okurejeの日記

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『シン・ゴジラ:オルソ』 感想

 

『シン・ゴジラ:オルソ SHIN GODZILLA:ORTHOchromatic』

『シン・ゴジラ:オルソ』の「オルソ」とは、「オルソクロマチックフィルム」とういモノクロフィルムの一種であるらしい。
現代で一般的にモノクロフィルムといえば「パンクロマチックフィルム」を指すそうで、こちらは可視光線のすべてに対して感度を持つそうだが、対して「オルソクロマチック」は、紫から緑色までしか感光性がなく、赤系統の色が感光されない特徴を持つとのこと。
ということは、黄色、オレンジ色、赤色は黒で表現されてしまうので、「パンクロマチック」に比べると、より黒っぽい・・ある意味、重厚なモノクロ表現になるという。
昔のサイレント映画は「オルソクロマチック」だったため、顔が黒く映ってしまうので俳優はメーキャップに苦労したそうだ。

 

まぁデジタル画像で例えたら・・

 

 

「パンクロマチック」がグレースケール、

 

 

「オルソクロマチック」は、Black&White みたいな感じだろうか。顔はほぼ真っ黒。

 

 

なお、カラー作品をわざわざモノクロ作品で再上映する映画なんてあんまり無いと思うけど、記憶に新しいのは『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クローム エディション』。

ただこの作品は、もちろん「パンクロマチック」だと思うので、全体的に色調も明るく映像も鮮明だった。もしこの作品を「オルソクロマチック」でモノクローム化したら、同じモノクロでもかなり印象が違ったかもしれない。
この作品に関しては、おそらく「オルソクロマチック」はそぐわなかったかもしれない。

 

で、『シン・ゴジラ:オルソ』だが、確かに、アップでも俳優の顔が真っ黒で見えにくかったり、人物も全身が黒くなってしまうシーンがそれなりにあった。
特に、ゴジラが覚醒して荒ぶる夜間のシーンは、当然ながら視認性は悪かった。
ただ、多数の熱線を放射するシーンなどは、見えにくいために逆に恐怖感が増した感じがした。
なのでこの作品に関しては、「パンクロマチックフィルム」よりも「オルソクロマチック」が最適解だったと思う。


・・というか、カラーだろうがモノクロだろうが、やっぱりこの作品は何度観ても面白い。

そういえば公開当時から劇場で2回、購入したBlu-rayで3回、Amazonプライムで2回くらい鑑賞している。ここ10年くらいで、これだけ同じ作品を何度も鑑賞することはあまりない。
なのでここ10年くらいで、自分的には一番好きな作品なんだろう。

なにが面白いかというと、まず、ゴジラが形態変化を繰り返すというアイデアがとにかく斬新だったこと。

そして政治家や官僚などの群像劇という形を取った人間パートがとにかくリアルで、こういった超激甚災害が発生した際の内閣のドタバタぶりが、いかにもあるあるな感じで、何度観ても楽しい。
それでいて、さりげなく日本国民の勤勉さや誠実さ、勇敢さを称えるニッポン応援映画になっているのも泣かせる。
そして故・アベちゃんではないが、未だに戦後レジームを脱却できず、「かの国」の属国のままでいる日本と、微妙な日米関係をさりげなく表現しているのも、本当に深い作品だなーと思わせる。

 

・・しかし、こんな面白い作品をモノクロバージョンで3日間だけ特別上映されるっていうのに、鑑賞した当日の池袋HUMAXシネマズの観客の入りが3割程度だったのには驚いた。
当日は池ハロ(池袋ハロウィンコスプレフェス2023)初日で、池袋のサンシャイン通りの賑わいは凄かったんだけどなー

 

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