okurejeの日記

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『あの子は貴族』 感想

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最近「実家が太い」というネットスラングをよく見かけて、ようするに実家が裕福って意味なんだけど、いまでは母親が専業主婦ってだけの中流家庭でも「実家が太い」と言われるらしい。余談だが、実家が白金の名家の出である細野晴臣すら「細野さんの実家って太かったのか!」と、ツイッター上で軽いネットスラングで語られてたのには辟易してしまった。

 

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『あのこは貴族』は、「実家が太い」どころではない、人知れず東京に生息するホンモノの上流階級の適齢期のお嬢様・榛原華子(門脇麦)と、苦学して地方から東京の名門大学に入学するも「・・実家が細いため」学費を払えず水商売に手を染めるが結局中退した時岡美紀(水原希子)という、住まう階層の違う2人の女性が、とある共通のキッカケで意図せず交わることになる物語。

 

最近話題になっている作品だが、本作を観たいと思った理由は、朝の情報番組で主演の門脇麦のインタビューを見てからで、自身の演技論についてしっかり語っていて、この若さでこんなクレバーな受け答えができる人がいるんだ・・と驚いてしまった。正直、彼女の名前すら知らなかったけど、どんな演技をするのかちょっと観てみたいと思った。
そしてその期待通り、本作での彼女の演技は見事で、世間ずれしていない真正のお嬢様で清楚で心優しく本能的に自分を抑える自制心も備えているけど、自分を偽らない生き方を選択する強さも持つという難しい役柄を、サラッと演じていた(いるように見えた)

 

あくまでモデルが本業である水原希子の富山弁にはまったく期待していなかったが、大学生時代の母親と電話するシーンでの富山弁は違和感がなかったので良かった!
というか、正月の帰省で魚津駅に降り立ってから実家に帰ってジャージに履き替え、母親のつくる里芋のにっころがしを食べるシーンなどもとても良かったが、シャッター商店街を強調され「死んでるねー」と言われた魚津の立場はどうなの・・とちょっと心配になったり。
昔、仕事で何年間か宇奈月町に通っていて、魚津駅前のAPAホテルによく宿泊したので・・
アピタ魚津店には行ったことなかったけど、現在はMEGAドンキになっているっていう・・

 

高良健吾、若松孝二監督『千年の愉楽』で見事に汚れ役を演じきった人なので、今回もさすがの演技で、葛藤があるのに気づかないように生きる上流階級の男性の役を見事に演じていた。

 

「東京は、異なった階層の人たちが絶妙に交わらないように出来ている街」
「いかにも東京らしさを感じるスポットに来たら地方出身者はアガるけど、その施設を作ってるのは地方出身者」
なかなか名言の多い本作だったけど、確かに自分も本当の上流階級の人たちを見たことがない。でも生息しているのはなんとなく知っている。なかなか興味深い作品だった。丁寧に撮られているし。でも最終的にカタルシスを感じなかったんだけど、これは原作も同様なんだろうか。

 


映画『あのこは貴族』予告編

 

・・あと、民間の上流階級でさえ婚約相手の女性の身辺調査をキッチリしてるのに、なんで、やんごとなき階層の最上層が小室圭さんの素性を見過ごして婚約内定を了承したのか理解できん!という妻の感想、もっともだと思った。

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あのこは貴族 (集英社文庫)

あのこは貴族 (集英社文庫)

 

 

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