okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』 感想

 

遅ればせながら、マーティン・スコセッシ監督『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観てきた。
なにせ3時間半(206分)の作品。なかなか腰が上がらなかったが、腹を括ってエイヤッで歌舞伎町まで出かけてきた。

 

 

作品情報は殆ど入れずに来たので、どういうストーリー展開になるのか序盤では全くわからなかった。
なので、ロバート・デ・ニーロやレオナルド・ディカプリオが演じた人物がここまで悪辣なキャラクターだったのかってことも、序盤では想像がつかなかった。

 

本作は、1920年代のオクラホマ州オーセージ郡が舞台。
オーセージ族というネイティブ・アメリカンの居留地であり、オーセージ族は、居留地の土地で発見された油田などの鉱物資源の所有権を持ち、当時のアメリカ合衆国内でもかなり裕福な部族となっていた。
その富を簒奪しようとした悪い白人を演じるのがロバート・デ・ニーロやレオナルド・ディカプリオで、彼らの犯罪を暴いて告発したのが、FBIの前身組織であるBOIの捜査官たち。
『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』というノンフィクション作品を映画化した作品となる。

 

非白人種を迫害した地方の悪い白人をFBI捜査官が懲らしめる的な映画では、アラン・パーカー監督『ミシシッピー・バーニング』などがあるが、本作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』では、捜査官視点ではなく、加害者側の視点で描かれている。
実は当初、レオナルド・ディカプリオが演じる予定だったのはBOI捜査官役だったらしいが、ディカプー自身が、告発される側の白人役を演じることを提案し、脚本が変更されたそうだ。
もし、当初予定通りディカプーがBOI査官役だったとしたら、かなり違った作風になっただろう。

 

『ミシシッピー・バーニング』では、正義感溢れるFBI捜査官が、片田舎の黒人差別主義者たちを徐々に追い詰め、ついに逮捕に至る過程がカタルシスになっているが、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ではそのような単純な勧善懲悪にはなっておらず、最初から最後まで淡々と描かれていたのが良かった。

ちなみに『ミシシッピー・バーニング』も実在の事件を元にしているが、現実はかなり違っていたらしい。そもそも当時の政府もFBIも公民権運動には非協力的で、映画のように正義の熱血FBI捜査官が黒人のために事件を解決した、ってワケでもなかったようだ。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でも、多くのオーセージ族を殺害した犯人たちは数年後には出所しており、犯した罪に見合った極刑に処されることもなかった。
このあたり、9月に鑑賞した森達也監督『福田村事件』と同じで、罪もない薬売り行商人を惨殺した犯人が、恩赦で数年後に出所し、遺族には何の謝罪もなかったそうだ。

どちらも丁度100年前のお話で、昔といえば昔だが差別意識は、現代を生きる我々の中からは完全消滅していない。

 


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見応えのある作品で、原作も読んでみたいと思ったが、それにしても長尺だった。
面白かったのでそれほど苦痛はなかったが、それでも、もう少し短く編集できたような気もした。
なお世界各地の一部の劇場では、勝手にインターミッションを挟んだとかで、スコセッシ監督はじめ制作者側は激おこぷんぷん丸だったらしいが・・・
今の時代、3時間半の劇映画を好んで観に行こうとする人はどれだけいるんだろう。
タイパ重視のこの時代に、こんな映画を作る人も観る人も、今後ますます減ってくんだろうな。

 

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