okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『七人の侍』 感想

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先々週の『椿三十郎』、先週の『用心棒』に引き続き、「午前十時の映画祭9」でいよいよ大本命、『七人の侍』を観てきた。

 

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妻に何度かDVDを観させようとするも頑として拒まれていたが(白黒映画は嫌いという理由で)、さすがに毎週毎週クロサワ作品を観させられて耐性が付いたこともあり、それほど強い拒否感も無く観に連れて行けた。

 

しかし本作、なんと、207分(オリジナル版)もある。
午前10時に上映が始まっても、終わるのは午後1時30分だ。
さすがに3時間強の作品であることは、妻には事前には伝えなかった、というか言えなかった。
『椿三十郎』は96分で、『用心棒』でも110分なので、せいぜい同じくらいの尺だと思っているだろう。

同じく「午前十時の映画祭9」で観た『地獄の黙示録』は202分だった。
さすがにグッタリしたけど、まぁ作品に力があるのでちゃんと鑑賞できたが、今回はどうだろうか。なにせ64年も前のモノクロ映画だし(1954年公開)。

 

本作を劇場で観るのは初めてだが、まさかインターミッションがそのまま入るとは思っていなかった。
スクリーンに「休憩」という文字が映し出されて劇場が明るくなったら、インターミッション有の映画を初めて観た妻はビックリしたようだ。
なお、インターミッションが始まる直前、劇場が明るくなる前にトイレに行く人も何人かいて、何度も観て慣れてるなーと感心したが、そもそも5分間しか休憩がない。
おっとりトイレに行った我々はやはり休憩中に座席に戻って来れなかった・・・

 

また妻が驚いていたのは三船敏郎が演じた菊千代という強烈なキャラクター。
自分もそうだったが、本作を観る前に『用心棒』や『椿三十郎』を観ており、かつ晩年の渋い三船敏郎しか知らない世代が初めて『七人の侍』を観たら、劇中の菊千代を演じている役者が三船敏郎であると認識するまで、かなり時間がかかるだろう。
それほど本作の菊千代というキャラクターの天真爛漫なほどの荒々しさや野蛮さは飛び抜けていて、妻は菊千代が登場してからしばらくは三船敏郎だと気づかなかったらしい。
『七人の侍』の頃の、まだ30代前半の若々しさが残る三船と、『用心棒』や『椿三十郎』の頃、40代を過ぎて渋みを増した三船との違いもあるだろうが、やはり三船の菊千代というキャラクターに対する役作りが徹底していたんだと思う。

 

なお、4Kリマスター版は今回初めて観たのだが、スクリーンで観たことも大きいが、確かに鮮明な映像だった。
何より、DVD版では画質はおろか音質も悪すぎてセリフが聞き取りづらく、字幕が欲しいほどだったが、今回は音声も明瞭で、それほどストレスなく鑑賞することができた。

 

しかし何と言っても、やはり見応えのある作品だった。
侍も農民も全てのキャラが立っていて、3時間の長尺も気にならないほどストーリー、演出ともシンプルでわかりやすくて面白い。
Wikipediaによると、かのスピルバーグ監督は、製作や撮影に行き詰った際は、もの作りの原点に立ち戻るために必ずこの映画を見るとのことだ。

まぁ現代ではクッソ長い映画だけど、本当に見応えのある作品。死にまでに何度か観るべき映画。
(インターミッションが始まる直前のシーンまで記憶してトイレに素早く行けるほど、何度も観るべき作品)

 


Trailer Seven Samurai van Akira Kurosawa

 

 

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