okurejeの日記

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『シン・ウルトラマン』2回目 感想

 

『シン・ウルトラマン』、なんだかんだで2回目の鑑賞。
初回鑑賞時は、どうしても『シン・ゴジラ』と比較してしまって、当初に思っていたイメージと違うことに戸惑ってしまったが、とりあえず冷静になって再度鑑賞してみたら、思った以上に楽しめた。というか・・思わず感動して泣けてしまったほど。なんだこれは!?

 

今回は、初回に違和感として感じたシーンが、むしろ面白く観れた。

例えば初回では、禍特対が禍威獣退治に直接的には全く役に立ってないと思ったけど、落ち着いて観てみたら、結構役に立ってるじゃないか。まぁ、主にウルトラマンのサポート役としてだけど。
それにしても、西島秀俊演ずる田村班長を始め、禍特対メンバーがちょっと能天気?ってくらい前向きで陽性なのが、初見では「コイツら、禍威獣も倒してないのにのんきだな・・」と思ってしまったが、いやいや、日本や地球が、禍威獣や外星人の攻撃で次々と危機的状況になっても絶望せず、前向きに対策を考える姿って、いかにもエリートのポジティブシンキングな表現。むしろリアルだった。

あと、ドラマ版の初代ウルトラマン、幼いころに再放送で観たんだろうが、全く記憶に残っていない。
なのでオリジナルのストーリーをモチーフとしたシーンについては、初回鑑賞時は意味不明なのでピンとこなかったが、鑑賞後に色々とオリジナルのシーンを調べたら、なるほど前知識として知っておくと、確かに味わい深く鑑賞できた。『シン・ゴジラ』は、旧作のディテールを知らなくても新たな映画作品として楽しめて良かったのだが、『シン・ウルトラマン』のように、オリジナルのシーンが、現代の物語としてどのように落とし込まれたのかを楽しむもの有りだな、と感じた。

なお初回鑑賞後、念のため初代ウルトラマンを1話だけアマプラでレンタル視聴したのだが、実に半世紀以上も昔に作られたと思えないほどクオリティが高いのに驚いた。確かに特撮は今のレベルからすると稚拙だが、とにかく丁寧に造形、撮影されていて、当時の特撮スタッフの意気込みを感じた。ドラマパートも演出が細かく役者の表情も豊かで、あまり古さを感じさせなかった。

 

 

そんなこんなでの2回目の鑑賞だったが、一番グッときたのが、禍特対メンバーとウルトラマンの関係性。
オリジナルでは、地球に飛来した際に墜落死させてしまったハヤタ隊員への罪の意識から、ハヤタと一心同体となって地球を守る決意をしたウルトラマンだったが、本作では、自分のせいで命を落とした神永への謝罪などではなく、自分の命を顧みず他人を助ける人間という生命体に興味を持ったため、神永と融合する。単なる興味本位である。
人間より思考も感情も超越した高次生命体であるため、人間のために禍威獣や外星人とは戦うものの、あくまで人類を俯瞰で眺めている、中立的な存在として描かれているのが面白い。だが次第に、自分の仲間である禍特対のメンバーとはそれなりに信頼関係を深めていく過程が、そこはかとなく感動させられた。

オリジナルでは、最後までハヤタ隊員がウルトラマンだったことは科学特捜隊のメンバーには知られることはなかったが、本作では中盤あたりから、禍特対メンバーはおろか、世界中にウルトラマンの正体がバラされてしまう。禍特対メンバーも当然驚くが、そもそも自分たちの仲間であった神永=ウルトラマンを、真実を知っても部外者として扱わない。

お馴染み、竹野内豊が演じる「政府の男」が、ウルトラマンである神永を拘束しようとした際に、拒めば禍特対メンバーの命の保証をしないと恫喝すると、「そんなことをしたら自分が真っ先に人類を消滅させる」と、政府の恫喝に対してとんでもない恫喝で返すというシーンにも、ウルトラマンの「人間らしさ」が感じられてよかった。
最終決戦でゼットンの地球滅亡攻撃を阻止する対策案が、ウルトラマンの命の保証もない作戦であると聞いた田村班長が、「(自分たちの仲間を犠牲にするような)そんな作戦は認められない!」と即座に却下したシーンも胸アツだった。
そんな流れで、ゼットンとの最終決戦に向かうウルトラマン=神永に対して、長澤まさみ演ずる浅見弘子が「いってらっしゃい!必ず帰ってきて」と声を掛けて見送るシーンでは、思わず目から水が流れてしまった!

 

まさにキャッチコピーである「空想と浪漫。そして、友情。」「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」そのもの。

 

 

まさかウルトラマンで泣けるとは思っていなかったが、『シン・ゴジラ』も、折に触れて何度も観ているが、2度目の鑑賞を経て、『シン・ウルトラマン』も何度でも観れる映画になった。
ということで、初回はアレコレ思うことがあっても、ちゃんと咀嚼して観なおしたらやっぱり面白い作品。庵野&樋口作品は日本映画の宝です。

 

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