Amazonプライム・ビデオでストリーミング配信されているAmazonオリジナルドラマ『ザ・ボーイズ』。
海外ドラマはクオリティが高くて面白いけど、何話も視聴する気力がないため殆ど観ないのだが、本作は頑張って、シーズン1の全8話を視聴した。
『The Pro』のガース・エニス原作のアメコミをドラマ化した作品で、ガース・エニス作品らしく、エロ・グロありのアンチ・ヒーローのドラマ。
Amazonリーディングで、原作の原書コミックが全12話中の1話だけ無料だったので読んでみたが(・・とは言え、英語初心者にはセリフが難解過ぎ、ほぼ絵だけでストーリーを追ったに過ぎないけど)、ストーリーや設定は多少は変更されつつも、大まかなプロットはほぼ原作とドラマは同じ感じだった。
アンチ・ヒーロー物としては『ウォッチメン』に近いノリだが、『ウォッチメン』の場合は登場するヒーローのうち数人のみが悪人だったが、『ザ・ボーイズ』は一部のヒーローを除いて、ほぼ全員悪人。
日本のアニメやコミックだと、『TIGER & BUNNY』や『僕のヒーローアカデミア』、島本和彦先生の『ヒーローカンパニー』に登場するヒーローを、下衆で下劣なキャラクターに置きかえたようなお話。
グロい人体損壊シーンも多く、よくぞこんな話を実写ドラマ化できるものだと感心してしまった。さすがアメリカ。さすがAmazon。
キャストもそれなりに豪華で、『ジャッジ・ドレッド』、『スター・トレック』のカール・アーバンや、懐かしの『シックス・センス』子役、ハーレイ・ジョエル・オスメント君も(すっかりお太りになって)出演。
また、『スーサイド・スクワッド』でカタナ役を演じた日系女優の福原かれんが出ているのも嬉しい。
なおドラマではジャック・クエイド(デニス・クエイドとメグ・ライアンの息子)が演じたヒューイ・キャンベルだが、原作版でのヒューイのビジュアル・モデルであるサイモン・ペッグが、ドラマ版ヒューイの父親役で出演している。
ストーリーは、大企業であるヴォート・インターナショナル社の管理下で、日常生活でスーパーヒーローが普通に活躍するアメリカが舞台。
電気店で働く平凡な青年ヒューイ・キャンベルはある日、高速移動能力を持つ「Aトレイン」のヒーロー活動中の事故死によって恋人のロビンを失ってしまう。
悲しみに暮れるヒューイだったが、事件後のヴォート社とAトレインの不誠実な対応に何も言い返せない自分自身にも嫌気がさしていた。
そんな失意のヒューイの前に、謎の男ビリー・ブッチャーが現れる。
ブッチャーはヒューイに、一般大衆の前では正義のヒーローだが、実は自分たちの欲望に忠実なだけの卑劣漢で、セクハラや殺人など何とも思わないダークなヒーロー達の裏の一面を垣間見せ、そんなダーク・ヒーローを人知れず成敗する「ザ・ボーイズ」の一員としてヒューイを迎え入れる。
物語に登場するスーパーヒーローでもトップクラスなのが「セブン」と呼ばれる7人のヒーローチームで、ドラマ版ではセブンの一員である「トランスルーセント」を「ザ・ボーイズ」のメンバーが拉致・監禁・殺害するくだりの3話くらいまではテンポも良くて面白かったのだが、4話以降は話がなかなか進まなくなり、最終話の8話もそれほど盛り上がりの無いラストだったので、正直、少し物足りなさを感じてしまった。
「トランスルーセント」を皮切りに、「ザ・ボーイズ」が次々と「セブン」のメンバーを人知れず殺害していくのかと思ったら、結局シーズン1でボーイズが殺したのは「トランスルーセント」だけだったので、ちょっと食い足りない感じ。
というか脚本も所々雑な印象を拭えず、特に、ヒューイを除いてはその道のプロ(であろう)と思われる「ザ・ボーイズ」の他メンバーの行動がかなり行き当たりばったりで、例えば、全くの素人であるヒューイに単独で盗聴器の設置や敵の脅迫をやらせてみたり、いまどき監視カメラが設置されていないワケがないのに素顔でバンバン敵地に侵入したり・・・
そんないい加減な計画で巨大企業とスーパーヒーローに太刀打ちできるのか?ってなってしまった。
なによりこの手のドラマは、人気が出て長期シリーズになることを期待されるため、なるべくストーリーを引き延ばそうとする間延びした脚本になりがちな気がする。
なので、リアルタイムで視聴する分には気にならないのだが、後からまとめて視聴しようとすると、どうしても冗長なストーリー展開が苦痛になってしまうのだ。
これは、本作と雰囲気がとてもよく似ている、かつての大人気犯罪ドラマ『ブレイキング・バッド』も同様で、結局『ブレイキング・バッド』も途中で視聴を止めてしまった。
とは言え、この手のアイロニカルでブラックなヒーロー作品は貴重なので、シーズン2が始まったら間違いなく継続して視聴しますけどね。
Amazonプライムいいぞ!