okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『まる』 感想

 

未だにジャニタレ主演作品には抵抗あったりするんだけど、しかも、KinKi Kidsメンバーというのも引っ掛かりはあるが、しかし。
堂本剛というのはきっと上手いんだろうな、とは思っていたが、やっぱり上手かった。

積極的に観たい作品ではなかったが、荻上直子監督作品は劇場に駆けつけなければならないだろう。
どんなストーリーなのかよくわからず。なんでも、堂本剛が描いた「〇」がバズって大騒ぎになる物語だということで、それ、面白いんですか?


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まるで村上隆をモデルにしたような、吉田鋼太郎が演じる人気現代美術家・秋元のアシスタントを務める、堂本剛演じる主人公の沢田。
4年間、パワハラ気質の秋元の元で、黙々と低賃金でアシスタントを務めていたが、ある日、自転車でコケて利き腕を骨折、秋元にボロ切れのように解雇されてしまう。
隣室に住む漫画家、綾野剛が演じる横山が、昼夜問わず上げる唸り声が聞こえるボロアパートで途方に暮れる沢田。生活費に困り、非利き手の左手で戯れに書いた「〇」を、行きつけの古道具屋に持ち込むが、なんとその「〇」が、斬新なアート「円窓(円相)」としてバズってしまい、瞬く間に時の人となり、戸惑う沢田・・・

 

沢田は理不尽な目にあっても、必要以上に落ち込んだり激したりせず、「正直しんどい・・」くらいのユルいニュアンスで、割と淡々と過ごすキャラクターなんだけど、そんな役柄が堂本剛にとても合っている。
それだけに、ラスト近くで沢田が泣くシーンでは、思わずこちらももらい泣きしそうになってしまった。
どんな目に合っても淡々とやり過ごしてきた沢田が、感情を露わにする数少ないシーンだが、堂本剛の素の部分も溢れて出ているようだった。
まさに、堂本剛のための当て書き作品のようだった・・って、本当に当て書きだったのかも。

沢田のアルバイト先の先輩コンビニ店員で、森崎ウィンが演じる、ミャンマー人のモーが良かった。
外国人なまりの日本語をバカにするコンビニ客にも卑屈な笑いで応対するシーンを、本当にミャンマー出身の森崎に演じさせるというブラックな演出をする、ブラック荻上直子監督の真骨頂。
前作の『波紋』で、実際に難聴の俳優である津田絵理奈に、難聴の役を演じさせ、障碍者差別に辛辣で、割と毒の強いセリフを吐かせていたシーンを思い出す。

現代アートが異常に高騰する昨今の風潮を皮肉っているようで、それでもアーティストを賛歌している作品でもあると感じた。

それにしても荻上監督、本当に変わった物語を作り出せる、稀有な作家だと思う。
荻上組でおなじみの小林聡美や片桐はいりのみならず、吉岡里帆、柄本明、吉田鋼太郎などのビッグネームが気軽に脇を固めているのも、荻上監督の実力が成せる技なんだと思う。
・・吉岡里帆にエコテロリスト役をやらせるのもスゴイ。

 

なお先日、今更ながら荻上監督の『トイレット』のBlu-rayを購入して鑑賞した。
『シー・ハルク:ザ・アトーニー』でシー・ハルクを演じたタチアナ・マスラニーも主役の一人を演じている、もたいまさこ以外の出演者は全て海外の俳優という珍しい作品だが、これも変わった作品だった。
荻上監督でしか撮れない作品。

 

 

荻上監督の新作を観たらいつも思うんだけど、こうやって定期的に荻上作品を世に出している邦画界も、まだ捨てたもんじゃないな、と。

 

川っぺりムコリッタ
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