okurejeの日記

フィギュアや映画や本などについて、ゆるく書かせていただきます。

『親密な他人』 感想

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あの一水会の創設メンバーであり現顧問である鈴木邦男氏に密着した『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』の中村真夕監督の最新作が、あの黒沢あすか主演の劇映画だということで、ジャケ買い感覚で鑑賞。

 

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中村真夕監督の作品は『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』しか観たことはないのだけど、そもそもドキュメンタリー映画の、しかも鈴木邦男という特殊な人物のドキュメンタリー作品を撮った監督が劇映画を作るということが、なんとなく奇異に感じられて、いったいどんな物語を描かれたんだろうと興味をそそられた。
しかし考えてみたら、原一男監督やマイケル・ムーア監督も劇映画を撮っているので、なんら不思議なことではないのだが。

 

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なお黒沢あすかさんの主演映画は、あの塚本晋也監督『6月の蛇』しか観たことがなかったので、前日に問題作と言われている園子温監督『冷たい熱帯魚』を初めて観たのだが、まぁ驚いてしまった。そもそも園監督の作品はあまり得意じゃないのだが、この作品の前半はとにかく酷い出来に感じた。無理があり過ぎる設定や脚本、滑舌が悪くて聞き取りにくいでんでんのセリフ、思ったより衝撃度の薄い人体解体シーンなど、正直、クオリティが低く感じて途中で鑑賞をやめてしまったのだが、気を取り直してとりあえず観なおしてみてビックリ。後半、物語が凄いスピードで動いていく疾走感は、前半のわざとらしい演出が、あえての伏線であったことに気付く。これほどのオーバードライブ感を与えてくれる映画も少ないだろう。確かに問題作であり、見応えのある作品だった。前半、黒沢あすかさんの演技が、無理なセリフのためちょっとわざとらしく感じたが、後半からの狂気の演技はとてつもなくて、しばらく開いた口が塞がらないほどの衝撃だった。この作品が黒沢あすかさんのある種の代表作として未だに語り継がれているのもわかる。・・というか、前半まで観て駄作と思ってしまったこと、園子温監督に全力で謝罪したい!

 

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そんな黒沢あすかさんを主演に迎えた『親密な他人』。
行方不明になった息子の消息を探すシングルマザーが、息子の消息を知っているという、オレオレ詐欺の受け子である謎の青年を自宅に匿い、奇妙な同居生活を始めるというストーリーだが、最初は青年のほうが謎めいた役柄だったのが、実は・・・といようなサスペンススリラー作品。

『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』みたいな硬派なドキュメンタリー作品を撮った監督が、まさか次作で、サイコホラーめいた作品を作られるとは思いもよらなかった。
日本の高校が苦手で、16歳からイギリスに留学し、高校から大学院まで14年間を英米で過ごした中村監督が、帰国して衝撃を受けたのが、日本の母親の自身の子供(特に息子)に対する愛情の注ぎ方だという。欧米ではあまり聞かない「オレオレ詐欺」(・・・「ワタシワタシ詐欺」ではなく)は、息子の苦境を母親が過剰に心配する心理を狙った犯行で、日本独自のものではないか?という考察から本作のアイデアが練られたのかもしれない。

静かなトーンで進む映画だが、黒沢あすか主演作品らしくスリラー要素やホラー要素もあるので、ある種、今の年代の黒沢あすかのプロモーション作品ともいえる映画。

公開初日の舞台挨拶で初めて生の黒沢あすかさんを拝見したが、トークがクレバーかつチャーミングで、とてもカッコよかった。さすが「ザ・女優」な佇まい。

 

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www.youtube.com

 

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・・それにしても、『愛国者に気をつけろ! 鈴木邦男』の公開時以降、ネット上でも鈴木邦男さんの状況がまったく伝わってこなくなったが、まだご健勝でいらっしゃるのだろうか。

 

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