他の映画鑑賞時に映画館で初めて予告編を観たとき、あまりに『All You Need Is Kill』過ぎてさっぱり興味が沸かなかったが、「意外と面白い」という評判だったので観てきた。あの奥浩哉先生も絶賛してたし。
映画、コンティニュー観て来た!オールユーニードイズキル系のアイディアだけど、上手く調理してあって新鮮な感覚で観れた。凄く楽しい映画だった!
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) 2021年6月5日
オススメ! pic.twitter.com/Kalh2mQb9O
『All You Need Is Kill』は、原作であるライトノベル版は未読だがコミカライズ版が面白かった。主人公が戦死を何百回も繰り返す毎に対戦経験を元にスキルアップしていくという、今までありそうでなかったプロットは斬新だった。なお、トムの実写版『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はいかにもなハリウッド映画で大味な作品だったが、それなりに楽しめる娯楽作にはなっていた。
ただ「何度も死んで強くなる」という設定は斬新だが強烈でもあるので、よっぽどアイデアを練らないと、またタイムループ物か・・みたいな印象になってしまうが、さて本作はどのように料理しているのだろうか。
結論から言うと、大作感はないがトム版『オール・ユー・ニード・イズ・キル』よりも面白かった。もっと言うと、ちょっとシリアス過ぎて暗めな『All You Need Is Kill』よりも楽しめる作品にもなっていた。
敵が宇宙人やモンスターではなく人間の殺し屋というのも、SFアクションながら現実感があってよかった。
タフで渋い主人公を演じたフランク・グリロはもとより、本来は添え物的な役柄に過ぎない元妻を演じたナオミ・ワッツもさすがの名演で印象を残したし、今やすっかり悪役面になったメル・ギブソンがラスボスをふてぶてしく演じていて(まさに『Boss Level』!)、ベテラン俳優陣もいい味を出していた。なにより、チョイ役だが主人公に中国剣術を教えるミシェール・ヨーはいくつになってもカッコいい!
アクションもテンポも良く中だるみの少ない良作だったが、1点だけ気になったのがレトロゲームの扱いが中途半端だったこと。物語中、主人公の息子との交流の中でストリートファイターなど80年代のレトロゲームが登場するが、わざわざストリートファイターをフューチャーするなら、プレイを繰り返し上達することが敵との闘いに活かされるなどあるかと思ったが、単に息子と対戦するくらいで特段拡げられていないので、レトロゲームのシーン自体が若干冗長に感じた。
そもそも『All You Need Is Kill』の原作者は、『コンティニュー 』の監督も参考にしたという映画『恋はデジャ・ブ』と、ゲームでコンティニューを繰り返しながら攻略する営みから物語を思いついたというだけあって、死を繰り返しながら謎を解き強敵を倒すというモチーフはゲームそのものであり、テーマそのものでもあるんだから、もうちょっとレトロゲーム自体を脚本の重要な要素として扱ったら、物語がさらに締まったような気がするが・・・大きなお世話か。
まぁでも、コロナ禍で殆ど観れてないけど、今年観た映画のなかでは一番面白かったのは間違いない。