okurejeの日記

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『スーパーマン』 感想

 

思えばリチャード・ドナー監督、クリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』が華々しく公開されたのは1978年。
当時まだ小学校高学年くらいだったので、単純に「スーパーマンかっけー!」と思っていたし、昭和の御代では、胸にアルファベットの「S」のマークを堂々と付け、赤パン&青タイツのヒーローに、世間はまだ何の違和感も抱いていなかった。

・・しかし2000年代にもなると、しだいに民衆の反応も懐疑的となっていく。
そもそも、スーツにでっかくアルファベットを付けてるヒーローなんて、日本で言ったら、「肉」と額に書いてるキン肉マンみたいなもん。
ようやく人々も、「なんかスーパーマンってダサくね?」となっていく。
2006年には久しぶりの大作映画『スーパーマン リターンズ』が公開されたが、良作ではあったけど、さすがに爆発的なヒットには繋がらず、もうスーパーマンはオワコン?的な流れになってきた。
これはマズい(赤パンが)と思ったのか、DCEUの2013年公開の『マン・オブ・スティール』では、赤パンを封印し、胸のSの字もあまり目立たないようにし、「あれはアルファベットのSじゃなくて、記号だ!」などと、「中の人はいない!」みたいなことまで言いだしたが、もう後の祭り。
「DCEU作品、つまんね」という評価が一般的となり、同時にスーパーマンのコンテンツ価値も下落してしまった。

そんな状況下でのDCEUが、ジェームズ・ガンの招聘という奇策を打ってきて、その監督第2作目として、ついにスーパーマンを手掛けさせることに・・
しかし、いくらジェームズ・ガンに監督させると言っても、さすがにスーパーマンはオワコン過ぎるのでは・・
だいたい最近のジェームズ・ガン作品もイマイチだし(『ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』)、今となっては誰が撮っても、スーパーマンがDCEU改め「DCユニバース」の起死回生の作品になり得るとは思えないのだが・・
てか、いくら原作には登場してるからって、犬まで出さなくても・・

諸々心配で、まずまず期待値ゼロで観てきたのだが・・

 

 

やっぱジェームズ・ガン作品。
一筋縄ではいかない作品とは思ったが、なかなか斜め上を行くストーリー展開になっていて、さすがジェームズ・ガン!と唸ってしまった。

「オレ、こんなに人類のために一生懸命やってるのに、なんで文句ばっか言ってくんだよ・・でも、やるんだよ!・・」的な人間臭さがにじみ出たスーパーマン像が非常に良い。
スーパーマンって地球上ではあまりにも強すぎて、クリプトナイトしか弱点がないというチート過ぎるヒーローなので、リアリティ重視のドラマが求められる現代では、スーパーマンの戦闘シーンの演出って本当に難しいと思う。「どうせ勝っちゃうんでしょ?」みたいな。
しかし本作は、敵がクリプトナイトを出さなくてもかなり負けてて、万能感がない点もリアリティがあって良い。

一言でいうと、トム・ホランドのマーベル版スパイダーマンに近い印象。
ティーンエイジャーのスパイダーマンほど軽くはないけど、愚痴も多く、最強でもなく、どちらかと言うとポップなスーパーマンという印象で、現代のスーパーマンとしてはこれが最適解だろう。
あと、心配だった犬(クリプト)もなかなかのクソ犬で、好感が持てた。
レックス・ルーサーの悪役ぶりも見事で、久しぶりにダークナイトのジョーカー張りのヴィランをスクリーンで観ることができて満足。さすが名優ニコラス・ホルト。
そして本作のロイス・レーンは、往年のマーゴット・キダーが演じた同役のような姉さん女房的な存在で、かつ過去のスーパーマン作品と違って、かなり積極的にアクションもこなしていたので、こちらも好感度大!
また驚いたのが、往年の名優、マーロン・ブランドーが演じて、本作ではブラッドリー・クーパーが演じたジョー=エルが、まさかのあんな役柄だとは!
こんな設定なんて、ジェームズ・ガンじゃないと出来ないだろう。さすがトロマ映画社出身!

ラストにチラッと登場した、ミリー・オールコックが演じるスーパーガールも、なかなかクセ強そうなキャラクターで、来年公開予定のスーパーガールの単体映画も、一筋縄ではいかなそうな作品で期待できる。

 

総じて、期待値ゼロだった作品が、観終わったら満足度がかなり高い作品になっていたので、やっぱ何だかんだ言ってもジェームズ・ガン、やるな!という結果に。

 

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