤニヤ見ている感覚に近い、ということも言えるのではないだろうか。
成田悠輔氏の『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』で提唱されていた、民意はビッグデータから国民の無意識データを抽出し、アルゴリズムに政策を決定・施行させたほうが、よっぽど国民の幸福度が上がる政治が実現されると思う。
そんな未来が来るまでは、せいぜい選挙を楽しんで、統一教会とズブズブな政治家や、無能な世襲政治家やタレント議員を排除して、少しでも我々の税金の無駄遣いをさせないようにしていかないと、ホントに、日本の未来は暗いと思います。

 

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