okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『山のあなた〜徳市の恋〜』& 『按摩と女』 感想

 

朝ドラ『ブギウギ』を毎日視聴しているせいか、なぜか久しぶりに草彅剛主演、石井克人監督作『山のあなた〜徳市の恋〜』が観たくなって、衝動的にDVDを購入してしまった。

本作を2008年の初公開時、劇場で鑑賞した。

当時、石井克人監督の『茶の味』や『ナイスの森〜The First Contact〜』が大好きで、その流れで本作を劇場まで観に行った。すごく味のあるいい作品だと思ったが、どうも当時は、ジャニタレ主演映画のDVDを購入するのに抵抗があり、代わりと言ってはなんだが、本作の元ネタである清水宏監督の1938年の作品『按摩と女』のDVDを購入した。
・・ただ、戦前モノクロ作品を積極的に鑑賞する気にならず、15年経った現在まで未開封、未鑑賞のままだったのだが・・

『山のあなた〜徳市の恋〜』は、山間の温泉宿を舞台に、按摩の徳市と、東京からの旅行客である謎めいた若い女とのふれあいを描いた作品で、オリジナルの66分の作品を、94分の尺で再現した「カバー作品」である。
この作品に惚れ込んだ石井克人監督が、『按摩と女』を、カラー作品として現代に再現したいと熱望して制作されたため、シナリオも当時のオリジナルをそのまま使用している。よって、リメイク作品ではなく「カバー作品」としているそうだ。
ただしシナリオ中、「めくら」という、現代では差別語になってる文言だけは「按摩」に置き換えられている。

15年ぶりに観た本作、やはり名作だった。
主人公の徳市は負けん気の強い性格で、「目明きには負けられない」と、4人もの大学生に果敢に喧嘩を挑んで、しかも勝ってしまうくらいヤンチャなキャラクター。そんな徳市を、草彅剛が見事に演じている。
そして、徳市の相棒、福市を演じているのが加瀬亮クンで、これまたとぼけたキャラクターを飄々と演じており、二人のほのぼのとした掛け合いを見ているだけで幸せな気分になる。
ラストは一転、切ない幕切れになるのだが、ツヨポンの切なげな演技がまた良くて、泣けてしまう。
ストーリーに大きな起伏はなく、ただ温泉場での、按摩さんと旅行客との出会いと別れの数日を描いていいるだけの、現代の感覚からすると誠に地味な作品なんだけど、独特の余韻と味わいのある、まさに「いい映画」。

 

 

・・ということで、この際、腰の重かったオリジナルも鑑賞してみようと思って、15年ぶりに『按摩と女』のDVDを開封。
・・いやー、良かった。
・・というか、『山のあなた〜徳市の恋〜』って、オリジナルそのままやないかい!
って、綿密にカバーしたから当然なんだけど、戦前の作品を、よくも見事に現代に蘇らせたもんだ・・
オリジナルのほうは66分と短い尺なので観やすい、というのはあるけど、徳大寺伸が演じた徳市は、むしろツヨポンよりもラストの切なさが滲み出ていてよかった。
なにより、カバー版でマイコが演じた三沢美千穂を演じた、オリジナル版の高峰三枝子が本当に綺麗。
我々世代で高峰三枝子と言えば既に大女優で、助清の母親・犬神松子の印象しかない。
なので本作でのチャーミングな高峰三枝子が全く新鮮だった。
なお『按摩と女』は既に著作権切れとなっており、public domain channel でyoutubeでも視聴可能。

 


www.youtube.com

 

それにしてもこちらのDVD、プレミアム・エディションだけあって、物凄く豪華!
本編DISKのほか、特典DISKが2枚も付いており、さらに封入特典もスゴい・・
メジャー作品ではないので、やはりBlu-ray化まではされておらずDVD購入となったが、初回限定生産のプレミアム・エディションをかなりお安く購入できたので、ある意味ラッキーだった。

 

 

鯨屋手ぬぐい型ハンカチとポストカードセットとか・・

 

 

 

・・この絵コンテ台本の縮刷版がとにかくスゴい・・

 

 

主要登場人物のキャラクター設定がイラスト付きで書かれてるんだけど、キャラクターの生い立ちや性格が細かく設定されているが、どう考えても石井克人監督が勝手に考えた内容で笑える・・というかスゴい。

 

 

すんごい隠れた名作で、こんな作品を観れるなんて、日本人に生まれて良かった。

 

按摩と女

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