「なんでこんなに文明は発達しているのに人間はいまだに働かないといけないんだろう。」
phaさんの著書『ニートの歩き方』より。
まったくその通りなんだけど、今の世の中では殆どの人が疑問に思わない真理ではある。
なので日本では、今日も朝からスシ詰め状態の満員電車に揺られてストレスを溜め、行きたくもない会社で取り立てて好きでもない仕事を遅くまでやってストレスを溜め、さらにエラそーな上司やクライアントからセクハラやパワハラを受けてストレスはMAX状態。
満員電車に乗るのも会社で働くことも、まだまだ今の世の中では回避するのは難しいが、DQNな上司やクライアントのセクハラ・パワハラ行為については、これからは抑止できるかもしれない。
サラリーマンのストレス要因、全部いっぺんには改善できないが、ひとつひとつでも潰して行こうよ。
その有効手段の一つが、今回のはあちゅう(伊藤春香)氏による実名での告白手段だ。
彼女の告白内容が真実だとすれば、夜中に突然呼び出して女性を自宅に引き入れ、恫喝するやら体の関係を迫るやら、もはや犯罪と呼んでいいほどの暴虐ぶり。
はあちゅう氏も証拠もないのにこんな手段には出ないだろうし、元「刻キタル」代表取締役である岸勇希氏も一部の事実を認めて謝罪しているので、まず真実に近いのだろう。
今回の件で岸勇希氏は大きな社会的制裁を受けたし、さらには、あの電通が、まさかの広告会社が自身の公式ツイッターアカウントに鍵をかけるという非常手段をとるなど、世間の反パワハラ・セクハラ熱が高まる大きなきっかけとなった。
自分自身のことで恐縮だが、自分も過去、関連会社の強面で強引な上司に夜中、顧客向けの謝罪文書の内容を何度も書き直しさせられ、何回も徹夜させられて、あげく鼻先まで顔面を寄せて「お前はバカか!死ね!死ね!」と怒鳴られたことがある。
あまりに絵にかいたような切れっぷりに、思わず冷静になって心の中で「お前はフルメタル・ジャケットのハートマン軍曹かよ」と突っ込んだくらいだ。
他にも、自社の高圧的な関西人の営業に、ヤクザまがいな理不尽さで怒鳴られたこともあった。
当時は若かったので委縮してしまったが、今となっては、何でテメーらにそこまで罵倒される必要があるんだ!と、腹立たしい思いしかない。
自身の立場を利用して部下や下請けなどに高圧的な態度で威圧し、相手の人間としての尊厳を脅かすような行為は、昭和じゃあるまいし、今では絶対に許されない。
え?どう考えてもヤラかしてるだろ!としか思えない元TBS記者のレイプ疑惑のように、権力が絡むと実名でもなかなか相手が観念しないケースもあるが、#MeToo 運動がますます盛り上がれば、こんな強固な牙城もいつか崩れるかもしれないし、今回の騒動は、くだらない相撲問題なんかどうでもいいから、もっとメディアも大々的に報道すべきなのだ。
ところがここに来て、なぜかはあちゅう氏へのカウンターとして、彼女が過去に行った「童貞いじり」問題のほうが盛り上がりを見せている。
今回の告発で、今まで何の気になしにパワハラを行っていたヤツが一人でも「あ、コレってヤバいことなんだ・・」と、今更ながらに気づかせるキッカケになるかもしれないし、今は彼女を応援こそすれ、別の問題でヤリ玉に上げようとする風潮が不思議というか、腑に落ちない。
ネット上では相当なインフルエンサーである、めいろま氏と渡辺由佳里さんも、「童貞いじり」に警告を発している。
欧米では未だにマッチョイムズがはびこっており、弱者とみなされる「童貞いじり」はジョック(Jock)やクイーン・ビー(Queen Bee)のようなスクールカーストの強者が弱い者いじめをするのと同義であり、かつ童貞であることを自虐することも、こうしたマッチョイムズを助長させる原因となっているため、軽い気持ちとは言え容認できない、との趣旨だ。確かに一理あると思う。
ただ自分としては申し訳ないが、正直、はあちゅう氏の「童貞いじり」については、それほど悪質な言動とは思えなかったし(cakesの記事「なぜ「童貞」を笑いのネタにしてはいけないのか?」も4回くらい拝読した)、むしろ、両氏の発言に乗っかって、電通の手先みたいな「アンチはあちゅう」連中が #meetoo 運動をうやむやにしないかを危惧している。
両氏とも、「童貞いじり」問題と今回の告発とは別物として扱いたい、とは仰っているが、あきらかに、はあちゅう憎しのバカが「童貞いじり」発言だけをことさらあげつらっているような状況に見える。
そもそも、アメリカ人だろうが日本人だろうが、みんなイジメはいけないことはわかっている。
『悪魔の毒々モンスター』『スパイダーマン』『キャリー』などハリウッド映画(一部トロマ映画)の多くは、製作者に元ナード階層が多いせいか、ギークが主人公となって、弱いものいじめをするジョックスをやっつけるストーリーが多いし、そんな作品が長く支持を受けていることからも、みんなが弱いものイジメをいかに憎んでいるかが伺えるだろう。
ではなぜ、アメリカでも日本でも、未だに学校内のイジメが無くならないのか?
それは、イジメを行った子供に、これといった致命的な罰則が少ないからだと思う。
最近ではアメリカのある地方で、「子供がイジメを行ったら親が罰を受ける」といった
新しい法律を施行したところもあり、今後も増えていくと思われるが、まだまだイジメをするバカは放置状態である。
しかし、そんなバカが社会人になって、学生時代のノリで会社でセクハラ・パワハラを行ったら、今度は実名で告発されて、職を失い、ヘタしたらお縄になる可能性だってあるのだ。
確かに電車内痴漢の冤罪事件のように、一方的な告発は冤罪を誘発しかねないので実行する場合は十分な準備と注意と、そして覚悟が必要だろうが、こんな有効な手段を、はあちゅう憎しだけで盛り上がっている「童貞いじり」問題で埋もれさせたくない。
最後、めいろま氏と渡辺由佳里さんに、オレが大好きな映画『キック・アス』の以下のセリフを捧げたい。
ヒーローに憧れる非モテで童貞の主人公が成長して、真のヒーローになる痛快アクション映画『キック・アス』。
主役のデイヴの友達であるトッドとマーティが、キュートなヒロインのヒット・ガールの戦いを映像で見たときの、日本語訳での掛け合いの名セリフだ。
トッド 「この子が大きくなるまで俺は童貞を守る!」
マーティ 「何から守るんだよ」

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